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琥珀糖に舞う、金桂と紫子さん。  作者: YUQARI
第三章 僕と盛誉。
8/43

✤決心✤

……前回のが長かったので、

書き直しついでに、半分こにして、

新たに付け加えました(^_^;)へへへのへ。

 僕が怒った事が引き金になって、このあとすぐ(つまり今日)、盛誉(せいよ)は決心した。

 お母さんに会いに行くぞ! って。

 

 

 

 ──『よし! (はは)さまに会いに行くぞ!』

 

 

 

 そう言って、盛誉(せいよ)は膝を叩いて笑った。

 

 

 ……でもまぁ、既に、何日も経ってるから、遅すぎる決断……と言えば、そうなんだけど。

『……』


 

 そして僕はと言うと、盛誉(せいよ)に怪我をさせてしまったから、少し後味が悪くて、目が合わせられない。

 そんな僕を見て、盛誉(せいよ)は笑って許してくれたけれど、だからって傷が癒えるわけでもないから……。


 でも、きっかけはなんであれ盛誉(せいよ)は、お母さんに会うぞ! と決心する事が出来た。だから、結果的には良かったのかも知れない。

 

 会いたくないのならだけど、盛誉(せいよ)はお母さんにとても会いたがっていたもの……。

『……』

 

 何故、そんなに(かたく)なになっているのか知らないけれど、そんなに気負うところじゃないと思うんだ。

 

 あぁでも、それにしても、ここまでくるの本当に長かった……。

 ようやく、……ようやく盛誉(せいよ)は、お母さんに会うことができるんだ! そう思うと僕は嬉しくなる。


 いったい、どんな人なんだろう? 盛誉(せいよ)のお母さん。

 優しいのかな? 怖いのかな?

 小さな人かな? 大きな人かな?


 僕は盛誉(せいよ)のお母さんである玖月善女(くげつぜんにょ)さまに会うのが、とても楽しみだった。

 

 

 ……『会う』と決心してすぐは、とても嬉しそうに笑っていた盛誉(せいよ)だけど、直ぐにその顔は真っ青になる。


 誰がどう見ても、その顔は(こわ)ばっていた。

『……にゃ?』

 

 僕は不思議になる。

 どうして?

 なんでそんな顔をするの?

 

 深刻そうなその顔を見て、僕は理由(わけ)が分からなかった。

 大好きなはずなのに、とても会いたいはずなのに、でも会えない理由(りゆう)が確かにあった。


 その理由が分かったのは、ずっとずっと後のことだ。

 盛誉(せいよ)盛誉(せいよ)で、色んな事を考えたうえで、この行動をとっていたんだけれど、この時の僕にそんな事、分かるわけもない。


 ただ盛誉(せいよ)は、その【理由】の為に、出来るだけお母さんには会わないようにしていた。

 

 会いたくない(・・・・・・)、わけじゃない会えない(・・・・)理由があった(・・・・・・)んだ。

 だから盛誉(せいよ)は決めていたんだと思う。

 お母さんには出来るだけ、会ってはならない(・・・・・・・・)のだと──。

 

 

 だけど、だけどね。

 ……だけどあの時 、盛誉(せいよ)を引っ掻いて本当に良かったと、僕は後から思う事になる。

 

 あの時僕が盛誉(せいよ)を引っ掻いていなかったら、盛誉(せいよ)はどうしていただろう?

 

 それでも盛誉(せいよ)は、お母さんに会えただろうか?

 それとも、行くのを諦めただろうか?

 そしたらこの後、盛誉(せいよ)と離れてそのお母さんと暮らすことになった僕だけど、そのまま盛誉(せいよ)の傍で、暮らせたんだろうか?

 

 あの優しい玖月善女(くげつぜんにょ)さまは、盛誉(せいよ)に会うことなく、この世を去ってしまったのだろうか……?



 それとも少しは、未来が変わっただろうか──?

 


 

『……』

 過去の『もしも』の結果は分からない。

 

 けれど理由がどうであれ、盛誉(せいよ)とお母さんを会わせるきっかけを作ることが出来たことだけは確かだ。

 あの時のあの出来事は本当に良かったって、今なら思える。

 

 あの時の僕は偉かったって、僕は今でも自分を褒めてあげたい。

 

 本当なら、一緒に過ごすはずだったお母さん。

 世の中がひどく不安定で、当たり前のことが当たり前に出来なかったあの時代。

 盛誉(せいよ)はただ、大好きな家族と一緒にいたかっただけなのに、それすら許されなかった。

 

 

 

 ──『どんな顔をして会えばいいのか分からない……』

 

 

 

 盛誉(せいよ)はそう、嘆いていた。

 

 幼い頃に出家することを余儀なくされて、家族と離れ離れになってしまった盛誉(せいよ)

 だからたまに(はは)さまに会えるとなると、どんな顔をしていいのか分からない……って嘆いていた盛誉(せいよ)

 

 どんな顔……?

『……』

 

 僕たち猫には【表情】がない。

 ほっぺたがないからね。基本動かせないの。この顔って。

 

 だから盛誉(せいよ)が『どんな顔をしていいか分からない』って悩んでた時、実は僕『何言ってんの?』って思っちゃったんだ。

 

 人間ってさ、妙なところで気を使うんだな……って。

 

 

 だってお母さんなんだよ?

 

 ただ素直に『会いたかったから会いに来ました』で、いいと思うんだ。

 それなのに盛誉(せいよ)は、そんな簡単なことも上手くできない。妙なところで深く考え過ぎちゃうから、だから会えなくなっちゃうんだ。

 

 きっとそれって、小さい時に家族と離れ離れにされちゃったせいなんじゃないかって思うと、僕は心が痛んだ。

 

 ……だってそれは、盛誉(せいよ)のせいじゃないもの。

 好きで二番目に生まれて来たわけじゃないんだし。

 

 ただ、そんな理由だけで家族が引き離されてしまうこの世の中が、なんだかとても悔しくてたまらない。

 

 大好きな人と離れ離れにさせられて、会えると分かった今でも、心のどこかでその時のしこりが残る。

 それって、とても悲しいことだよね?

 

 

 だけど、いつまでもグジグジ悩んでいる訳にもいかない。

 悩みに悩んだ盛誉(せいよ)も遂に腹を括ったんだ! お母さんに会えるんだ!

 

 でも、そこからがまた、大変だったんだよ?

 盛誉(せいよ)ってば、決心したのにも関わらず、とっても動揺しちゃってウロウロするし、心ここに在らずだし。

 

 ふふ。今思い出すと、とても可笑しい。

 

 ……やっぱり急かしたの、悪かったかな……なんて、その時の僕はそう思っていて、少し後悔もしていた。

 

 今となっては、

 それもまた、懐かしい記憶


 なんだけどね……。

 

 

 

           × × × つづく× × ×

   ┈┈••✤••┈┈┈┈••✤ あとがき ✤••┈┈┈┈••✤••┈┈



     お読み頂きありがとうございますm(*_ _)m


        誤字大魔王ですので誤字報告、

        切実にお待ちしております。


   そして随時、感想、評価もお待ちしております(*^^*)

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[良い点] 8/8 ・いい話ですねー [気になる点] あらっ、ユカリコさんがフェードアウトしていらっしゃる
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