聖蝶 48
つい数時間前の事だ。
中央へと行こうとするトラスの船に、ランザがやって来た。
そして耳を疑うような事を言ってきた。
ランザ「シエロの方は私が何とかする。 だからすまないが、今までの仕事を続けてはもらえないか?」
トラス「・・・嘘でしょ? そんな事を言う為にわざわざ来たの?」
信じられなかった。
父を殺害し、自分を殺害しようとした組織に残れと?
ランザ「シエロに確認したが、シエロから直接トラス殺害の命令は出ていない。 ニュクス達が現場で判断しただけの事だ」
トラス「だから? シエロでは現場の判断も尊重される。 ニュクス達が私を殺そうとしたという事は、シエロが私を殺そうとした事と同義だ」
ランザ「同義ではあるが、同一ではない。 現場のニュクスらの判断は本部でも尊重されるが、だから本部も同じ考えであるという意味ではないし、同じ行動を取るという意味ではないからな。 私がニュクスらを排除しシエロに進言すれば、今回の件でトラスを殺害しようとする者はいなくなる」
トラス「排除?」
ランザ「ああ。 一緒に鞍馬さんの口から過去の話を聞いただろう? あの件でニュクスとハセイを処分する事になった。 それに死んだ事で記憶をリセットされたロロンは、結局記憶を戻さなかったようだな。それが本人の意志だったのかは分からないけどね。 妖精が生前質の悪い奴と契約していると、記憶の妖精が空気を読んで記憶を戻さなかったりするそうだが・・・。真相は分からんな。 妖精は元契約者が死ぬと、あっさり諦めて次の人生を探す場合も多いと聞いた。 だから私はロロンが戻ってくる事を予想して念のために、事前にニュクスの偽の死亡診断書を作っておいたんだが無駄になったよ。 だからトラスと敵対していた近衛兵はもう誰も居なくなる」
それに対し、呆れ口調で答える。
トラス「つまりランザが父の仇を取ってくれるから、今後も協力しろって事? お断りだよ。今更仇討ちなんて考えてなかったしね。 それに宇宙を支配するなんて、そんな馬鹿な思想の人達と一緒に働ける訳が無いでしょ」
ランザ「その意見も理解できる。 しかし私には確固たる目的がある。それにはトラス、君の協力が必要なんだ」
トラスに頭を下げるランザ。
この人が自分に頭を下げるなんて、よほどの事だと思う。
門前払いではなく、少しは聞いてあげた方が良いのだろうか?
トラス「その目的とは?」
ランザ「私が宇宙を支配し、その力を正しい方向へと使って見せる」
トラス「え・・・?」
何を言っている? 頭がおかしくなったのか?
ランザ「星の解析の力を使い、私個人で宇宙を支配するなど不可能だ。 その為の技術も人員も時間も、全てが足りない。 だがシエロならその全てが揃っている。だから宇宙の支配などという馬鹿げた野望が、現実に手に入る所まで手を伸ばせる。 そんな大それた野望を、私が手に入れる簡単な方法がある。 シエロが手に入れてから奪えばいいだけだ」
トラス「ちょっ・・・ちょっと。何言ってんの? 頭大丈夫?」
ランザ「今シエロがトラスを使って行っている実験は、完成すれば神にも等しい力を得る。 それを使ってやりたい事がある。 規律こそが全ての世界を作る。 例えば道端にゴミを捨てれば、神の雷がその者の手を焦がし、二度目は指を一つ奪う。三度目は手首から先を消し飛ばす。 あらゆる罪に自動的に罰が下る。 そういった世界を実現する事が可能だ」
誰しも一度は考える夢想の一つでもある。
悪い事をするやつには、自動的に罰が下ればいいのに。と。
しかし・・・。
トラス(そんな事が可能なのか・・・? そんな子供じみた幼稚な考えを、本当に実現させるつもりなのか?)
