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58話 お手軽レベル上げ

 他の探索者を一撃で、しかも弓無しで殴り倒せるくらいになるとは……。我ながら自分の成長が恐ろしい。


『ボーナス経験値を取得しました。レベルが266に上がりました。ステータスポイントを2獲得しました』

「人間を相手にしても経験値が入るのか……。もしかしてこいつはこれが欲しくて襲ってきたのか?」

「そうじゃないと思う」


 俺が襲ってきた男性の脈と呼吸を確認していると、佐藤さんがいつもの陽気な声ではなく、冷静な口調で俺の言葉を否定した。


「前にも言ったと思うんですけど、私はダンジョンを知った時ゲームみたいな世界になったと思ってうきうきしたんですよ。それでその時現実世界全部そうなっちゃえばいいのに、って思ったりもして……。多分この人はあの時の私と同じでダンジョンの異変、つまりはモンスターが蔓延るような世界を望んでるんじゃないですか? それでその邪魔になるクロちゃんと飯村さんを狙った……」


 ダンジョン肯定派。

 その発想は無かった。だが考えてみればVRゲームやバーチャルタレント、非日常を楽しむ人々は日に日に増え、そういう思考に至るのも分からなくはない。

 ステータス・スキルが顕現した人達が増えればこういった行動をとる人間も次第に……。


 一先ずの敵は実はダンジョンを飛び出そうとしているモンスター達じゃなくて人間なのかもしれない。


「だとしてもスキルを使っていない俺程度にダメージを与える事すら出来ないようじゃ話にならないけどな」

「そうですね。まさか飯村さんがこんなに強いなんて……。私なんてすぐ捕まっちゃったのに」

「大丈夫だよみなみちゃん! さっきの『レベルギフト』で自衛出来る位にはレベル上がったでしょ?」

「ま、まぁレベルは上がったけど……」


 そういえば何気なくクロがスキルを使ってたな。

 何というか初めてのちゃんとした友達だからか、クロの佐藤さんに対する甘やかしが凄いな。


 というかスキルの効果を詳しく聞いてなかったけど、本当に俺が特段何かしなくても周りの人達には経験値が入るんだな。


「不安? だったら……。お願い、一也さん。みなみちゃんの為にちょっと働いてもらってもいい?」


 クロはそういってダンジョンの映像をいくつか映し出し、そこに映るモンスターを指差した。

 佐藤さんの為にモンスターを殺してくれってか。別にいいがやっぱりクロは佐藤さんに入れ込み過ぎな部分があるな。


「分かった。だがその前に……。――あ、江崎さんですか、実はちょっと色々ありまして……。――はい。お願いします」


 俺は一連の騒動を江崎さんに報告。医療班の人達に来てもらう手筈をしてもらった。

 報告に対して意外にも冷静な返しをしてくれた事から、俺達が思っている以上に同じ事件が既に多くの場所で起きているのだろう。


「待たせたな。じゃあ医療班の人達が来るまでレベルを上げようか」


 俺は取り敢えず転移弓に切り替えて今ある矢を打ち切った。そして新たに30本の魔力矢を用意する。

 クロが映し出すモンスター達を的当ての要領で殺す。


 何もしていないのにレベルが上がるという現象に戸惑っているのか、佐藤さんはステータスをじっと眺め、口はずっと開いたまま。

 たまににやりと口角が上がるが、それが俺にはちょっとだけ怖く映る。


「――お、ようやく来たかな? ふぅ。どうだレベルは?」

「……凄い上がりました。あり得ないくらいにステータスもスキルも強化されて……。ふ、ふふ」

「良かったねみなみちゃん! これでコンビニ行くのも安心だね! じゃあ帰ってゲームゲーム!!」

「その前に医療班の人にこの探索者をお願いしないと。でも、危険分子をそのまま移動させるのは危ないか」

「だったら……『強制貸出』」


 クロは倒れていた探索者の手を握ると、新しく使えるようになった貸出のスキルを発動させた。

お読みいただきありがとうございます。

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