表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

せい、よくしこうていし

静、欲思考停止-→白短髪の彼とひと時の癒し

作者: RYUITI
掲載日:2016/06/14

 穏やかな風が少し強めに部屋の窓をカタカタと鳴らした。

その窓を鳴らした音と同時に、部屋の扉がコンコンと優しく叩かれたので、

「はーい、いいよ。 」そう発した声は自分でも少しだけ胸が躍るような高めの声で、

長く長く一緒になった今でも、ここ最近は毎日に一緒に居るというのに、

相変わらず私は彼がすきなんだろうなと思って、少しだけ、ほんの少しだけ緩んでいた口元を閉じた。

【ガチャリ――。 】扉がゆっくりと空いて顔や身体が真っ白な彼が、

難しそうな顔をしながら私に近づいてくる。

「どうしたのよ? 」彼のその表情を見た瞬間、面倒な話しなのかしら。と一瞬考えてしまうけれど、

もしかしたらそうじゃない可能性もあるので柔らかく聴き耳を彼に向ける。

――――――、

――――、

――。


話し終わった彼はふうと息を漏らした後に、

君を巻き込む形になったこと本当に申し訳ない。なんて言ってきたけれど、

「私は何も気にしていないのよ。 」といじわるそうに言ってみる。

それをみた彼は、少しだけ含んだ笑みを私に向けた後、

私の手のひらに収まるくらいの小さな紙包みを渡してきた。

「ん、これ? 何なの? 」唐突に渡されたこの紙包みを見て、彼の眼をみてそう問いかけると、

彼は、これから先、君に必要なものだからと前置きをした後、開けてごらんと私に開封を勧めてくる。

「驚かしとかじゃないわよね……? 」と少しだけ恐ろしげに包みを開くと、

包みの中には銀色に光る猫の細工が付いたかんざしとか言うのが入っていたので、

驚きと贈り物の効果で彼にぎゅっと抱き着いてお礼を言う。


照れながらも、柔らかくわらう彼は、なんとも愛らしく、

あの街で別々に暮らしていた時なんかよりも自然に、彼の身体に身を任せてしまう。

「ねえ、いきなりこの髪飾りを渡してきたのって、さっきの話に関係あるのかしら? 」

そうぼそぼそと彼の近くで呟いた私の耳元で、

彼は、このかんざしがさっき話した件に重要なモノであること、

別の用で自分が家を離れなければいけない事をゆっくりと話してくれたの。


不満になることは無かったけれど、

不安になることは有るし、

心配だってしてしまう。

それでも、お節介焼きなのはお互いさまねと声をかけて、

笑いあうのが私たちなのよねと言いながら微笑む空間が幸せであることには変わりなかった。


幸せでもやっぱり何度だって不安だわと考えていたら、

彼はそれに気付いてしまったみたいで、私の頭をゆっくりと撫でた。


もう――。

「不用意に撫でないで ?」離れたくなくなるから。

彼は蒼流の魔法使いの師によって得た色の違う左目で私を少しだけ見た後、

行ってきます。なんて言うのだから、私は嫌じゃないため息をはあっと吐いて、

今から蒼流の魔法使いに逢うために、空間世界を移動する彼に「いってらっしゃいね 」とほほ笑んだ。

彼は――魔法使いの師に貰った蒼色の左眼を手で隠すと、

視覚化した光の粒のようなモノと一緒に、私たちの家を後にした。


彼が家を出るのを見届けた私は、

腰に手を当てて、気合いを入れる。


久しぶりに面白くなってきそうな状況に心が躍りそうになるのを堪えつつ、

私の撫子色の肌が熱を上げるのを感じて、

「さてと、それじゃあ私も、大胆に争奪戦に参加するとしましょうか。 」


そう言って家を後にした私が、

久しぶりにもうスピードで駆け抜けた原っぱは、懐かしいようでとてつもなく心地がよかったわ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