そんな事を考えるトラスを置いて、ランザは続ける。
ランザ「そして人工的に地獄と同じような星を作る。慣れる事の無い死を上回る苦痛を与え続けられ、何度死んでも生き返らされる永遠に終わらない苦痛の星。 重犯罪を行おうとした者、過去に重犯罪を行った者は地獄に送る。 素晴らしい世界じゃあないか?」
目を輝かせて言うランザに、絶句するトラス。
トラス「それは冗談で言ってるの?」
ランザ「本気で言っている。 最初に地獄へと送る者たちも決まっている」
トラス「誰?」
ランザが少し考える。
ランザ「・・・それは協力してもらえるまでは言えない」
そう言われ、トラスが考え込む。
仇を討つなど考えていないと言ったが、父を裏切り侮辱したあの二人を討てるならそれに越した事は無い。
そしてランザの望む世界。その世界が本当に良いものなのかは疑問だ。
この考えに乗らないか? という誘いなら、即座に断っている。
でもそうじゃない。考えなければならないのは、そこじゃない。
あのランザが、大真面目にこんな事を言っているという事が問題だ。
つまりシエロが行っている実験は、そんな事が出来てしまう前段階まで来ている?
そういえば・・・レイさんが仕掛けた盗聴器に入っていたハセイの言葉。「もうある程度カードは揃っている」と言っていた。偶然だが、そんな言葉を聞いてしまった。
おそらくだが現状、裏ではランザすら知らない段階まで何かが動いている。そしてランザは薄々それにも気付いている。だからトラスの協力が必要なのだろう。
トラスの能力なら、その「裏」とやらを調べる事ができるから。
だったら中央に逃げても、中央の力を超えた力で捕らえに来るのも時間の問題なのか?
もしそうなら捕まり洗脳され、自我を失い強制的に星の解析の続きをやらされる?
ならば今ここで逃げる事に、何の意味も無いのか?
どうなのだろうか。 逃げる事が正解なのか?
協力する事を拒み逃げる事で、シエロの馬鹿げた野望を阻止できるのなら逃げるのが正解だろう。
しかし「カードは揃っている」の言葉通りなら・・・。
もう何が起きても、計画は滞りなく進むという発言ともとれる。
この状況で逃げる事に意味があるか?
そんな力を使いシエロ(あるいはその一部職員)が宇宙の支配などを企んでいるなら、それから背を向けていていいのか?
今目の前にいるランザは戦おうとしている。私に頭を下げてまで。
そりゃあ悪い言い方をすれば正義感ではなく、自分の欲を実現させるために戦っているだけかもしれないけども。
本当に正義感があるなら世界を支配できる神の力など、本来の目的を達成した後は捨てるのが正しい選択だろう。父が死の間際に言った言葉だ。トラスとしてもそれが一番いいと思う。
個人がそんな力を所有する事を、世界中の誰も望まない。いつどんな暴走をし始めるか、分かったもんじゃないから。
それでも彼女は、逃げる奴よりはマシな選択を取っている?
自分で言うのもなんだが、自分の力だけでシエロ相手に戦えるとは思えない。
でもこの人となら戦えるんじゃないか?
別にランザの野望に協力したいわけではない。だけど。
ここで協力する事は、ひいては自分の為になるか?
過ぎた力をいずれ誰かが手にするのなら、せめて自分たちで管理すべきだろうか。
トラス「勝算はあるの?」
ランザ「無ければ言わない」
トラス「・・・分かった。じゃあいくつか条件を出す。 地球からは手を引く事。 ハセイとニュクスに父を侮辱した事と、殺した人たちに謝罪させてから処分する事。 あと仮にそんな力を手にしたとして、ランザだけで新しい世界を作ってはいけない。一人だけの思想だと、必ずどこか独りよがりな世界になる。私以外にも思想を共にする仲間を見つけ、相談して決める事。 そして最後に興味本位で聞きたい。誰を地獄に送りたいの?」
ランザ「一つずつ答えよう。地球での件は了解した。仕事は困難であり継続は不可能だと上に伝える。 そしてニュクスとハセイの件。必ず謝罪させる。 思想を共にする同志は既にひとりいる。トラスの言うとおり、その人と相談して決めるつもりだ。 最後に。地獄に送りたいのは、私を除く現聖蝶の隊員全てだ」
最後。予想外の答えに驚くトラス。
てっきりシエロの腐った上層部の連中を地獄に送る、とか言うと思っていた。
聖蝶軍所属なんて、真面目なエリートばかりじゃなかったか?
