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第八話 決着

お待たせしました! 第六話です!

「ハァハァ……ッ!」


「伏島君ッ!」



 俺は地面に倒れて、激しく息を吐く。な……何が起きた!? 剣崎が急に消えたと思ったらこんな状況に……。 



 俺が何が起きたのか考えている間にも、破れた制服の間から生暖かい血がドクドクと流れている。熱いような痛みが傷口に走り、声も出せない。



「よし。これならお前も動けないだろう。心力も痛みで使えまい。それでは、君の心力もいただくとしよう。安心しろ。その後にしっかりとどめを刺してやる。なに、これ以上苦しむ事はない」


「ッハァ! や、めろ……」



 剣崎はゆっくりとしゃがみ、俺の傷口に手を伸ばす。心力を使おうとしても剣崎の言う通り、痛みが思考の邪魔をして上手く電撃が放てない。もうダメか……! そう思ったときだった。



「ジ・アリエス! セカンドドライブ! ジャッジメント!」



 添木の声が響き、剣崎の動きがピタッと止まる。



「そういえば、君も居たな。添木理亜よ。彼ばっかりと戦っていたから忘れていたぞ?」


「そんな余裕で良いの? 条件を満たした。貴方はこれからしばらく、動くことが出来ない!」


「だからなんだ? お前には攻撃手段がない。このまま動けるようになるまで待ってお前を殺せばそれで――」


「『心力模倣《重力操作》』」


「ガッ!」



 剣崎が話している途中でナナシが俺の体を奪い、心力を使って剣崎の動きを止める。



「……何故その心力を使える? 仁が止めているはずだろう?」


「言ったはずよ、条件を満たしたって。それは貴方だけじゃない……。さっきから彼の心力を止めていた勝浦っていうそこの男も条件を満たした!」



 添木が決め顔で剣崎にそう言い放つ! よし、この状態なら!



「そういう訳でようやく詰みってことだ。『心力模倣《電撃》』」



 ナナシは血を流しながら立ち上がり、指先から電撃を放つ。その電撃は剣崎を貫通し、勝浦の方にも飛んでいく。これで勝った! 俺はそう思った。しかし――



「何?」



 剣崎、勝浦の体が乾いた土のようにポロポロと崩れ始める。



「素晴らしい! 認めよう! 今回は私達の負けだ! しかし、お前のその心力、次は必ず奪ってみせよう! さらばだ! 伏島優! 添木理亜!」


「待てっ!」



 ナナシが最後に剣崎に向かって再び電撃を放つが、その前に剣崎は崩れ去ってしまい、もともと剣崎が居た地面にぶつかるだけだった。






「疲れた……」



 剣崎と勝浦が逃げた後、ナナシは横に倒れる。すると――



「いったぁああ!!」



 再び傷口から激しい痛みが襲ってくる。っていうか指先の感覚がない! これ大丈夫か!?



「ああ、悪い悪い。治すのを忘れていたな『心力模倣《治癒》』」



 その瞬間、淡い光りが傷口を覆い、血が流れる感覚と痛みが無くなる。



「これで大丈夫か? それにしてもざっくり切られたな。これ普通だったら死んでたぞ」


「感心してる場合かよ……。いやまぁ、痛くはないけどさ」


「……それで大丈夫なの?」



 ナナシの言葉に呆れていると、添木が冷たい声で聞いてくる。



「ほんとに大丈夫だぞ。ほら、もう立てるし……。うおっと!」



 そう言いながら立ち上がろうとすると、目の前が真っ暗になり体が傾き、頭が地面にぶつかる。



「ああ、言い忘れてたが傷が治って血が流れなくなっただけで、血は減ったままだから注意しろよ」


「……それもっと早くに言えなかった? 痛った〜」



 文句を言いながら俺はフラフラと立ち上がる。……頭がめちゃくちゃ痛い。



「……それで? これからどうするの? ここで話していると人が来ても面倒だし……」



 添木は地面と俺を交互に見ながらそう聞いてくる。地面には大量の血が溜まっており、俺の制服は破れた上に血で染まっている。確かにこれを見られたら面倒なことになりそうだ。



