40話 転移弓
名前:飯村一也
職業:弓使い【魔弓】(次回進化まで残り300
レベル)
年齢:28
レベル:200
HP:372/372
魔力総量:245
攻撃力:710
魔法攻撃力:178
防御力:360
魔法防御力:360
会心威力:34000%
スキル:必中会心、変換吸収の矢(強化済み吸収効果アップ)、魔力矢(派生済み【黒矢】、強化2段階目)、魔力弓(強化1段階)、回復弓、転移弓
ステータスポイント:0
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ステータスポイントを振り分けて今一度スキルを確認すると、俺はクロに視線を戻す。
「一応今覚えたのがこの転移弓になるが――」
「『転移弓』!? やりましたね飯村さん! そのスキルがあればこんな階層ちょちょいのちょいですよ! ……多分」
いきなりテンションの上がったクロに対して愛想笑いをすると、自分と俺の温度差に気付いたのか、クロは恥ずかしそうに言葉を付け足した。
ともあれ、『転移弓』が声を荒らげる程のスキル性能だと言うならば俺としても早く試したい。
パラサイトワームは殆んど殺したはずだが……生き残りを狙って使ってみるか。
『転移弓』
心の中で念じると弓は暗めの紫色に変わった。
俺はそれを構えて逃げ出したパラサイトワームの姿を頭に思い描く。
すると空中に黒い円が現れ、放った残り全部の魔力矢は分裂しながらそこに吸い込まれていく。
恐らくこれが転移の入り口。
そしてその先にはモンスター、今だとパラサイトワームへと続く出口があるはず――
――パンパンパンパンパンパンパンパンッ!
辺りの様子を見渡そうとすると、ダンジョンの至るところで爆る音が響いた。
放った矢よりも音が少ない事から逃げたパラサイトワームはこれで全滅したはず。
姿を見る事もなくモンスターを一掃出来るなんて明らかに性能がおかしい。
今のでレベルがまた1上がったが、クロの階層を見るスキルと併用したら今まで以上に経験値の荒稼ぎが可能か。
「スキルが強化されれば他の階層にも放った矢を転移出来るようになるはず。そうなればノーリスクで暫くはダンジョンの正常化が可能ですね!」
「このスキルは他の階層まで範囲内に出来るのか……ちょっと強す――」
「――ふーっ……。ふーっ……」
スキルの強さに驚いていると、今度は正面の草影から息を荒げた女性がゆっくりと姿を現した。
武器を持っていない所を見ると格闘家の職業か?
目の色が赤く、胸の辺りを押さえている所を見ると、この人がパラサイトワームに食われるまで時間はないのだろう。
『魔力消費10――』
「うっ、ヴォエ――」
魔力矢のストックが作られ、矢が装填されるのとほぼ同時に女性の口からもうひとつの顔が……
「も、少し、俺、これで外に――」
人間の顔を模したパラサイトワームが女性の首筋に噛みつこうとする。
通常であれば今から射ってもそのその噛みつき迄には間に合わない距離。
だが……
「な、んだ――」
俺と女性の目の前に途端に現れた小さな黒い円。
転移弓は見えない敵を攻撃するだけでなく、弓を引いてから相手に当たるまでの時間を短縮するという使い方も有効らしい。
――パンッ!
一瞬でパラサイトワームに矢が命中すると、女性はその場に倒れ込む。
急いでクロがその女性の元に駆けより、呼吸を確認。
ほっと胸を撫で下ろす仕草からして女性に別状はなさそうだ。
「それにしても危機一髪だったな……。後から入った探索者がこれじゃあ……」
「『ワープゲート』、一旦この女性は氷のあるあの場所へ移動させて、急いで下へ――」
「駄目、行ったら……あの人が、また……」
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