30 -白熱!紅白合戦-
「さぁ!いよいよ始まりました!破陽羅武学園体育祭!」
「エンジン全開、フルスピード!雷の如く走り抜きましょ〜!」
放送部のアナウンスがスピーカーから流れ出す。全校競技が終わり、校庭は熱気に溢れていた。
バブル・ジーは1年紅組の流れに紛れて、校庭を移動していた。
破陽羅武学園は、1学年紅組と白組の2組で構成されている。この体育祭では学年関係なく、紅組と白組の2チームに分かれて、得点を競い合うらしい。
「バブちゃん!見つけた!」
背中をとんと押される。姿を見ずとも分かる。あめちゃんだ。
「ダンス楽しかったねぇ!一緒に行こ!」
「うん」
私は頷く。
辿り着いた先は紅組の拠点であった。3人の紅組教師が仁王立ちで突っ立っている。皆、決死の表情をしていた。
担任の前川先生なんて、いつもの朗らかさはどこに行ったのか、熊手を持って顔をしかめている。魔女狩りに参加する主婦みたいだな、と少し思った。
「我ら!紅組!今年こそ!去年の雪辱を果たす!」
「あんな頭でっかち、けっちょんけっちょんにしてやれ!」
「さぁ!皆さん!気合いのコール行きますよっ!」
紅組全員揃ったところで、3人の教師がそれぞれ勇ましく声をあげる。
「あ゛か゛く゛み゛〜!!」
「「 おー!! 」」
周りの生徒が拳を空に突き出したのを見て、私も真似る。
「勝つぞ〜!!!」
「「おー!! 」」
「勝つぞ!」
「「おう!!」」
「勝つぞ!」
「「おう!!」」
「行くぞ〜!!」
「「お〜!!」」
掛け声を上げるたびに、紅組の熱が上昇したのを感じた。隣に立つあめちゃんも、前川先生そっくりの真剣な表情をしている。
教師陣の真ん中に立つ多分3学年の教師は、対角線に位置する白組拠点の方を向き、また同じように睨みをきかせ始めた。白組の方からも雄叫びが聞こえてくる。
「皆さん〜!今からハチマキ配りますから、足りなかったらこちらに来てくださいね〜」
前川先生はそう言うと、前列にいる生徒にどかっと赤い布を渡した。
「次の競技出場者は、運営テント前にお集まりください」
アナウンスが流れると同時に、ハチマキが流れてきた。
「バブちゃん……」
「白組、めっためたにするよ…!」
あめちゃんの瞳は燃えている。
「うん」
私はそう返事をし、ハチマキをぎゅっと頭に締めた。




