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協力者

「なんでこうなるんだ!」


俺は追われていた。別に悪いことをしたわけじゃない。ただの一般市民で普通に働いて食って寝てを繰り返して過ごしていたはずだ。


「勘違いなんですって!俺は犯人を見ていました!小柄で髪に癖のある女が盗んだんですって!」


後ろの怖い顔をしたお兄さん?に必死に訴えてみたが……


「そんな嘘誰が信じるか!ぶつかって振り返ってみたら明らかに怪しい奴が逃げ出したんだからそいつが犯人に決まってるだろ!おとなしくつかまれ!」


全然聞いてくれない。本当なのに。俺もいい加減イライラしてきた。


「誰がつかまるか!俺じゃないって言ってるだろ!本当の犯人が笑ってるぞ!」


言っちまった。あーあ、捕まったら大変だ。


「てめーゼッテー捕まえるからな!」






--------------------------------------------------






俺は一般市民だ。普通に学校に通って普通にアルバイトしてそこら辺の奴らと何も変わらない。まあ友達は多い方ではないがちゃんといる。友達なんて本当に信頼できる奴が一人いればいいのさ。


何か他の奴らと違うことがあるとすればタイミングが悪いことくらいか。なぜかなにに対しても俺はタイミングが悪い。例を挙げるならこの前なんかは顔に傷のある男にスリと間違われて追われたことかな。あの時はひどかった。捕まってぼこぼこにされた挙句、身ぐるみはがされてぽいだからな。犯人じゃないとわかると唾を吐かれて放置。普通謝るとかするだろう。だがしかしそんなことを口に出せばもっとひどいことが起きるとわかりきっているので何も言わない。その日俺は泣きながら帰った。いい年して大泣きしながら夜の街を歩いた。


三日前も同じ学科の知り合いにテキトーに打った相槌が原因で変な噂を流され周りから汚物を見るような視線でにらみつけられるし。それを親友に話すと



「本当に君は愉快だね」


と笑い話のネタか何かと勘違いしているんじゃないか?もっと心配してくれよ。でもあの時何の話をしていたか俺は全く思い出せない。ただバイト代がいくら入るか計算はしていたが、それしか思い出せない。なにか深刻な悩みでもそうだんしていたなら申し訳ない。そんなこと俺に相談すんな。



他にもいろいろあるが割愛。



まあそんなこんなでタイミングのせいで何かに巻き込まれるということが俺の日常である。いつか剣と魔法の世界とかに巻き込まれるんじゃないだろうな。フィクションだからいいものの実際に起きたら笑えないぞ。あれ魔法の感覚ってどうなってるんだろう。頭で考えたらでたりすんのかな。わからん。



しかし元々ガキの頃からよく勘違いされては怒られてきたが最近は本当にひどいな。

それもこれも怪しい女の占い師?みたいのに出会ってからだ。あいつ絶対俺に呪いかけたな。そうでなければおかしい。最近は何か起きる前には必ずあの女がちらつくしな。そうだ!あの女を捕まえよう。


「おーいユウ、一人でぶつぶつ言ってどうしたの?とうとう頭がいかれちゃった?」


そんなことを考えていると親友の理央が失礼なことを言ってきた。


「てめー、俺が何に悩んでるか知ってるだろ。俺は真剣に悩んでいるんだ。」


「気持ちはわかるよ。確かに性病はやばいし。」


「変なこと言うなよ!また噂になるだろう!」


「ごめんごめん(笑)、で今度はどんな愉快なことで悩んでるの?」


「お前なー……。お前にとってはどうでもいいことだろうが俺のこのタイミングの悪さの原因が分かったかもしれない」


「いや、それは空気が読めないからでしょ」


「え?マジ?俺って空気読めてない?いやいや、それだけじゃないって。というか空気読めてるから」


「はいはい。まあ確かにユウはタイミングものすごく悪いよね」


「流すなよ……。それなんだが最近はさらにひどくなっていてな。それのせいなのかはわからんが変な噂がたつし」


「え?性病って嘘なの?」


「当たり前だろう。……お前まさか信じてたの?泣きそう」


「梅毒も尖圭コンジローマも?」


「全部でたらめだ!俺はまっさらだよ。何にも汚されちゃいない!」


「つまりは童貞か」


「うるせーな。俺をいじめたいだけなのか?せっかく立ち直ってきたのに」


「冗談は置いといて、原因って何がわかったの?」


「冗談がわらえないんだよ……。まあ最近のあれこれが起きる前には必ずある人物が視界に入るんだ」


「どんな?」


理央は興味津々のようだ。本当に楽しそうだな。


「基本フードをかぶっていて顔はわからないんだが、癖のある髪がはみ出ていたから多分女だと思う」


「髪が長いだけの男かもしれないじゃん」


「いや小柄だったし、体形からして女だろう。それに一度会ったことがあるんだ」


「どこで?」


「このまえ大通りで占いをやっている女がいたんだがその女に似ている気がする。それにその女あなたの人生は波乱だとか妙なことを言ってやがったし」


「まあ占いなんてそんなものだと思うけどなー」


「それだけじゃない。これからは財布に気を付けろとか相槌に気を付けろとかカバンに気を付けろだとか具体的なことも言ってきた。財布と相槌は心当たりがあるし。だからその女を見つけようと思ってる」


「相手の特徴がそれしかわかってないんじゃ難しいんじゃないかな?」


「確かにそうだが、もうそれしか俺のこの体質をどうにかする方法はない。ということで協力してくれ」


協力者を一人確保した。







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