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月夜譚 【No.201~No.300】

垣根のない酒宴 【月夜譚No.258】

作者: 夏月七葉

 幽霊にも色々な人がいる。生きている人間も様々だから、当たり前といえば当たり前だが。

 正直なところ、生者も死者もそう変わらないと思う。生きていれば生者で、死んでしまえば死者。それだけのことである。

 彼は酒のグラス片手に壁に身を預け、ぼんやりとホールの中を見遣った。

 そう広くはない空間で、数十人が笑い、呑み、語らっている。

 その内の一人が、にこやかに彼に近づいてきた。

「やあ、楽しんでいるかい?」

「まあね」

「この場を設けてくれて、感謝しているよ。ありがとう」

「これも仕事の内だから」

 手を掲げて戻っていくその後ろ姿は、少しだけ向こうが透けて見えた。

 ここにいる生者の内の大半は、人数が半分程度にしか感じられていないはずだ。〝見えない〟のだから、それは仕様のないことである。

 けれど、今こうして同じ場所にいて楽しんでいることには変わりない。どちらも大して変わらない。

 彼はグラスを傾け、その口元に笑みを浮かべた。

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