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琥珀糖に舞う、金桂と紫子さん。  作者: YUQARI
第九章 無実の罪。
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✤冤罪だった、盛誉✤

 盛誉(せいよ)は無実だった。

 

 後日詳しく調べた四郎さまと、その側近の人たちが言うのだから間違いない。

 だから四郎さまは、慌てて盛誉(せいよ)成敗中止の書状を書きしたためられた。

 

 

 

「これを持って、米良の千右衛門を止めよ」

 

 

 

 当時、盛誉(せいよ)を討つために出陣したのは、米良(地名)にいた千右衛門という人物だった。


 三日月城にも当然兵はいるんだけど、盛誉(せいよ)討伐の命(めい)を下したのは千満(せんじゅ)さま。

 千満(せんじゅ)さまは確かに嫡出子(てきしゅつし)ではあったけれど、当主ではない。

 だから当然城の兵を自由に動かせるわけはないので、城から離れた この米良の地から、討伐隊を編成した。


 そしてその千右衛門を追いかけ、盛誉(せいよ)討伐中止の命令を伝える任にあたったのが、犬童九助(いんどうくすけ)その人だった。


 

 馬を駆る速さは、城内一。

 ……いや、肥後広しと言えども、これほど馬を操れる者はそうそういない……と言われる程の人物だった。

 だから命じられた九助も、自信満々で答えた。

 

「お任せ下さい! 私(わたくし)が必ずや千右衛門にこの討伐中止の書状を渡してみせまする……!」

 

「九助。奝然坊(ちょうねんぼう)盛誉(せいよ)は冤罪である。

 彼の者は相当な人徳者だ。絶対に、死なせてはならぬ!」

 

「はっ!」

 

 九助はその書状を懐(ふところ)に大切にしまうと、風が吹きすさぶように駆けていった。

 

 


 けれどその道中で、問題が起こってしまう。

 

 三日月城から盛誉(せいよ)のいる普門寺までは、六里(二十五キロメートル)程ある。

 今風に言えば、車で四十分は掛かるくらいの距離……と言えば分かりやすいかな?

 

 だから本来なら、馬替えのために設置された【駅】で馬を変える必要があったんだ。

 だって疲れるだろ? 馬は機械じゃないし、ガソリンだって搭載されていない。

 現代の車で四十分なら、馬ならもっと時間が掛かる。

 

 当然、水を飲ませなくちゃいけないし、休息だって必要だ。

 だけど事は一刻を争った。休んでる暇なんかない。早駆けなら尚のことだ。

 

 だから当時どこの地域でも、この【駅】と言うのがあった。

 だいたい三里……十五キロメートル単位でこの駅は置かれる決まりになっていた。

 馬が一日三十キロメートル移動できると言うから、まぁ、ちょうどいい設置具合なんじゃないかなって思う。

 

 

 だけどそこに、……その駅に、馬が居なかった……。

 

 なんの不手際か、それとも陰謀なのか、乗り換えるための馬が駅にはいなかったんだ!

 九助は焦った。

 

「なぜ、馬がいない!?」

「そ、それがそのぉ、お侍さま……。

 これには深い事情がありまして……。その、あのぉ……」

 

 そこにいた馬丁に理由を聞くも、要領を得ない。

 

「えぇい! もういい……!」

 

 九助は怒りにまかせ馬丁を蹴り飛ばし、再び馬に跨(またが)った。

 疲れ果てていて、やっと休めると思っていた馬は悲鳴を上げる。

 

「……っ、」

 けれどそんなことに構ってはいられない。

 九助は唇を噛み締めて、愛馬に鞭打った。

 

「あ! お侍さま……っ!」

 

 時は一刻の猶予もならない。

 なんとしても、千右衛門が盛誉(せいよ)を斬りつけるその前に、この書状を渡さなければならなかった。

 馬丁の叫びを背に、九助は再び馬を駆った。

 

 

 幸いにも普門寺までの距離は六里ほど。

 馬が走れない距離……でもなかったから、九助は大丈夫だと思った。

 

「どうにか持ちこたえてくれよ……!」

 祈るような気持ちで、あの日の九助は馬を駆ったんだ。

 

 

 

           × × × つづく× × ×

 

   ┈┈••✤••┈┈┈┈••✤ あとがき ✤••┈┈┈┈••✤••┈┈



    お読み頂きありがとうございますm(*_ _)m


       誤字大魔王ですので誤字報告、

       切実にお待ちしております。


  そして随時、感想、評価もお待ちしております(*^^*)

    気軽にお立ち寄り、もしくはポチり下さい♡


       更新は不定期となっております。



    はい。この部分は、全くのフィクションです。

        私が勝手に考えました。


     【駅】の間隔はこの通りですけど、

      九助の通った道に駅があるかとか

       そこに馬はいたか……とか、

      九助が馬替えしようとした……

       とか言うのは、全く分かりませんし

   そもそも四郎が書状を出したのかすら分かりません。


        ……いや出すだろなと。

      出てないなら、湯山の侍が勝手に

     『中止の命令が出た』って口だけで言って

      止めればえばいいだけの話だし?


     だから【書状】はあるはずだと思うんです。


  そしてこの【書状】が、今回のお題【手紙】に準じます。



     玖月善女が盛誉に手紙出してますけどね。

      あっちはたまたまです。たまたま。

       こっちが本命の【手紙】です。

        (出すの遅……( ̄▽ ̄;))

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― 新着の感想 ―
[良い点] Wikiによると、九助、酒を飲んで寝入てしまったから連絡が届かなかった、とありますね。 フィクションで新説ですね。 [一言] 司馬遼太郎の「坂上の雲」、学説によると、あんな見事な敵前大回…
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