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29話 復活

 魔力を吸収 した時のあの熱さに似ている。

 立っていられない程じゃないが、何か喉の奥から込み上げてくるようだ。


『消費魔力に対してヒューマンスライムから吸収した魔力が大きく上回って魔力が溢れている状態です。放っておけば溢れた分は空気中に流れ出ていくので、勝手に治ってくれるはずです。ただどうせならそれを【魔石】として吸収させて貰えたら嬉しいです』

「どうや、って」

『魔石はモンスターだけが生成出来るものではありません。人間も同様にそれは出来ます。ただ人間の場合は体内に魔力の出し入れに魔石が要らないので基本的に必要はありませんが。とにかく、溢れる魔力を1ヶ所に纏めるイメージをして少し身体を力ませてみてください』

「わかっ、た」


 クロに言われた通り、俺は普段見る魔石をイメージしながら、雑巾を絞るように身体から魔力を放出していく。


「飯村君大丈夫? もしかしてさっきの戦いで怪我とか……って、これは?」

「はぁ、はぁはぁ……。ふぅ……本当に、出来た」


 俺の両腕の中に生まれた魔石。

 その大きさは極大魔石よりも二回り程大きい。

 売却価格は5、600万……いや、それ以上かもしれない。


「これを……『捧げる』」

『必要魔力に達しました。ダンジョン攻略の為にシステムクリエイター補助、【クロ】を復活させます。魔石の自動吸収を停止しました』


 まさか今まで捧げてた分があるからといって合わせてそれに達する事が出来るなんて思ってもみなかったな。

 それにしてもシステムクリエイター補助って……。

 俺が想像してた以上に『クロ』の肩書きが凄いな。


「今のアナウンスは何? 今飯村君は何をしたの?」

「実は魔石の吸収っていうのが自動で行われてたんだが、それが今ので終わってくれたんだ。復活っていうのはこのダンジョンの異変を解決に導いてくれるサポーターが解放されるって意味で――」


 ――ブオン


 朱音とその後ろでじっとこちらに視線を向ける彩佳と淳に対して説明をしていると、唐突に俺達の目の前にワープゲートが現れた。

 そしてその中から氷の中に閉じ込められていたエルフの女性が姿を見せる。


 真っ黒の髪色に緋色の瞳でスラッとした体型。

 こうして動いていると、勝手に視線を奪われる程美しい容姿。

 しばらく動いていなかったからか、歩き方がぎこちない。


「えへへ、まだ変な感じはしますけど……完全復活みたいです」

「そうか。それで記憶も全部戻ったのか?」

「いえ。何故ここにダンジョンがあって、自分がどうしてここにいて、その役割を担っているのか、そういったざっくりとした情報は分かるのですけど、普通に暮らしていた時の記憶やダンジョンに閉じ込められた時の記憶は思い出せなくて……」


 いつも脳内で流れていた声が、実際に耳に届く。

 その所為で余計にクロの不安感が伝わる。


「閉じ込められた事と記憶喪失はまた別の原因があるって事なんだろうな。もしかしたら嫌な事、トラウマになっている事かもしれない。だから無理に思い出さなくてもいいんじゃないか?」

「……はい。心遣い有難うございます。あっ! 飯村様以外は皆さん初めましてですよね。改めまして私はクロ。エルフという種族であり、ダンジョンに存在するこのシステムを産み出したシステムクリエイターの補助をしています。今後はダンジョンの異変を解決すべく皆様のサポートもさせて頂きますのでどうかよろしくお願いします。そうだ皆様の名前は既に飯村様から聞いてますので自己紹介は結構ですよ」

「「「……」」」


 クロの登場にポカーンと口を開く3人。

 その反応をしてしまうのも分かる。分かるが……ちょっと間抜けで面白いな。


「早速ですがダンジョンについて説明を――」



 ――ぐぎゅるるるる



 特大の腹の音。

 なんというか折角の美人なのに締まらないな。


「あ、はは。先にご飯にしましょうか! クロちゃん? でいい? 外で料理屋さんに案内するからついてきて」

「……はい。ありがとうございます」

お読みいただきありがとうございます。

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