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7 -ALL IN-


「隕石を使うってどういうこと?そんな大がかりな技術、私でも出来るかどうかわからない」


 たこ焼きを食べ終わったバブルは口を拭き、僕の方を向いた。


「大丈夫。今から計画を話すから聞いて」


 僕は2人に向けて脳内にある計画を話す。まぁ、マノムは変わらず寝てるので、実質バブルにそれを伝えた。バブルは少し考え、すぐに頷いた。僕たちは、早速準備に取り掛かる。

 


 僕は左手にしている黒い腕時計のボタンを押す。これはデヴィ学園生が持つ唯一の地獄との交信機器だ。明るくなった画面をスワイプし、『デヴィ学園購買部』の名前をタップする。


 『ごぢら、ごうばいぶ』


 山姥さんのしゃがれた声がする。購買部の山姥さんは絶対に怒らせてはならない、恐ろしい存在として、学園で名を馳せていた。


「1番小さい隕石を買いたい」


『ぢょっげい1ギロメードル、ねだんは、いのぢ、びゃくねん』


「…買う。お代は特別卒業試験にツケてください」


『ぶびゃびゃびゃ、がけにでるっでごとだね。おもじろい。いまがら、ぞっぢにおぐるよ。20ぶんごには、びのうみだ』


「ありがとう」


『じげんがおわっでも、がえぜながっだら、ようじゃじないよ』


 いつ聞いても心の底から恐怖を煽ってくる声だ。寒気が止まらない。僕は時計をもう一度タップして、通信を止めた。

 山姥さんの言う通り、僕たちは一か八かの賭けに出たのだ。これで、僕たちが稼がなくてはいけない命は100年から200年となった。この隕石を利用して全校生徒から一気に稼ぐ。


 作戦はこうだ。


1、落ちてくる隕石をバブルが失速させる。

2、全校生徒を校庭に避難させ、隕石を目視させる

3、命の危機を実感した生徒がパニック状態になった瞬間、数人ずつ相手に商談していく。

(隕石から助ける代わりに数年の命を貰う。時計に表示されるまで分からないが、きっと1人10年以上は稼げるはずだ)

4、200年分稼ぎ終わったら、バブルが隕石を宇宙へ戻す


 そして、僕たちは地獄へと華々しく帰還するのだ。


 少し荒削りだが、試験は結果が全て。結果への過程は言うほど重視されない。僕たちはここで勝負に出たのだ。


 時計が光りだす。画面には『大気圏突入済み、落下まで10分』と文字が表示されていた。きっと、じきに隕石について速報が駆け回るだろう。バブルは僕の時計画面を覗きこむ。そして、一歩離れて片手を空にあげた。


「遅くした。空に浮く大きな岩くらいにはなっていると思う」


「ありがとう、マノムを起こそう」


 2人で丸まったマノムを叩き起こす。やっとの思いで目を覚ましたマノムは、頭上を見、「あ」と言葉を漏らした。


 僕たちは空を見上げる。まだ遠いが、確かに目視できる場所に黒い影が存在していた。緊張が走る。失敗は許されない。ここで華麗に終わらせてやるんだ。


この変人の集まりから、この騒々しい喧騒から、今おさらばしてやる。



 

〈ひとことメモ〉

Bubble・zee

類稀な魔力を持ち、技術試験1位を誇る。

※技術試験では人間の欲望を叶える力が試される。

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