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82話 痛みで強化

「転移弓、魔力消費10。魔力矢、魔力消費70」


 魔力200を消耗して作った弓を一旦解除して新たに弓を具現化させる。

 回復弓の効果は一度消えてしまうが、身体は絶好調を100とすれば40くらいには回復出来ているし、あのバカでかいトロルから魔力を吸収する事も出来ているからここは作り直しの選択で間違いない筈。


「先手必勝。悪いが速攻で決めさせてもらう」

「出来るものなら、ねっっっ!!」


 俺が弓を引くと同時にサキュバスだったそいつは翼をはためかせて急激にスピードを上げた。

 因みに弓の具現化の後にターゲット設定を弄ったが、今の姿の名前は『デモンサキュバス』というらしい。

 いわゆるサキュバスの進化体という事なのだろうが、通常のサキュバスの姿の方が強者感を感じられる気がしなくもない。


「……矢が、飛んでこない?」

「いや、ちゃんと放ってるぞ」


 転移弓を使って狙ったのはデモンサキュバスの羽。

 直線状に現れていないからか、既に矢が黒い空間から顔を出しているというのに、デモンサキュバスは気付いていないようだ。


 だが疑問符を浮かべながらもその隆起した筋肉が印象的な太い腕を差し伸ばすデモンサキュバスを脅威に感じた俺は、攻撃の範囲外から出る様に後方へ飛んだ。


「強がったって結局逃げ――。うぎゃいあああああああああああっ!!」

「両翼と背中の3点に必中。デコイに頼り切っていたお前にとってこの攻撃は効くだろ? まぁ、生きてるってのは意外だったが――」

「ああああああああ!! 痛いっ! 痛くて……気持ちいいっ!! 『ペインブースト』!!」


 翼を失い背中が抉れたデモンサキュバスはダメージを負っているというのに嬉しそうな顔を見せる。

 しかも勢いを失う事なく、むしろ力強く拳を撃ち出すデモンサキュバス。


「ぐあっ!!」


 唐突に俺の腹部を襲った重い重い一撃。

 直に拳が当たったわけじゃない。

 おそらく拳を撃ち出した事による衝撃波が攻撃となっているのだろう。


「そんなので、さっきのトロルより攻撃力があるのかよ……」

「『ペインブースト』。痛みをバフ効果に変え、自分を強化するスキル。痛み、それは自分自身は勿論、対象にしたモンスターや人でもいい……。つまり私は叩かれて叩いて、強くなれるの。ふふ、あははははははは!!」

「変態め……。だが、痛みを感じる前に死んでしまったらそのスキルも意味ないだろ? 時空弓、魔力消費30」


 時空弓に切り替え、発射時間を30秒後に設定すると俺は今ある全ての矢を空中に放つ。

 さっきのトロル同様に大量に魔力を消費して一撃必殺を狙うのはあまりにリスキー。


 3本の矢の攻撃に耐えた事は驚いたが、滴る血の量を見るにデモンサキュバスのHPは多くない。

 であればデモンサキュバスを殺すにはこっちの方がお誂え向きだ。


「消えた?もしかしてまた同じ攻撃? 残念だけど一度見た技は大体見切れるのよ、私っ!! ってあれ後ろじゃないのかしら? ん? 攻撃が来ない?」

「対象が複数ならランダム要素を含めてやるためにちょっと面倒な事をしてやる必要があるが、1匹ならそんな必要はない。攻撃まで時間が短く範囲の広い転移弓に比べて、こっちは範囲が狭くて時間が掛かる。ただし……転移弓では不可能な多方一斉同時攻撃が可能なのさ」


 ――にょん


 俺の説明が終わる頃、デモンサキュバスを取り囲む様に魔力矢の矢じりだけが空中で顔を出す。


「全射出の時間だ」

「これは流石にまずいわね……。ふぅ……。これは楽しむのは止めて外に向かえっていう合図なのかしらね。嫌だけど、仕方ないわね……」

お読みいただきありがとうございます。

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