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モノローグ
知っている。
世界は自分が居なくとも常に廻って、自分が中心だなんてことはあり得ないのだと。
自分よりもかがやいている奴なんていくらでも居て、そういうやつらが、この世界の主人公なのだと、よく知っている。
子供の時は違った。みんながみんな横並びで、難しいことなんて何もなくて。
だけど、それは自分たちに力がなかったからで、大きくなるごとに自分という存在は誰かに関わるようになって。
そうして、他人の力を知っていく。意志の強さ、行動力、才能なんてものまで思い知らされていく。
でも、
「あぁ、そうだ。みんな思ってる、簡単なことだ。」
どれだけ自虐的に吐いても、人は誰かに関わって生きていく生き物だ。その中で影響力がある者が、この世界を変えていく。
僕は、誰かのために強くありたかった。この存在を傘に、誰かを守りたかった、大切な人を守りたかった。
僕は、主人公になりたかったんだ。