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24 -manomm was boring-


 暇だなー。


 マノムは教室外にあるベランダで日向ぼっこをしていた。


 犬になった当初は、みんなに可愛がって貰えたし、初めての体験にわくわくしていた。しかし、1ヶ月が経とうとしてる今、僕に残されていることと言えば、寝ることだけだ。


 ……ま、のんびりとだらけることは好きだけどね。



 授業に出なくていいと喜んでいたのも、裏を返せば時間が有り余るということだし、何より、誰かと話すことができないというのが、更に退屈さを極めていた。


 ベグは体育祭実行委員会とかいう雑用で走り回っているし、バブルもあめちゃんに連れ去られる毎日を送っている。僕だけが暇だった。



 きっと、僕が今のうちに試験を進めるべきなのだろうけど、今はそんな気分じゃない。それに、喋れないしね。



 日向ぼっこにも飽きた。僕は体を起こす。とりあえず、授業中の教室を通り抜け、学園を散歩してみることにした。


 


 と言ってもなー。小さい足では、行ける場所が限られている。僕はペット用エレベーターに乗って、一階に降りた。



 外は快晴であった。いいお散歩日和だ。適当に道なりに歩いてみる。どこに辿り着くのかなぁ。


 花の匂いを嗅いだり、芝生に転がったり、道に戻ったり、気ままに歩いていく。



 気づけば、ある建物の前についた。教室のある校舎や寮とは違い、屋根はドーム状で、全体が窓で出来ている。


 どんな建物なのだろう。入ってみることにした。



 ペット用ドアを通った瞬間、むあっとした空気が顔を撫でる。その湿気が僕の白い毛を更に膨らませる。



 建物の中には、たくさんの植物が植えられていた。その緑と湿気から、僕はタイを思い出す。パクチーが美味しかった場所だ。人間の姿だったあの時は、ちょうどいい気候だったけど、白い犬にとっては暑すぎるみたいだ。体が重く、ぐったりする。



 道なりに歩いていくと、バシャバシャと水の音が聞こえた。僕はその方向へと更に歩く。



「見て見て見てー!フルール!ぼくー、水に飛び込めるんだよ〜!」



 バッシャーン!水が飛び散る。



「おー!すごいすごい」


「…あら、お客さんみたいよ」




 集団は僕に気づいたみたいで、皆こちらに顔を向けた。



「こんにちは〜」


 僕は声に出した。ここなら喋っても、ベグはうるさく言わないだろう。


 

「僕はマノム。君たちはー?」



「はいはいはい!僕が言う!…えっと、僕はプチ!水に飛び込めるんだ!」


「このおじいちゃんがフルールで、そこのお姉さんがエリザ!」


「ねぇねぇねぇ!君の飼い主は誰なの?」



 


 だって、相手は小さなカバとゾウとクジャク、僕と同じ動物なのだから。

 


 



 


 



 

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