トラス「え? なんで聖蝶を? 地獄に送られるような事してるの?」
ランザ「あいつらは以前、口裏を合わせてジル隊長を殺害しようとした。 それを償わせる」
トラス「ジル・・・って、元聖蝶で現シャロン長官警護の? 全員で殺害なんて初めて聞いたよ。 全員でジル隊長辞職の嘆願書を出しただけじゃなかったっけ?」
ランザ「それは殺害に失敗したからだ」
トラス「失敗・・・。じゃあなんでみんな生きてるの? 殺し合いをすれば、ジルさんか聖蝶たちのどっちかが死んでないとおかしくない?」
ランザ「いや・・・。ふぅ・・・すまない。説明不足だったな。殺害計画を立てたと言っても、直接聖蝶たちがジル隊長を殺しに行ったわけじゃない。 任務の際に計画的に殺害しようとした。それに失敗し、ジル隊長に計画が露見するの避ける為に辞任要求の嘆願書を出した。 それが承認され異例の即日除隊となった。つまり・・・」
トラス「聖蝶軍の任務はシエロから出されるし、正規軍隊長を即日除隊みたいな異常な判断を下したのもシエロ。つまりその計画を聖蝶にやらせた人物がシエロ上層部にいる。 そして上層部の判断を断る権限を持つはずの聖蝶は、それを断らずに実行に移した・・・事実なら、かなり問題だけど」
そう指示した奴の目的はおそらくだが規律に厳し過ぎる隊員が居ると、組織の都合の良いように正規軍を動かす事ができない場面が出てくるからだろう。
というかもう既にそういう事例が多数出て来ていたから、早めに排除しておこうとなったのか。
ジルが聖蝶軍だったにも関わらず、風音の中に居る星の子の事を本人に聞くまで知らなかったり、星の解析実験の事を知らなかったのはこのせいだ。
ジルはランザよりも圧倒的に規律に厳しく、融通がきかないし話が通じない。
知られるとあらゆる行動に規律違反として上層部に楯突いてくる恐れがある。
そんな奴が、宇宙最強の軍隊を指揮できる立場にある。
解析実験なんて彼が知れば、聖蝶軍の全軍を投入してでも全てを白紙にしようとする可能性がある。
風音がジル本人から元聖蝶だと聞いた時に、辻褄が合わないと疑問に思ったのはこの部分だ。
ランザから聖蝶軍はシエロの機密情報を全て知っていると聞いていたのに、ジルは知らない事が多すぎる。どうやら意図的に隠され聖蝶軍をわざと除隊に追い込み、とっとと僻地に飛ばしたからのようだ。
その僻地に敢えて風音が居る地球を選んだのも意図してのものだろう。
規律の鬼とまで言われるジルの事だ。
ブラックリストの風音と敵対するのは必然。そのまま潰し合ってくれればいいと。
ランザ「その通りだ。ジル隊長を陥れたそいつらも探し出して地獄送りにする。 忘れもしない、ランクール崖殲滅作戦。 あとで考えれば全てがおかしかった。なぜか我々が全く関係の無い、国家レベル同士が戦う戦場に駆り出された点。 なぜか都合良く敵戦力が綺麗に二つに分かれていた点。 そしてなぜか到着しなかった味方軍。それを受け、仕方なく二手に分けられた聖蝶たち。 なぜか二手に分かれたジル隊長に誰も付いて行かなかった点。 どうやら全部仕組まれていたらしい。奴らが意図的にジル隊長に敵の総戦力の半分をぶつけた」
怒りの形相で言うランザ。
内容を聞いて驚くトラス。
トラス「ランザはおそらくその計画に反発すると思われてたから、計画を伝えられてなかったんだよね? どうして助けに行かなかったの?」
ランザ「行こうとしたが、踏みとどまった。 事前にジル隊長から言われていたからだ。二手に分かれる際は必ず一隊の指揮を頼むと。 お前が居ないと総崩れになるからと。 ここで私がみんなを置いて単独でジル隊長を助けに行く事で、私に付いて来たみんなを全滅させる方がジル隊長を裏切る事になる。と考えた。 その当時はそれが仕組まれた状況なんて、思いもしてなかったから。 その私の考えすらも、計画に組み込まれていたんだろうな・・・」
