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琥珀糖に舞う、金桂と紫子さん。  作者: YUQARI
第八章 悲しい記憶と、静かな今。
23/43

✤時は現代に戻って……✤

 コトリ……。

 

 と紫子(ゆかりこ)さんは持って来たカバンの中から、ソーダ水と硝子(がらす)のコップを取り出す。

 

 コップは小ぶりで、コロンとしていて可愛らしい。

 底の方が平ではなくて、緩やかな曲線を描いているものだから、テーブルに置くとそのコップは、ユラユラと優しく揺れた。

 

「……」

 

 コップ、ここにもあるんじゃないの? と言おうとして、瑠奈(るな)さんは黙り込む。

 だってこのコップ、紫子(ゆかりこ)さんのお気に入りだから。

 

 

 それは全部で三つあった。

 

 紫子(ゆかりこ)さんのと瑠奈(るな)さんと、それからでっかいでっかい【猫もどき】の垂玉(たるたま)さん用。

 

 

「……で? それからどうなったの?」

 

『……』

 

 瑠奈(るな)さんが聞くと、垂玉(たるたま)は顔を下げて耳を悲しげに伏せた。

 

 

「……」

 あぁ、これは良くない話なんだろうな……。と瑠奈(るな)さんは溜め息を吐く。

 

 

 紫子(ゆかりこ)さんは丸く小さな可愛らしいそのコップに、金木犀の琥珀糖を入れながら、ゆっくり口を開く。

 

 

 

 

「……盛誉(せいよ)は討たれたの、よ」

 

 

 

 

「!」

 静かなその声に、瑠奈(るな)さんは目を見張る。

 

 そうだと思っていたけれど、いざ紫子(ゆかりこ)さんの口から聞くと何故だか衝撃的だった。

 

「……玉垂(たまたる)

 瑠奈(るな)さんは、ゆっくり玉垂(たまたる)を見た。

 

 けれど玉垂(たまたる)の表情は見えない。

 背中を向けていたから。

 

 

 玉垂(たまたる)は、ゆっくり沈んでいく太陽の方を見ていて、顔は全く見えない。

 見えるのは、おおきな大きな黒いその背中だけ。

 

 そしてその背は、なんだか泣いているようにも見えた。

 

 

 

           × × × つづく× × ×

 

   ┈┈••✤••┈┈┈┈••✤ あとがき ✤••┈┈┈┈••✤••┈┈



     お読み頂きありがとうございますm(*_ _)m


        誤字大魔王ですので誤字報告、

        切実にお待ちしております。


   そして随時、感想、評価もお待ちしております(*^^*)

     気軽にお立ち寄り、もしくはポチり下さい♡


        更新は不定期となっております。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 盛誉、討たれるまでは「予定通り」? さて、化け猫わぁ?
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