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40 -放送部部長の心持ち-



「いやー、急にごめんね!おかげで助かったよ!」


 ピンク髪の女子生徒は本当に悪く思っているか疑問に残るほどの明るさで僕ら3人に声をかける。


 しかし、僕たち3人は少しも気を落としていない。無賃労働に時間を浪費したことなどもう忘れ去っていることだろう。


 目の前に並ぶ幾つものそれらを見て、ベグ・ハーロップこと僕は笑みを浮かべる。お小遣い制である今、これは非常にありがたい。


「私の奢りなんてレアなんだからね!よく味わって!」


 ピンク髪の女子生徒の一言を合図に僕たちは一斉に「いただきます」をした。






 売り子としての雑用が終わり、女子生徒に誘われた先は食堂のテーブル。


 ピンク髪から放たれた言葉は「今日のお礼に好きなもの食べて」

 

 雑用を押し付けられ不貞腐れていた今までの気持ちはその一言で吹っ飛び、僕たちの瞳は一様に輝きだした。


 そして今、僕たちはテーブルに並ぶ食事を爆食している。日々を学園長から渡されるお小遣いで細々と生きてきた僕たちにとって至高の瞬間だ。



「わぁ〜!みんなよく食べるねぇ」


 ピンク髪の女子生徒が頬杖をつきながら、微笑む。


「そういえば、私。名前言ってなかったね」


「私は2年白組、瀬内遥(せうちはるか)です!ちなみに放送部の部長やってます⭐︎」


 瀬内遥が星を飛ばしても、好物を目の前にした3人は一向に顔を上げない。ベグは白米を中心としたちょっと高めの日本食。バブルはたこ焼き全フレーバー。マノムは高級ジャーキーと犬用ケーキ。

 瀬内遥は食事にのめり込んでいる3人を気にする様子もなく、自分のペースで語っていく。


「今日さぁ、お願いしちゃったのも放送部の人数が私含めて2人しかいないからなんだよねぇ。もう1人の馬鹿が体調崩してさぁ、1人じゃ無理だからお願いしちゃった!」


 瀬内遥はため息混じりに語る。


「最初はアナウンサー志望の子がたくさん入るんだけどねー。私もアナウンサー目指しているし。でも、放送部は裏方の地味な作業もやるから、そのギャップで6月に入る頃にはほとんどやめちゃうんだよね〜」


「それに比べて、新聞部は大御所なのが闘争心を煽ってくるよね!やっぱり同じ系統の部活だから自ずと意識しちゃうもん!今回の体育祭、あっちもスペシャルエディション販売してるし負けていらんない!」


「せめて質と売り上げだけは!!」

 

 尚3人は耳を貸すこともなく、食事を堪能している。ここで瀬内遥の言葉に耳を貸していれば、新たなビジネスが発生していた()()()()()()ことを3人は知る由もない。



<ひとことメモ>

瀬内遥の髪がピンクである理由は、人混みの中でもカメラが追いやすいように。

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