トラス「・・・その仕組まれてたって話が事実かどうかより、よくジルさん生きてたね」
普通死ぬだろその状況は。
その反応を聞いて、自分の事の様に誇るランザ。
ランザ「だろう? 凄いんだよあの方は。 当時は私も生きていたと知って、泣いて謝ったものだ。助けに行けなくてすみませんでしたと。 そんな私にジル隊長が言った言葉を、今でも忘れていない。 お前は悪くない。お前は私と決めたルールを守り抜いた。これからも頼む。 と笑顔で私の涙を指で拭きながら言ってくれたんだ」
とランザは言っているが現実は、笑顔で~~以降の行動はジルはやっていない。勝手にランザの中で脚色されて美化されているだけだ。
実際は「こんな時代でもヘルメットって結構役に立つな」とか考えながら、脱いだヘルメットの首紐を弄りつつ言ってたセリフだ。
ランザ「この顔の傷もな。その時のものだ。初めて戦場でジル隊長から認められた事の勲章として残しておいた」
頬の傷を触って言う。
トラス「ああ、それでか。 自力で傷を癒せるランザが、なんで顔に傷跡があるんだろうってずっと思ってたんだよ。 能力を使えない幼い頃に~とかなら分かるけど、明らかに治安組織に入った後に付いた傷だったからさ」
明らかに治療が遅れてしまった傷跡だ。ランザにそんな傷が付く訳が無い。
女性の顔に大きな傷なんて・・・。いくら勲章と言っても、日常生活では思う所はあるだろうに。
と考えるトラスとは真逆の反応を見せるランザ。
ランザ「今でも鏡を見るたび、誇らしい気持ちになるよ」
その嬉しそうな様子を見て、トラスがなんとなく気付く。
トラス「さっき言ってたランザの同志って、ジルさんの事?」
ランザ「そうだ。私の仲間はトラスも含め、今まで大勢いた。 しかし同志と呼べるのは、後にも先にもジル隊長だけだ」
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あれから三時間は経ったか。
目の前にはすでに事切れたニュクスが転がっている。
ランザ「謝罪の言葉を引き出せなくて、すまなかったなトラス・・・」
トラス「いいよ。私が許可を出したんだから」
ニュクスはどれだけ拷問されようが、最後まで謝罪の言葉を口にしなかった。
おそらく彼の態度は死ぬまで変わらないと悟ったトラスは、これ以上苦しませずに止めを刺すようランザに言った。
ランザ「あとはミスルか・・・」
トラス「え? どうして? ヒナバさんとミスルさんはもう放っておけばいいんじゃ?」
ランザ「ヒナバは放置でいい。 だが私の勘ではミスルはニュクス達と同類だ。 一度どこかで掃除屋として働くミスルの過去を調べ・・・」
その言葉を最後に、ランザの首が飛ぶ。
首から上が胴体から離れ、地面に転がった。
トラス「・・・え?」
いつの間にか、刀を携えたミスルが目の前に立っている。
チン・・・。と刀を鞘に納める音が静かに響く。
トラス「なぜミスルさんがここに・・・」
崩れ行くランザの体を見ながら問う。
ミスル「ニュクスに連れて来られたからですよ。ランザさんがこの部屋に来る前から、気配を消して潜んでました。 ランザさんは分かり易い人ですから。ニュクス達を始末しようとしていた事くらい、見れば分かりましたよ。 ニュクスたちもランザさんの様子の変化に気付いていたのでしょうね。 場合によってはランザを始末しなければならないとか言ってましたよ」
トラス「その・・・応援の為に連れて来られた?」
