第三話 呪い
タンタン進んで行きます。
アレクサンダーが住んでいるのは、霊山から少し離れたオレッタ王国であった。四季のある美しい国であり、そんな国の勇者としてアレクサンダーは聖剣を使い魔物を倒しては国に平和をもたらしていた。
人々はアレクサンダーを讃え、勇者として順風満帆な日々を送っていたアレクサンダーだったのだが、そんな彼の人生は一人の魔女を助けた事で大きく変化する。
魔女は気まぐれな存在であるから、人は魔女には近づかないのが鉄則と言われている。
けれど森の中でそんな魔女が魔物に襲われており、アレクサンダーはもちろん魔女を助けた。そして魔女にお礼を言われた際に失敗した。
「助けてくれてありがとうよ。お礼に、良い事を教えてあげよう。竜の宝を手に入れな。そうすればあんたは幸せになるだろうよ。」
アレクサンダーはこの時、相手が魔女だという事を意識していなかった。だからこそ言ってしまったのだ。
「はは。面白い事を言うなぁ。竜の宝になんて手を出すわけないだろう?怒らせたら大変だ。」
普通の事をアレクサンダーは言っただけだった。けれど、良かれと思って助言した魔女は激怒した。
「私のいう事を信じられないっていうのか!?良いだろう。若造が。信じさせてやろう!」
魔女はそう言うと杖を振るい、赤い煙がアレクサンダーの体を包み込んだ。
「うっ!?魔女殿!何をした!?」
ぎりぎりと体が痛みはじめ、アレクサンダーは体を丸めると蹲り痛みに耐える。体の中が燃えるように熱い。
「さぁさぁ探せ!宝を見つけ・・そうだねぇ・・・キスしなけりゃあ魔法は解けないよ!ふふふ!真実の愛のキスなんてロマンティックじゃないか!」
「何をっ!?」
気づくとアレクサンダーの体は縮んでしまっていた。しかも聖剣はその力を失い、小さなネックレスへと姿を変えた。
魔女は笑いながら箒に跨ると空を飛んで逃げてしまい、アレクサンダーは呆然とその場に座り込んだ。
話をし終えたアレクサンダーはため息をつき、首から下がっているネックレスをメルルに見せた。
「これでは戦えないし、とにかく竜の宝を早く手にいれるしかないんだ。」
メルルは話を聞き終えるとアレクサンダーを哀れに思い、その背をさすった。
「大変だったわね。魔女はこの庭にも来たことがあるけれど、災難としか言いようがないわね。」
「あぁ。だが、ここでメルルに出会えたのは幸いだった。メルルお願いだ。竜の宝がどこにあるのか教えてくれないか!?」
その言葉に、メルルは何とも言えない表情を浮かべると立ち上がった。
「暗黒竜様が貴方をここに招き入れて、私に世話をしてって言ったってことは、貴方に協力しろってことだと思う。だから手伝うのは構わないのだけれど・・・」
「何だ?」
「・・見たら、分かるわ。」
メルルの表情とその口ぶりに、アレクサンダーの不安は募っていくのであった。
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