蘇った記憶
あ、私、死んだんだ。
エマ・バートン5歳は思い出した記憶にぽつんと呟いた。
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私は烏水律、音楽をこよなく愛す貧乏音大生だった。専攻楽器はピアノ。普通の家庭に生まれ育ち、努力して努力して莫大な費用がかかる私立音楽大学の特待をとった。がしかし、
「まさか今時コンビニ強盗に遭遇するとは、、、。」
そう、バイト先のコンビニに強盗(笑)が入り、グサッと殺られてしまったのだ。無念の一刺し。我ながら情けない最期である。
「今世は今のうちから鍛えておこう、、ただ、、、うーん。」
無駄かも、と鏡を見る。かつての家にあったような木枠のダサい姿見などではない。ゴテゴテキラキラのばかでかいものだ。どこの貴族が持ってるんだというような、、そう、貴族。
「間違いなく"あの"エマ・バートンだよね。」
あの、とは『光の聖女と七色の騎士』の、という意味である。『光の聖女と七色の騎士』、略して『ななきし』と呼ばれていた前世の乙女ゲーム。少しダサめのタイトルだったがキャラデザ、声優ともに素晴らしくシナリオもありきたりではあるがまあ良かった。厳しい音楽の世界から私を救い、癒してくれた存在、、、その世界にこれただなんて感激、、、、、、、、、、といきたかったのだが。
「うねった黒髪に赤みがかったぱっちりつり目、、。」
なんとなんと、残念ながら私の配役は悪役令嬢らしい。
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エマ・バートン。
ミレイア王国を代表する超絶セレブなバートン公爵家に生まれた立派な立派なご令嬢である。第1子であったエマは幼い頃から甘やかされ、ゲーム内では名実共に悪役令嬢となっていた。見目は良いのでその点は万々歳。
一方『ななきし』自体はざっくり言うと庶民だったはずの主人公、ソフィアが王に見初められ貴族学校に入り、、、という良くある感じの乙女ゲームである。この世界には魔法があり、稀有な光属性に目をつけられるのがきっかけだ。オチを言うと題名通り、世界を救う聖女だった訳だが。
そのなかでエマは人気No.1であったルイフォン王太子の婚約者として現れる。その婚約も、我儘なエマが親に無理やり取り付けてもらったものでまぁ目も当てられない。王太子がソフィアに惹かれたことから虐めを開始し、結局殺されるのだ。それも全てのルートで。
「普通全ルート処刑エンドとかある?せめて国外追放くらい用意してよー、、、、」
記憶が戻ってすぐに使用人を追い出し広くなった部屋で1人頭を抱えた。
初めての連載小説です、、、、、!
読んで下さりありがとうございました。見切り発車で投稿し、内心バクバクものです。ちゃんと終わるかな、、。どこまで続くか分かりませんが暫くお付き合い下さい!(よろしければ評価よろしくお願い致します٩(ˊᗜˋ*)۶)