ミスル「ええ。 ランザさんは正面から闘って勝てる相手ではありませんが、気配を消しての暗殺なら得意ですから」
トラス「それよりなぜ・・・。 なぜずっと潜んでたなら今頃? この場所であなたの同志が殺された時に、なぜ応援で出てこなかったんです?」
ミスル「同志? 掃除屋に同志なんて居ませんよ。 各々が各々の裁量で動いているだけ。だから今ランザさんを殺したのも、別に彼らの仇を取ったわけではありません。 私も過去を調べられると面倒でしてね。 ランザさんとあなたには退場してもらう事にしました」
ミスルがトラスに向けて居合の構えをとる。
「ふぅ・・・どう考えても非効率的だと思うがなぁ」
ミスルの背後から声がする。
ミスルが振り返ると、光り輝くランザがそこに立っていた。
しかしすぐに光は消える。
ミスル「ランザ・・・? なぜ・・・」
すぐにランザに向かって刀を抜くが、瞬時に一歩分退くだけで軽く避けられてしまう。
そしてランザがその刃先を素手で握った。
ランザ「お前が潜んでいるのは気付いていたよ。 いつ出てくるのかと泳がせていただけだ。 実はこの立場になって、久しぶりに挑発をされてな。 しかもその相手がブラックリストの音羽風音だ。実に腹立たしいが、奴の言う事も一理ある。 格下と何回闘っても、経験にはならない。 ミスル。お前では私の経験値にならない。 お前と正面から闘っても意味が無い――」
ミスルの刀を、そのまま握り潰す。折れた刀の先が、カランと音を立てて落ちた。
ランザ「だから自分で新たな経験を作ってみる事にした。覚えているか? 街でロロンが戦った音羽風音の部下、トート・セイニー。 彼女の戦法を取り入れてみる事にした。戦術の幅が増えるかもしれないと思ってな。 お前の太刀筋は見えていたが、わざと喰らって死んでみた。 そうすれば勝手に隙を見せてくれるのではと。 まぁその通りにはなった。お前がトラスに余裕の態度で喋っている間、千度殺せたよ。 ふぅ・・・しかしこんな事をするくらいなら、最初から正面切って避けた方が効率が良い気がしたよ。私には合わないなこの戦術は」
自分に合わない戦術の経験を積む事も、一つの成長と言えるか。合わないという事が分かった訳だから。と納得する事にする。
次々に起こる目まぐるしい展開に混乱しているトラス。
トラス「生きてたの・・・? わざと死んでみたって何・・・?」
ランザ「私が扱う神の光は、私の全てを代行する。 今のは死を代行してもらった。 ただしできる事に限界はある。おかげで三日ほどかな、しばらく神の光は使えなくなってしまったが。 移動や呼吸をするのと違って、死の代行は一旦全ての力を吐き出してしまうからな」
トラス「じゃあ・・・ランザは今攻撃にしても回復にしても、一切の技を使えないって事? ミスルはまだ・・・」
折られた刀を捨て、ミスルがランザの懐に入り腹部に肘打ちを――
ランザ「ん?」
手刀でミスルの首を刎ね飛ばす。
ランザ「問題無いよ? これに技は必要無い」
転がったミスルの頭を踏み潰す。
その淡々とした仕草にゾッとするトラス。
トラス「・・・そう。 でも僕も気付かなかったな。ミスルの存在もそうだけど、ランザが気付いているっていうのを、全く表情に出さないからさ・・・」
ランザ「緊張からくる表情の違和感も代行してもらっていたからな。 私は何があっても無表情でいられる。 この感情や表情の偽装は結構便利でな。例えば表情を見て嘘を見抜くという音羽風音の前でも、堂々と嘘をつける。 その逆も可能だ。無表情を消し、表情をむりやり貼り付ける。 そうすればさっきのニュクスたちの様に、わざと嘘の感情を読み取らせて敵の行動を操る事も出来る。おかげでミスルが釣れただろう?」
