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琥珀糖に舞う、金桂と紫子さん。  作者: YUQARI
第五章 三日月城 当主 相良義陽さまの最期とその後。
16/43

✤お兄さんの宗昌さま✤

 湯山(ゆやま)宗昌(むねまさ)

 盛誉(せいよ)のお兄さん。

 

 盛誉(せいよ)は出家したけれど、この宗昌(むねまさ)さまは、地頭であった父、宗豊(むねとよ)さまが亡くなられたあと、その家督を継いだ。

 だから先日亡くなられた義陽(よしひ)さま……相良家の直接の家臣にあたる。

 

 相良家当主が亡くなられて、【お悔やみを申し上げる】と言うけれど、ただの家臣が当主の義弟である頼貞(よりさだ)さまにそうそう簡単に会えるわけがない。

 宗昌(むねまさ)さまには、それなりに力があった……と思って間違いない。

 

 そんな盛誉(せいよ)の兄、宗昌(むねまさ)盛誉(せいよ)は、状況こそ この相良家の兄弟と同じような道を歩んではいたけれど、兄弟仲の悪い相良家とは違って、二人は仲が良かった。

 

 盛誉(せいよ)ってばさ、お母さんの玖月善女(くげつぜんにょ)さまには会いに来ないのに、このお兄さんとは結構よく会ってたみたいなんだよね。どういう事だろ。ずるいよね。

 僕はそれを聞いて、ふてくされる。

 

 

『みゃあ。みゃあ……!』

 

「! ……まぁ、お前は心配してくれているの?

  けれど、大丈夫。あの子たちは(わたくし)の、自慢の息子たち。

 きっと上手くやってくれるに違いありません……」

 

 ……うん。そうじゃない。

 そうじゃないよね、僕の『みゃあ!』はっ!

 僕は、怒ってるの! なんで盛誉(せいよ)は僕たちに会いに来てくれないの!

 ちょっと、ひどいんじゃないの!?

 

『……』

 

 ……でもさ、ここまで話が通じないと、もう諦めの境地だよね。

 いいんだ。いいんだ。僕、わかって貰えなくても……!

 

 僕はふてくされたまま、玖月善女(くげつぜんにょ)さまを見上げた。

『……』

 見上げた玖月善女(くげつぜんにょ)さまの顔色は、ひどく悪い。

 

『みゃあ……』

 僕は黙り込む。

 

 ……確かに、盛誉(せいよ)とそのお兄さんの宗昌(むねまさ)さまなら、上手く立ち回ってくれるかも知れない。

 

 宗昌(むねまさ)さまと盛誉(せいよ)は、この界隈(かいわい)でも評判がいい。

 地頭だからと変に威張るでもなく、農民たちとも気さくに話しかける二人は、みんなから頼りにされる存在だ。

 

 だから、この兄弟に対する期待は、なにも玖月善女(くげつぜんにょ)さまの【親の贔屓目(ひいきめ)】なんかじゃ、けしてない。

 僕が散歩する先々で、この二人のことを『智者の兄弟』と言って、誰もが褒めそやしていた。

 

 まぁ……だからこそ妬みも、それなりに買っているみたいだったけどね?

 

 

 あーあ、それにしても……いいなぁ。僕も宗昌(むねまさ)さまになりたい。

 宗昌(むねまさ)さまになれば、頻繁に盛誉(せいよ)にだって会えるんだもん。

 

 僕、ここに来て以来、盛誉(せいよ)に会っていないんだよ?

 なんで会いに来てくれないんだろう……?

 

『……』

 

 盛誉(せいよ)盛誉(せいよ)だよね? もう、僕のこと忘れちゃったんじゃないだろうか?

 

 そんな風に思ってしまって、僕はいつも悲しくなる。

 僕も盛誉(せいよ)に会いたいな。

 玖月善女(くげつぜんにょ)さまだって、きっとそう思っているに違いないのに。

 

 宗昌(むねまさ)さまは、時々玖月善女(くげつぜんにょ)さまに会いに来て下さるけれど、盛誉(せいよ)は なかなか会いに来てくれない。

 ううん。【なかなか】どころか、【全く】会いに来てくれない。

 

 来てくれないから、『盛誉(せいよ)(わたくし)を恨んでいるの』と玖月善女(くげつぜんにょ)さまはいつも悲しそうに笑ってた。

 

 そんな事、あるわけない。

 

 だって盛誉(せいよ)だって、ずっと玖月善女(くげつぜんにょ)さまの事を気にかけていたもの。

 

 きっと何か理由があるんだよ……。

 きっと。絶対!

 

 ……………………多分、ね。

 

 

『……』

 僕はそう、思うことにしている。

 

 だって、【忘れられた】

 なんて思いたくなかったから。

 

 

 

 

           × × × つづく× × ×

 

   ┈┈••✤••┈┈┈┈••✤ あとがき ✤••┈┈┈┈••✤••┈┈



     お読み頂きありがとうございますm(*_ _)m


        誤字大魔王ですので誤字報告、

        切実にお待ちしております。


   そして随時、感想、評価もお待ちしております(*^^*)

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        更新は不定期となっております。

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― 新着の感想 ―
[良い点] いやぁ〜 あっさり、忘れてたりして。 [一言] 「にゃんトーク」「バウリンガル」、アプリがあるようです。喜怒哀楽が分かるだけ? かな。
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