表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/46

8

 おそろしい衝撃が全身を駆け巡った。

 感電したような衝撃についでしびれが体を貫く。



「拒絶反応だ! これだから強制離脱は嫌なんだ。ララのやつ、下手打ちやがって! ああ、もう! どうしてこういうときにザードもロデューもいないんだよ!」



 誰かが叫んでいる声がすぐ側で聞こえた。


 聞いたことのない声だ。


 目を開けようとするが、瞼が異様に重く力が入らない。


 体も自分のものではないかのように指の先一つ動かせなかった。



「誰でもいい、誰かベレトを呼び出してくれ! さっき書いた譜の対象を変えるだけでいい――って、アーユス! そこの計器には触っちゃダメだ!」



 ばたばたと走り回る音が何度もそばを横切る。


 何人もの人間の声が入り乱れ、ひどく騒がしい。



「くそ! どうしてシオンのやつ、こういうときに限っていないんだ! ――誰か! アーユスをそこの機士(きし)様から離してくれ!」



 隣に誰かいるのだろうか。



 子供じみた物言いの声とそれをたしなめる女性や男性の声が聞こえる。


 瞼にあけようと力を入れると、ほんの少しだけ持ち上がった。


 けれど本当にわずかなスペースのため、視界は白濁していて全く見えない。



「――わかったアーユ、ちょっとの間でいいから静かにしていてくれ。機士(きし)様の隣にいていいから。だからそこの計器類には触るな。いいな、絶対だぞ」



 足音とともに人の気配も去り、ざわめきは遠くのほうに移動した。


 緊張感がなくなったのか、急に頭がぼんやりとし始めた。



「――いたいの……?」



 その声は思いのほか近くに聞こえた。そしてひどく懐かしいような気がした。



 誰なのだろう。



 目を手でこすろうとしても、その手が自由にならなかった。


 強烈なめまいが襲い、意識が急激に遠のくのを感じた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