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VRゲームでも運と愛し合おう!  作者: 藤島白兎
第六章 歩みを始めた2人を
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第五話 前説 早退のお知らせ

 今日も今日とてゲーム屋でバイトの長谷川と荒野原。

 何時も通りボチボチお客様さんが来る。

 昼休憩も終わってまったりと店番をしていた。


「今日もいつもと変わらないね~」

「それが日常生活ってやつだろ?」

「そうだね~非日常はゲームだけで十分だよ」

「ああ」


 長谷川のスマホが震えて確認する、画面を見て一瞬怖い顔をした。

 そして自分を落ち着かせる為に深呼吸をする、もちろんそれに気付かない荒野原ではない。


「……」

「長谷川君?」

「どうやらゲーム内はやはり非日常らしい」

「どったのさ、怖い顔をして」

「斬摩さん……じゃなかった、斬銀さんがやられた」


 長谷川がスマホの画面を荒野原に見せた。

 そこには病院のベッドで寝ている斬銀が居た。

 スマホに写っている画面は、レアスナタのゲーム内アプリだ。


「えっ、病院送りじゃん」

「俺はこれを見すごせる程人間出来ちゃいねぇ」

「茶化す言い方になるけど、魂貫通ってやつだね」


 魂貫通、それはロールプレイ等に使われる言葉だ。

 演じているキャラクターとしてではなく、プレイヤーとして心にきた時に使われる。

 つまりは縁というよりも、長谷川として許せないという事だ。


「どうやら犬の神にやられたらしい、まあ……ゲーム内の事だしな、仕事終わったらダッシュだ」

「こりゃ仕事放棄フラグ」

「いやダメでしょ、仕事はしましょう」

「話は聞かせてもらったぜ」


 店長が何時の間にか後ろに居て、長谷川達は少し驚きながら振り返った。


「行って来い長谷川、荒野原も今日はあがっていいぞ」

「あら」

「たまには俺が店番しないとな」

「店長、ありがとうございます」

「お前は休めと言わないと休まんだろ?」

「そうですか?」

「雇ってる俺が言ってるんだぜ?」

「すみません店長、行ってきます」

「おう」


 こうして長谷川達は仕事を早めに終えて、何時も通りゲートへと向かっていた。


「長谷川君にしては感情的に行動したね」

「え? 俺は比較的そだよ?」

「今日は特にそうだね~」

「そりゃそうだ、俺がゲーム内で一番最初にあった人だ」

「出会いって聞いたっけ?」

「言ったような……言ってないような? まあもう一度説明すると」

「聞こう聞こう」

「ゲーム内でつまんない顔をしながら、ブツブツとくだらない事を言ってたらさ」

「話しかけられた?」

「ああ、どうしました? そんな怖い顔をして、私用のキャラクターですが、私は運営ですよってね」

「おお……言ってる事はかっちょいいんだけど、上半身脱いでる男か」

「まあ俺も警戒したけども、直ぐに信用出来たよ」

「そうなの?」

「ああ、ゲームが好きな人の喋り方だった」


 長谷川は本当に楽しそうに話している、彼には斬銀との出会いは蜘蛛の糸だったのだろう。


「俺のその時の気持ちや悩みを聞いてくれた人、そして縁としてゲーム内で自分の考えていた設定を生かしてくれた人だ」

「超恩人だね」

「ああ」 

「なるほどなるほど、そりゃ魂貫通だね~」

「ま、犯人は許すロールにしようかなと」

「あら?」

「何もされないで許されるという事は……後で何をされても仕方ないだろう?」


 これは一言で説明するならば、許さないと同じ事である。

 例えば罰金を払った、これは罪に対しての罰という事だ。

 何もされにいという事は……もっとも残酷なのかもしれない。


「なるほど……つまりは罰が下って無いからさ? いつまで許されるのか、また何かした時に積み重ねになったりとか」

「ああ、それに……神は慈悲深いからな」

「ふーん……だったら私は殺意マシマシで行こうか」

「あら?」

「何時も通りって訳じゃないよ? 旦那の恩人に手を出したってんならさ」


 荒野原というよりも結びとして答えたのだろう、目付きが本気で殺す眼をしていた。


「絶対にぶっ殺す、まあ縁君の考えを最優先するからさ」

「ありがとう」

「あ、ゲーム内も大切だけどさ」

「どしたの?」

「俺昼飯食べて無いや」

「え? それは食べなゃダメでしょ? 休憩あったよね?」

「いやー今日も午前中で終わると思ったんだよ、休憩室のお菓子食べたけどさ」

「ちゃんと食べましょう、てか言ってよ~お弁当作るよ~?」

「だな、英気を養うか……ああ、昼」

「よし、どこかへ寄ってから行こう」

「ああ」


 軽食を済ませた後にゲートへと向かった。

 今日の縁もとい長谷川達は少し違うかもしれない。

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