「あ〜そうだな……。明日で良いか? ちょっと今日はもう帰りたい。それに他にも仲間が居るし。そっちも紹介したい。書きにくいな……これ」



 俺はカバンからメモ帳を取り出し、自分の連絡先を書いて渡す。



「分かった。そっちも明日は学校が休み?」


「まあな。っていうか、どっちも休みなら色々話すついでに交流会的なものでも開くか? 最近いいカフェ見つけたんだよ」



 せっかくの新しい仲間だ。どうせなら仲良くしたい。



「なんだか随分なれなれしいけれど……私はあなたとも、そのお仲間ともなれなれしくするつもりはない。確かに私はあなたをロード・ヴァルキュリアに引き入れた。

 けれど、それだけ。あなたたちが罪を犯したなら、私は必ずそれを裁く。それじゃあ」


「あ、あぁ……。それじゃあな〜」



 それだけ言うと、添木は気圧されてた俺から差し出されたメモを取ってスタスタと歩いていった。



(見事に嫌われているな。スグル)


(今のはそういうのじゃないだろ……。多分)



 流石に嫌われているとは思いたくないが……。まあいいや。さっさと帰ろ。なんだか体が重い。っていうかダルい。……これ貧血の症状だな。コンビニでなんか買ってさっさと寝よう。






「ふぅ……。疲れた……」



 小清水さんに、『新しい仲間が出来たから会いたい』と連絡をしてから一息つく。

 帰りにコンビニで晩飯を買おうとしたが、よくよく考えたら血だらけ&破れた制服でコンビニには行けないため、とりあえず帰ってきた。もう動きたくない……。



(そういえばスグル、今日のことなんだが……)


(なんだ……? 今あんまり頭使いたくないんだが……)



 俺がダラダラとしていると、ナナシが突然話しかけてくる。



(別にそこまで頭を使う話でもない。単純にあの、カノン・リールズ? についてだ)


(なんかあるのか?)


(ああ、お前が気づいていないようだから言っておくが……あいつら、あの二人だけじゃない。他にも最低一人は居るはずだ)


(……マジで?)


(やっぱり気づいていなかったか……。よく考えてみろ。あの時、あいつらの心力はリアの心力で止められてたはずだろ?

 それなのに心力が発動したってことは、あいつら以外にも心力使いが居るってことだ)


(ああ、なるほど)


(そこはまぁ良い。今回の戦闘であの切断以外はなんとかなったし、切断についても考えはある。問題はそのもう一人の心力だ)


(……なんかあるのか?)



 眠気が俺を襲ってきて、反応が遅くなる。なんとか適当に相槌を打ちながらも話を聞く。



(なんかあるなんてもんじゃない。あの心力はおそらく、魂を入れる器を作ってそこに魂を移すことで動かしているものだ。つまり、お前があの心力を得れば俺が自由に動けるようになる)


(……それってなんか良いことあるのか?)


(そうしたら俺が突っ込んで戦うだけで大体の戦闘に勝てる。それで負けるような心力使いはそうそうないはずだからな。お前らの負担がほとんどゼロになる。

 いくら協力関係でお前らを守るって言っても今回みたいに俺の活動自体を止められると……聞いてるか? スグル)


「スゥー……スゥー……」


(……明日もう一度話すか)





