表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

26/164

26話 経験値のカモ

「朱音は淳と彩佳を安全な場所に移動させてくれ!」

「……ベボ」


 朱音の爆発スキル、それに俺の矢を受けてもまだ死なないとは思わなかった。

 もしかすると一撃で倒さないと再生するとか、弱点属性で攻撃しないとダメージが入らないとか、そういったタイプのモンスターなのかもしれない。


「……だけど変換吸収の矢で全部で吸いとったらどうなるかな」


 ダメージがなくとも飛び散った肉片を吸収されたヒューマンスライムの身体はさっきまでと比べて一回り小さくなっていた。


 運良く俺の手持ちのスキルがこいつに刺さってくれたらしい――


『ボーナス経験値を獲得しました。レベルが98に上がりました。ステータスポイントを2獲得しました』


 やっぱりクロの声に似ているアナウンスが流れる。

 ボーナス経験値は確か金色の角のアルミラージを倒した時も貰ったような……


『金色のモンスターは条件を満たすとそれだけで経験値が貰えるみたいです。多分ヒューマンスライムの肉片を吸収した事でそれが貰えたのだと思います』

「そういう事か。金色犬歯のコボルトとかもあの犬歯を攻撃していれば……」

『普通に倒すのとは別に経験値が貰えたかもしれませんね――』



「飯村君気を付けて! あいつ何かする気よ!」



 朱音の注意が響いたのと同時にヒューマンスライムは身体から複数の触手を産み出し、四方八方にそれを伸ばし始めた。

 打ち落とされてもどれか一本でも俺を吸い込めればって考えなのだろうが、流石にそれは舐めすぎだ。


 迫り来る触手に対して俺は連続で弓を引く。


――パンパンッ!


『レベルが100に上がりました。ステータスポイントを2獲得しました』


――パンパンッ!


『レベルが102に上がりました。ステータスポイントを2獲得しました』


――パンパンッ!


『レベルが104に上がりました。ステータスポイントを2獲得しました』


 弓を引く度に上がるレベル。

 ヒューマンスライムの身体が小さくなり、触手も短くなっているがレベルは2ずつ上がる。

 恐らくだが、ボーナス経験値を貰える詳しい条件は、触手の破壊と吸収。だからさっきも触手判定のあった淳、彩佳、朱音を拘束していた肉片を破壊してレベルが6アップした。

 嬉しい事に得られる経験値は触手が機能を失っていない限り短かろうと細かろうと固定になっているようだ。


 これは短期決戦狙いで本体に撃ち込むよりもじわじわレベル上げをした方が美味いな。


「凄い。あれが本当にあの飯村君なの?」

「へ、へへ。やるじゃん」

「……信じられ、ない」


 遠くから朱音達の声が聞こえてきた。

 どうやら彩佳と淳も無事なようだ。


『へ、へへ、えへへへ』

「誉められたのは俺なのになんでクロが嬉しそうなんだ?」

『だって協力関係にあって、自分の教えを生かして戦ってくれている人が誉められたら、嬉しいですよ』

「……そういうもんなのか?」

『そういうもんなんです。えへへ。――ってもう矢が切れますよ!』


 全ての矢を撃ちきってレベルは162。

 150レベル以降はレベルが更に上がりにくくなったが、それでもしっかり1ずつ上がってくれた。

 職業の進化もしたいが、今は一旦離れて矢の補充を――


「ベボガアアアアッ!!」


 一瞬の隙をついてヒューマンスライムは自分自身に触手を差し込むと体を膨らませ爆散、その命は1度絶たれる。

 しかし、それを待っていたかのように、金色スライムがそれに触れてヒューマンスライムは元の大きさで再生。


 そのままヒューマンスライムは全身から無数の触手を産み出す。


「魔力消費60!」


 俺は過剰とも思える矢のストックを作り、急いで撃つが……


「ヤバい、間に合わない」


 迫り来る触手から逃げながら矢を放つがそれでも――


「『自空間移動』」


 触手に身体が巻き付きそうになると、突然ヒューマンスライムが姿を消して、何故か俺の前に朱音が立っていた。

お読みいただきありがとうございます。

面白いと思っていただけましたらブックマーク・評価を何卒宜しくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