先程ミスルがランザは分かり易いと言っていたが、彼らはまんまと思惑通りに動かされていたようだ。
トラス「・・・恐ろしいね。笑顔で口では味方だと言っておいて、心の中で何を考えてるか分かったもんじゃないよ」
ランザ「私の表情から心情を読み取る必要なんて無いよ。 仲間に対しては、口から出ている言葉が全て真実なんだから。私はトラスの仲間だ」
ランザが事務室に電話をかけている。
ランザ「―――ああ。新たに一名、規律違反者を処分した。遺体の処理を頼む。 もう床に仕掛けておいた細胞活性治療機は撤去しておいていい」
それだけ伝え、電話を切る。
トラス「二人を回復させてたのって、機械の力だったんだね」
ランザの治癒能力で治しているにしては、いつも治療の時に出ている光が出ないなと思っていた。
ランザ「本来の使い方とは大きく外れているがな。 あれは新鮮な内なら離れた細胞がすぐに引っ付くが、本来ちょっとした怪我を治す為の物だ。だからあんな千切れた手足の様な大怪我に使うと、上手く中の骨や神経がくっつかなくて腕や脚として機能しなくなる事も多い。・・・けどまぁ彼らには関係無いからね。 じゃあそろそろ行こうか。新たな近衛兵を集めるのと、新しい任務の確認だ。 ふぅ・・・忙しくなるぞ」
ランザが部屋から出ていこうとする。
そのランザの背を見て思う。
ランザはジルにそっくりだなんて言われてたけれども。
この人は秩序の塊と言われたジルとはまた違うように見える。
トラス(この人の無秩序な正義が、後の世界にとって吉と出るのか凶と出るのか・・・。 ただ願わくば人類が使うべきではないその過ぎた力を・・・シエロでもランザでもない誰かが、全てを奪い去って無に帰してくれれば・・・)
ランザはその力を手に入れるまでは、聖蝶軍を利用する。
そのランザが手にしてしまう前に奪い取ろうとするという事は、聖蝶軍全てを敵に回すという事だ。
そんな事が出来る存在なんて・・・。
ふと風音の顔が浮かぶ。
フッと一息ついて少し頭を振り、ゆっくりとランザの後を付いて行く。
あとがきーーーーーーー!!!!!!!!
っっしゃオラァ!
やっと終わったわ!
前回のあとがきの予告通り今後敵となりそうな組織の顔見せだけで終わるという、うっすい内容を・・・・・・。
どんだけの文字数かけてんだ!! って話。
で、どうせこの次の話では、そいつら絶対に出てこない!!
まだ次の話は構想すら決まってないけど、それは自信ある!!
さて。落ち着いてあとがきを書いていきましょう。
今回は校正をほとんどしてないので、どっかに矛盾とかが残ってるかも。
だって一回ざっと見直しただけで、三個くらいでかい矛盾が見つかったからね。
あの~~、あれですよ。以前もあとがきに書いたかもしんないけど。
プロットがいるわ。
書いてたら何かが勝手に降りてくるでしょ。とか甘い事を考えながら書いたらあかんわ。
どこかに大まかな流れを書いてさ。
で。特に今回矛盾点を見つけて思ったのは、これも前に言ってたっけ? その人がどの時間帯にどこで何をしているのかっていうのを、ちゃんと明記しとかないとだめだ。
だって今回修正はしたけど、修正前なんてさ。地球で喋ってる描写がある奴が、同じ時刻に他の星にいたからね?
これ修正してなかったら読んだ人は多分、これなんかの伏線かな?って思うだろうけど。伏線ちゃうよ。間違ってるだけよ。
行き当たりばったりで書いてるからそんな事になるんだって。
今回の内容に関して言うと。
タイトル回収の聖蝶ってワードが出てくるまでの終盤付近まではもう、茶番みたいな話で。
本物と偽物が入れ替わるって話で、実は入れ替わってないって話?