 カノン・リールズ対ロード・ヴァルキュリアの戦いの直後。私、剣崎透はベッドから目を覚ます。天井では蛍光灯が強く光っており、私は思わず目を細める。


 周りを見渡すとコンクリートが丸出しの壁のすぐそばに今坂弘(いまさかひろし)が立っていた。



「……おはようございます。剣崎さん、勝浦さん。変わり身が壊されたようですが大丈夫でしたか?」


「ああ。大丈夫だ。やはりお前のファントムメーカーは素晴らしいものだな。おかげでなんの気がかりもなく行動が出来る」


「……」



 起き抜けに話していると、今坂は突然黙り込んでしまう。



「どうした? 今坂よ。何かあるなら聞くぞ?」


「いえ。なんでもありません」


「そんなに気を使わなくてもいいよ、弘くん。大丈夫。僕もさっき透がカノン・リールズって名乗った時すごい恥ずかしかったから。28歳にもなって何してるんだ……。って」



 仁は肩を落としながらそう話す。その言葉に今坂もうなずいている。どうやら私の名付けはなかなかに不評なようだ。



「まあそんなことはどうでもいい! 今坂よ! カノン・リールズの全メンバーを集めてくれ! 先程、伏島優と遭遇し、敵対関係となった! これからのことを話すためにも作戦会議を行う!」


「了解です」






「そういえばさ、さっきは雰囲気で流したけど……伏島くんってあれで死んでないの?」



 今坂を先頭に先程と同じようなコンクリート丸出しの通路を歩いていると仁がそんなことを聞いてくる。



「おそらくな。お前も見ただろう? お前のストッパーが無効化され、伏島優のもう一つの魂……ナナシが顕現した時、あいつは血が流れたままにも関わらず普通に立ち上がり、私達に攻撃してきた。

 慌てた様子も無くな。あいつは『心力模倣』と言って複数の心力を操っていた。あの落ち着きようだ。回復方法などいくらでもあるのだろう」


「なるほどな……。コピー……。厄介な物を持ってるもんだな。全く」



 仁は肩を竦めながらやれやれと言うように首を横にふる。そのまま歩いていると豪華な装飾がなされたドアの前につく。


 ドアの上部にはA4の紙に『皆のお部屋です♡』とピンクのマーカーで書かれたものがセロハンテープで貼られている。


「こちらです……。どうぞ。他の奴らももう少しで着くと思いますのでもうしばらくお待ち下さい」


「ああ。分かった」


「いつもありがとうね」



 今坂が開けたドアの先の部屋は、先程までの薄寒いコンクリート丸出しの壁ではなく、中世ヨーロッパのような装いをしていた。しかし――



「汚いな……」



 漫画、ゲーム、小説、参考書、ゴミなど、統一感のない物が地面に乱雑に落ちており、仁の言う通りその部屋は非常に散らかっていた。



「そうだな。まあこれくらいならすぐに片付く。……大体、そこらのゲームやら漫画やらはお前のだろう。仁」


「まあね」



 私はゴミを拾い、次々と捨てていく。仁は自身のゲーム、漫画を片付けている。





 しばらく片付けを続けているとドタドタと足音が近づいてくる。



「透くん! 伏島くんと会ったって本当!?」



 ドアがバタン! と大きな音を立てて開き、そこから湯ノ花紬(ゆのはなつむぎ)が現れ、私の方まで走ってくると、肩を掴みガクガクと体を揺らしてくる。



「ああ。ついさっきな」


「やった〜!! 楽しみだな〜。いつ振りに会うんだっけな〜? 早く会いたい! いつなら会いに行っても良い?」

 


