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VRゲームでも運と愛し合おう!  作者: 藤島白兎
第六章 歩みを始めた2人を
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第四話 幕切れ やはり一目置かれている

 一本槍の元へと向かった縁達、現場に辿り着くと人型や獣型の犬が倒れていた。

 おそらくは山で修行をしていた一本槍を襲撃したのだろう。


「おやおや? もう終わってるね」

「一本槍君がこの程度の神にやられる訳が無い」

「縁先生、結び先生、お久しぶりです」


 一本槍は大人びていた、立ち振る舞いはもちろんの事。

 だが一番は雰囲気が達人の領域へと入っていた。

 何がと言われれば答えられない、言葉では表せられない。

 少し汚れた衣服と強い眼差しがそれを助長させていた。


「見ない間に強くなったね~」

「まだまだこれからですよ」

「んで、どうして襲われたのさ?」

「何やら縁先生と因縁がありそうな事を言ってました」

「いや無いな、結びさんにボコられて直ぐに復讐に動いたんだろう」


 縁は一本槍が対象した神へと近寄って行く。

 その中では実入りが良さそうな服装をしたいた。

 つまりはリーダー的存在の可能性が高い。


「で、お前らは何がしたいんだ?」

「けっ……低俗の神が調子にのってんじゃねぇ、俺達の復讐は始まったばかりだ!」

「ほう? 多分だが結びさんにボコられて俺の関係者を襲って復讐か?」

「これは『犬の神とお前達』との戦争になる! 覚悟しておくんだな!」


 縁は相手の言葉を聞き逃さなかった、『犬の神とお前達』という部分だ。

 表情を変えずにリーダーを見下ろしている。

 リーダーは今にもかみつきそうに威嚇をしていた。


「大きく出たな? 俺は戦争経験者で生き残ったんだが? いいんだな? 戦争で」

「ハッ! 人と争っただけの神が偉そうに」

「そうか……ならあの神に今回の詳細を伝えないとな」


 縁はカミホンを取り出して話を始めた。


「犬神様ですか? お久しぶりです……ええ、急ぎの用事です、ご足労いただきませんか? ありがとうございます」


 縁が通話が終わると、高そうな着物に身を包んだ老犬が現れた。

 人型とかでも亜人でもなく犬である、そしてその傍に犬の亜人の付き人が立っていた。


「おうおう、縁の坊ちゃん」

「犬神様、お久しぶりです」


 縁は深々と頭を下げた、それを見た一本槍と結びも続いた。

 そして、倒れている襲撃者達は驚いた顔をしている。

 その中でもリーダーは絶望的な顔をしていた。


「縁君、この犬のおじい様は誰なのさ?」

「この方は犬の神の最上位に居る神様だよ」

「縁君って凄い人達と知り合いだよね~」

「何、縁の坊ちゃんが昔暴れてた時に知り合っただけだよ? 俺の社を壊した時にな」


 その言葉を聞いてその場に居る者は縁を見た。

 社を攻撃する事、それはその神への宣戦布告を意味している。


「いやいや縁君、なにやってんのさ」

「ああ大丈夫だよお嬢さん、壊れた経緯ってのが大切でさ」

「まあ……確かに? 手違いの可能性もあるし?」

「縁の坊ちゃんが壊したの街に俺の社があっただけの話さ、まあ俺の社を壊したかった訳じゃないって事だ」

「縁君、ちゃんと確認しないと」

「そうだな、本当に申し訳ございません」

「いやいやいいんだよ、あの時の事はちゃんと話し合って決めただろ?」

「縁君とどういう約束したんですか?」

「将来俺と同格の神になるなら許すと言った」

「えぇ……無理じゃない?」

「まあ普通はそうだな、だがガキで根性あるギラ付いた目をしてたからよ、だから将来スゲー神になるなら見逃すと言ったんだ」

「おお……社壊されたのに懐の広い神様だ」

「本社じゃなかったし、小さい社だったしな……それに」


 犬神は縁を見定める様に見た、今までのほほんとしていた雰囲気がから一変した。


「俺の目に狂いは無かったな……で? これはどういう事だ?」

「そこの神が大きく出まして、犬の神とお前達との戦争って言葉を使いましてね」

「ほーう? どうしてそうなったか話せ縁」

「はい」


 縁は地獄谷の一族に起きた事を簡単に話した。

 犬神は聞けば聞くほど顔が睨みを効かせて来る。


「なるほどな……おい、コイツは何処の神の派閥だ?」

「少々お待ちください」


 付き人がジッと倒れているリーダーを見て直ぐに返答をした。


知犬(ちけん)の一族ですね」

「アイツらか……元祖十二支だからってまだ調子に乗ってのか?」

「犬神様質問~、その知犬ってさ……」


 結びは無邪気に手を挙げると同時に、目に映る者を滅ぼす目をしていた。


「この私でも殺せる?」

「待て待て界牙流の四代目、アンタに暴れられたら犬の一族そのものが滅びかねん」

「あら、知られてた?」

「そりゃそうだ、縁に伴侶が出来た事は衝撃的だったからな」

「……縁君、恋人出来る事を驚かれる程暴れていたのね」

「ああ、だが後悔はしていないよ? 妹を守った結果だからな」

「まあ話を戻して……縁君が確認したいのはさ、そこの神が『犬の神達とお前達の戦争』って部分だよね?」

「ああ、組織に属している奴の言葉は……『その組織の言葉』として受け取られてもいいって事だからな」

「まあ確かにそうだね、大変だね~組織に属するってさ」

「縁の坊ちゃん知らせてくれてありがとうよ、取り返しがつかねぇ所だった」

「そうなの?」

「当たり前だろ四代目、神としての位は低いだろうが……今の縁に本気で暴れられたら手を付けられねぇ」

「あら~縁君強い」

「四代目、お前さんもだ」

「あら」

「……はぁ、知犬の奴らどうやってケツを拭くんだよ」


 唐突に難題を突き付けられている犬神。

 それはいたずらをして見つかった犬の様に困った顔をしていた。


「縁の坊ちゃん俺も手を回すけどよ、手が届かない部分もあるぜ?」

「はい、もう容赦なくやりますので」

「縁君が暴れるなら私もだね~」

「名前負けしてるじゃねーか、知犬の野郎共」


 名前負けしている、知の犬と書いて知犬、見る限りただの裏社会の者にしか見えない立ち回りだ。

 武力には武力、舐められてるから復讐、結びの実力を考えて負ける事は無いだろう。

 そしてそれを見ても勝てると思っている時点で愚かなのだ。

 もはや付ける薬も無いだろう。


「縁の坊ちゃん、この場は俺に任せてくれ」

「はい」

「んじゃ学園に帰ろうか」

「学園に?」

「一本槍の話を聞こうかなと」

「わかりました」

「んじゃ行こうか」


 縁、結び、一本槍は桜野学園へ向かった。

 本格的に地獄谷を気に食わない組織との戦いが始まる。

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