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琥珀糖に舞う、金桂と紫子さん。  作者: YUQARI
序章 薄黄木犀の花の記憶。
2/43

✤おすそ分け✤

 琥珀糖は、すぐには仕上がらない。

 少なくとも二日から三日、風通しのいい日陰で、その水分をとばすのです。

 

 一週間もすれば、滑らかな琥珀糖が出来るけれど、そんなに待ってはいられない。

 日持ちはするけれど、やっぱり心配だから、すぐに食べてしまう。

 

 けれど今日は、凄く上手に出来ました。

 誰かに見て欲しくなって、紫子(ゆかりこ)さんは『うーん』と考える。

 

 瑠奈(るな)さんはいつも一緒にいるから、あえて見せなくても、嫌でも見に来るはずなのです。

 そうじゃなくて、別の誰か。

 

 

「……あ」

 

 

 紫子(ゆかりこ)さんは、小さく叫ぶ。

 いましたいました。

 とってもいい人物(・・)(?)が!

 

「ふふっ」

 紫子(ゆかりこ)さんは小さく微笑むと、支度を始めます。

 作った金木犀の琥珀糖をタッパにならべ、それをオレンジ色の可愛らしいハンカチで包みました。

 

 

「あら紫子(ゆかりこ)さん? どこかへ行くの?」

「……」

 見上げるとそこには瑠奈(るな)さんが。

 紫子(ゆかりこ)さんは ふわりと微笑んで、こくりと頷いた。

 

「……」

 

 瑠奈(るな)さんは、すぐに察します。

 あぁ、あのデカ物の所か……。

 

 紫子(ゆかりこ)さんにはあまり友だちがいない。あまり喋らないから当然です。

 唯一の友だちは、あの丘の上の大きな大きな 猫のような熊のような生き物だけ。

 出来上がったばっかりの琥珀糖を持っていくのなら、きっとそこに違いない。

 

「……私も行く」

「……」

「……」

 返事はないけれど、そもそも紫子(ゆかりこ)さんに断りを入れる必要もありません。

 だって瑠奈(るな)さんだって、あのデカ物と知り合いだから。

 今年の七夕に、みんなで流しそうめんパーティーを楽しんだあの日から、瑠奈(るな)さんだって、あの不思議な生き物(・・・・・・・)とお知り合い。

 

 確か、あのデカ物の名前は……。

「……」

 瑠奈(るな)さんは、小首を傾げて考える。

 

 

 …………えっと、なんだっけ?

「……」

 

 名前は知らないけれど、きっと大丈夫。

 だって知り合いだから。

 

 そんな無責任なことを思いながら瑠奈(るな)さんは、長い髪をサラサラとなびかせて、出掛ける紫子(ゆかりこ)さんの後を慌てて追い掛けました。

 

 まだまだ日差しは強いから、瑠奈(るな)さんは自分の帽子の他に、紫子(ゆかりこ)さんの帽子も掴んで、外へと出る。

 

 

 外は優しい風が吹いていて、

 どこからか金木犀の花の、

 甘い匂いを運んでいたのでした。

 

 

 

           × × × つづく× × ×

 

   ┈┈••✤••┈┈┈┈••✤ あとがき ✤••┈┈┈┈••✤••┈┈



     お読み頂きありがとうございますm(*_ _)m


        誤字大魔王ですので誤字報告、

        切実にお待ちしております。


   そして随時、感想、評価もお待ちしております(*^^*)

     気軽にお立ち寄り、もしくはポチり下さい♡


        更新は不定期となっております。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 2/5 ・ええー。まさかの名前がスッカラカン [気になる点] デカブツの名は、……メルメタル!
[良い点] おお、予定通り、猫さん登場ですね! どうしても、チェシャ猫、思っちゃいますが。 [一言] 琥珀糖、ネットで調べて見ると、食べたことがあるような。食感を思い出しました。どこで食べたんだろ? …
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