 湯ノ花はぴょんぴょんと嬉しそうに跳ねながら私に聞いてくる。



「それ決めるために今こうして集まってもらってるんだろ。今、弘くんが招集かけてるから少し待ってな」



 俺が言おうと思っていた事を仁が代弁してくれる。



「そういう訳だ。もう少し待っていろ」


「はぁい!」





「なあ仁、このシリーズの順番分かるか?」


「え? えーっと確か……これが1つ目じゃなかったか?」


「ん? これでは無かったか?」


「違うよ〜! 透くんが持ってるのが3つ目で仁くんが持ってるのが5つ目だよ! その一番左に落っこちてるのが1つ目!」



 落ちている参考書、小説を棚に整頓していると――



「オイ! 相馬ァ! さっさと来い! 剣崎さん待たせてんぞ!」


「ええ〜? いいじゃん〜。剣崎さん優しいんだし。きっと許してくれるよ」


「剣崎さんが良くても俺が許さん! すいません! 剣崎さん。ウチの相馬がお待たせしました!」



 と五月雨悠馬(さみだれゆうま)が弟の五月雨相馬(さみだれそうま)を引きずってやって来た。



「良いさ。別にそこまで待ってない。そもそも相馬は普段から随分役に立ってくれている。それに……お前がしっかりと首輪をつけてくれるだろう?」


「ほら〜。やっぱり許してくれるじゃん」



 相馬はそれ見たことかと言うように悠馬の方を見る。



「それでもテメェはもう少し自分で動け! 俺が居なくなったらどうするんだ!」


「大丈夫だって。俺は兄さんを支えて、兄さんは俺を支える。そうやって生きてきたじゃん! これからもずっとそのままだよ。兄さんは強いんだから!」


「そ、そうか……」



 そう言われると悠馬は黙ってしまう。褒められて、何も言えなくなったようだ。



「え、チョッロ……」


「そう言うな、仁。美しい兄弟愛じゃないか」


「それにしてもチョロすぎないか? あれだけで黙るのはまずいだろ……」



 仁は呆れたように二人の方を見ている。



「それこそお互いに大事に思っている証拠だろう。それにしても相馬よ。お前の小説を並べておいたが、これで合ってるか?」


「ん? え〜っと大丈夫です。ありがとうございます。片付けて貰っちゃって。あはは〜」



 相馬は後頭部をポリポリとかきながら返事をする。



「! アザッス! テメェも口だけじゃなくてしっかり頭下げねぇか! 相馬ァ!」


「良いさ。部屋を掃除するついでだ。それよりも、弘はまだか?」


「ん? そろそろ来ると思いますよ。なんかさっきすぐ近くの監視カメラの方を通りましたから」



 私が最後に来た五月雨兄弟に聞くと頭を地面に押し付けられた相馬がそう答えた。心力で見ていたのだろう。すると――



「申し訳ありません。遅くなりました」



 ちょうど弘が現れた。



「大丈夫だ。ちょうど全員集まったところだしな。それでは! 作戦会議を始める! そっちの机に皆座ってくれ!」


「はぁい!! 待ってました〜!」



 そう言うと湯ノ花は読んでいた参考書を地面にポイッと放り投げそそくさと机に座る。……。私は落とされた参考書を本棚の方に戻す。



「ねえ、紬ちゃん。もう少し片付ける事覚えない? さっきから透がずっと片付けてるからさ」


「はぁい。早く会いたいなぁ〜。フフッ」


「あ、聞いてないな。これ」



 仁は湯ノ花の返事を聞いてハァ……。とため息をつく。



「テメェもしっかり片付けしろよ? 相馬」


「大丈夫だって。兄さん。俺だって片付け位ちゃんとやるって」


「そう言ってテメェがちゃんと片付けたの見たことないんだが……」


「あはは〜」



 五月雨兄弟もそんな問答をしながら机に向かう。……どうやらこの部屋がきれいなままになるのは相当先になりそうだな。



「……」


「よし! 全員座ったな! まずは結果から報告しよう。我々、カノン・リールズは先程ロード・ヴァルキュリアという組織と敵対関係になった。現在確認している人数は二人だけだがその中には伏島優が居た!」


