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 その様子を見て、青年はあきれたような顔をして肩をすくめた。



「やっぱり覚えてないじゃん。あんたはジェダ-282154、西天王専属楽師のジェダ。わかる?」



「ジェダ……?」



 そんな外国人のような名前ではない。



「違う、俺は――」



 また声が出た。


 けれどもやはり肝心の名前の部分だけおかしな言葉になってしまい、どうしても発音出来ない。


 そういえば普段リザネクの名を口にしようとするたびに声が出てこなかった。

 もしかするとこれが夢だからどうにもうまく口が回らないのかもしれない。


 そう思うとすこし落ち着いてきた。この夢が醒めるのを待てば良いのだ。



「うーん、かなりまずい雰囲気だな」



 ラドリは腕を組みながら、眉間に深く皺を寄せた。


 そのまま目の前を行き来し始めるラドリを観察する。


 よく見ると彼の着ている服はどこかの学校の制服のようだった。

 灰色に青のラインが入った地味な上下とラドリの彫の深い大人びた容貌とが酷く不釣り合いに見える。


 うろうろするラドリの背後にあるのは妙に白い壁だった。

 まるで保健室のような内装のそこに、違和感のようなものを覚える。


 本当に保健室なのだろうかと起き上がろうとするが、下半身に全く力が入らず動けなかった。



「ね、あんたさ、アズライールってわかる?」



 ラドリは突然ぴたりと足を止め、こちらを見た。



「アズライール?」



 聞いたことがあるような気がする。いつだったかのニュースでやっていた。


 日本人の少女が携わったとかいう何だか凄そうなコンピュータの名前だったような気がする。



 だがそれが何だというのだ。



 眉根を寄せると、ラドリはアズライールのことを知らないと受け取ったらしい。


 絶望的な表情をした。



「マジかー、アズライールのことも覚えてないのか。じゃあ大災は? リングは? 御殿は?」



「……知らない」



 今度は本当に聞いたことのない言葉だった。云うと、ラドリは天を仰ぎ、両手で顔を覆った。



「駄目だ。ロデューのオーブか、ザードの術じゃない限りどうしようもない。……ザード、何でこんなときにいないんだよ……」



 またもや未知の名前が出てきた。


 一体この夢はいつまで続くのか。

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