これはおそらく読んだ全員が予想できる流れなんだけど。
ここは本編の主題じゃないし、書いてる方も隠す気がなくて。
確か以前ね。変身した奴が本物の振りをする時に、名前の呼び方を間違えるっていうヒントを読者に出してたんだけど。それを作中でネタバラシ後に指摘されるっていう。
今回も分かりやすくヒント出しとけって事で、同じ事しましたね。千丸がトラスに変身している時は主人公のことを「風音さん」って呼んで、本物のトラスは「音羽さん」って呼んでるっていう。
ただ今回は作中では触れなかったかな。
んでこれも見返した時に、めっちゃ間違ってた。本物がめっちゃ風音さんって言ってんのよ。
修正はしたけど、もしかしたら修正できてない所があるかも。
これ一個でも修正できてなかったら、ヒントでも何でもないね。
あとね。トラス氏は一人称が「私」なんですよ。それをよく「僕」って言い間違えてたね。
このミスは本当に多かったね。多分主人公の一人称が僕で、それと一緒に行動してる場面がほとんどだったからかも。混同しちゃってたんだと思う。
これも可能な限り修正したけど、どうせ何個か修正しきれてないんだろうな。これも特に本物と偽物を見分ける伏線とかじゃなくて、ただの間違いだからね。
登場人物の本物と偽物を出す話でさ。話し方の違いをネタにするなら、そこでミスすんなや。というお話でした。
はい次。
今回の話って最後の方ね。過去の話の矛盾点をまるで矛盾じゃないよって、言い訳するために書いたみたいな話でしたね。
地球の治安組織にジルっていう、元本部職員のエリートが主人公とよく関わってるんだけど。
こいつが第一話からずっと、元本部のエリートなら知ってないとおかしい重要な事を何にも知らない奴で。例えば主人公の中に怪物が潜んでるとかさ。名無しっていう宇宙でも指折りの危険とされてる奴がカノンの乗組員に居るって事を知らなかったりさ。
・・・そんな訳ないやんっていう。
一番優秀とか言ってた奴が、それでいい訳ないやん。
だから今回。ジルが規律に厳しい性格過ぎて機密事項を知ると本部に反抗すると思われて、しかもそんな奴が軍を指揮して反抗できる立場に立っちゃったもんだから。重要機密は何も知らされずにとっとと本部から左遷されてたっていうエピソードを書いたわけですけど。
なるほどそんな事情があったから、彼は何も知らなかったんですね。
・・・って作者が思いました。
うんまぁ・・・後付けよ。
こんなん後付けで書いたんよ。
信じられる? 後付けでやで?
こういうのもさ、行き当たりばったりで書いてるから後になってフォローが必要になんねんて。
正直今回の聖蝶もさ。思い付きで書いてるだけで、適当にしか考えてないから。
聖蝶とはいったいどういった人員で構成されているのか?
彼らの目的は?
人類の敵か、味方か?
それは次回までの宿題だ!(俺にとっての)
っていう漫☆画太郎先生の名言を、地で行ってますよ。
まぁなるようにしかならんかぁ。て思ってますけどね。
あとなんかあったっけ。
このあとがきこそ、今考えて書いてますんでね。何か思いついたら・・・。
あ、最近職場で誰も私の言うことを真剣に聞いてくれないんだよねぇ・・・。
そのくせ職場で冗談を言うと、なぜか本気で言ったと思われて面倒な事になってさ。
地が真面目そうに見えるらしく、喋る時も常に敬語なので冗談を言わない奴だと思われてるみたいで。
そう思ってるならそれでもいいけど、じゃあせめて真剣に喋ってる時はちゃんと聞けやって言うか。
あぁすみません、これは作品の話じゃなくて作者近況ですね。
作品に関して何か・・・。
そういえば今回途中でふと思った事があって。
このサイトって挿絵を入れられるのか・・・と気づいて。
挿絵といえば、AIに書いてもらうとかも出来る時代なんですよね。
なんか調べてみると、AIを使うのも基本的には問題ないらしく。もうやっている人もたくさんいるとか?
じゃあ作品が華やかになりそうだし面白そうだから、ここまでの話で(出来るのかどうかは知らんけど)大体一部分に付き一枚ずつくらい挿絵を入れてみてはどうだろうと考えて。
って事は今大体二百部分近いから、二百枚くらい挿絵を入れたろかな!と一瞬だけ思って。
・・・まぁ思っただけで、面倒くさすぎて行動に移さなかったね。
動かざる事山の如しだったね。
あとは次に掲載する話の事でも書きましょうか。
以前一回やった事があったっけな?
本編内で書いてた部分を、長いしテンポが悪くなるから一回カットして。そんで余談として掲載するみたいな回。
今回それが三ヶ所くらいあって。まぁその内の一個はマジで邪魔なだけだったから消去したけど。
二つは一応まだ残ってるので、それを順次公開していく形になりそうかな。
うん、以上!
あとがき終わり!
ってことで、できれば次の話でまた会いましょうね。ばいばい。