「おぉ〜〜! パチパチパチ〜!」



 最後に弘が座り、私がそう報告すると、湯ノ花が嬉しそうに拍手をする。



「? 兄さん。伏島優って誰?」


「あ? 覚えてねぇのか? 前にテメェが見つけた二重人格の選別者だろうが」


「あ〜なんか居たね。二重人格で二人目の人格がめちゃくちゃ強いヤツ」


「その事なんだが……。どうやら彼は二重人格ではないらしい」



 私は伏島優の中に住む魂、ナナシについて説明する。



「あれはどうやら200年前の白犬神伝承での生き残りだ。魂だけの存在となって伏島優の魂の中に住み着いているようだ。今日得た新たな心力で分かった」


「あ、新しい心力ゲットしたんですね。おめでとうございます」



 相馬が事務的に私に言ってくる。



「そこはどうでもいい。問題はそのナナシの戦闘能力だ。全力を出されるとおそらく一瞬で負ける」


「僕の心力もリソースを全部『肉体の主導権の固定』に注がないと固定が破られてそのまま動かれたしな」



 仁が苦々しい顔でそうつぶやく。自身の心力に自信があった分悔しいようだ。



「へぇ〜。っていうか仁さんの心力って十個位固定出来ましたよね? それ全部使わないと固定出来ないってやばくないっすか? 兄さんでも五個位で固定されると攻撃がままならなかったのに」


「俺でもは余計だろ。ありゃ大抵の人間が動けなくなるもんだ」


「まあそんな感じである程度戦闘して致命傷を与えたのだが……」


「え?! 伏島くん殺しちゃったんですか?!」



 先程まで伏島優のことを考えてか、ワクワクとした表情をさせていた湯ノ花が不安そうな顔で聞いてくる。



「おそらく死んでないな。先程仁には話したが、肉体の主導権がナナシのときは慌てた様子が無かった。治療出来ると言うことだろう……。おそらく」


「なんか不安だな〜。これで死んじゃってたらどうしよう……」


「なんなら俺の心力で見てみましょうか?」



 足をパタパタとさせて不安な様子を全身で表す湯ノ花を見て、相馬がそんな事を提案してくる。



「ああ、その手があったか。では相馬よ。ぜひ君の心力で伏島優を探してくれたまえ」


「了解です」



 すると、相馬の首元が緑色に光り、目が白目を向く。



「え〜っと……。あ、いました。寝てるかな? 少なくとも死んでる感じじゃあ――グァッ!!」


「オイ! どうした? 相馬! オイ! 大丈夫か?! 相馬!」



 伏島優を見ていた相馬が突然目を抑えうめき声を上げる。慌てて悠馬が相馬に駆け寄る。



「なるほど。どうして俺らのことを知ってるのかと思ったらそういうことか」



 そして、先程の戦闘でも聞いた声が響く。



「テッメェ!! 誰だ!? 俺の弟に何しやがった!」



 悠馬は響いた声の元を探すように周りを見渡すが、何も見当たらない。



「安心しろ。一時的に目が見えなくなるだけだ。俺だって万能じゃないんだ。流石に殺したりは出来ない」


「ナナシか。うかつに心力を使わせたのはまずかったな」


「正解だ。さて、ここに居るのがお前らカノン・リールズの全メンバーか? もしそうなら嬉しいんだが……」


「さぁ? お前に教える訳ないだろう?」



 私はさとられないようにそう答える。



「それもそうだな。まあ、現時点で心力使いが6人居るって分かっただけでも大収穫だ。おっと……時間かそれじゃあな」


「待ちやがれ!」



 悠馬の声は虚しく部屋に響き渡るばかりで、それ以上は何も起きなかった。






 ナナシに強襲されてから一時間、相馬は医務室で休んでいた。



「相馬は大丈夫そうでしたか?」


「ああ。悠馬か。安心してくれ。私の新たな心力、アカシックレコードによると、一日ほど安静にしていれば治るということだ。この心力には全ての物の状態を正確に知る能力がある。誤診はないだろう」


「ありがとうございますっ! ……それにしてもアイツ……絶っ対に許さねぇ! 人の大事な弟を傷つけたらどうなるか徹底的に分からせてやる!」



 悠馬は近くの壁を思いっきり殴り、怒りをあらわにする。



「まあ、落ち着け。今日のことで分かっただろう? ナナシの心力は強力だ。我々の戦力を増強し、徹底的に対策を練る。そうして初めてナナシと対等に戦うことが出来るのだから。

 湯ノ花には悪いが、伏島優に会いに行くのはそれからだ。それに……我々には多くの従者がいるのだ。ヴァーレイ社の社員、総勢700人がな」

敵の姿は、彼らの予想を大きく上回る……。

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