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VRゲームでも運と愛し合おう!  作者: 藤島白兎
第六章 歩みを始めた2人を
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第四話 演目 もう見逃せない

 縁達の物資の支援と人脈で、京子の村は何とか衣食住は確保したのだった。

 そして、一つ目の妖怪の処遇は縁達には話されなかった。

 内々に処理するとの事、縁達もそれを了承した。

 今はひと段落して雑談をしている。


「ありがとうよ2人共、これなら何とかやれるよ」

「いいんですわよ京子ちゃん」

「でも何で神の力を使わないんだ?」

「あら? 神はタダでは動きませんよ?」

「言ってみただけだよ」

「あら? 炎花さんから――」


 その時絆のカミホンが鳴った、顔が険しくなり縁を見た。

 

「お兄様緊急です学園の保健室へ、ごめんなさい京子ちゃん、今日の所は失礼します」

「ああ、積もる話はまた今度な」


 絆達はその場を離れて桜野学園の保健室へ。

 そこで見たのはベッドに座っている地獄谷だった。

 ほほにガーゼを貼っているが、他には外傷は目立っていない。

 天空原も居て椅子に座っていた。


「炎花さん、大丈夫ですか?」

「何があった?」

「絆、縁先生、ちょっとやられちゃったにゃ」

「どうしたんですの?」

「寮の部屋で手紙読んだらこれにゃ、でも流石結び先生にゃ、顔の傷だけですんだにゃ」

「縁先生……地獄谷が狙われる理由って……地獄から地上に出て来た事を気にくわない神が居るんですよね?」

「ああ、そういう神が居るって事だ」

「……」

「天空原君、地獄谷さん」


 本当に悔しそうにしている天空原と、どこかもう慣れている顔をしている地獄谷。

 学生にこんな顔をさせている、いや、先生というよりも神として見過ごせなかった。


「君達の縁は俺が守ろう、俺は神としてもう我慢の限界だ」

「あ、そうにゃ、結び先生は絶対に許さないと言って何処かに行ったにゃ」

「おそらく実行犯の所に行ったな……絆」

「はい、お兄様」

「お前の神の知り合いに根回しと経緯の説明をしといてくれ」

「わかりました、では早速、皆様ごきげんよう」


 絆は軽く頭を下げてその場から消えた。

 そして縁は地獄谷と天空原に頭を下げる。


「天空原君、地獄谷さん、すまない……後手に――」

「いいんだにゃ先生、最近先生を見ているとにゃ? 神がおいそれと力を使っちゃ安いと思う様になったにゃ」

「炎花の考え方で言うなら、炎花を殺そうとしている奴らは安いって事になりますね」

「ああそうだ天空原君、理由が『地獄に落ちた奴は一生落ちてろ』だからな、このご時世に」

「……」


 天空原は一段と握り拳を作った。

 この悔しさの拳は何回目なのだろうか?

 縁はこれ以上作らせない為に天空原に質問をした。


「天空原君、君に聞くが」

「はい」

「これから俺は元凶とドンパチする」

「はい」

「いくら俺が強くても全ては守れない」

「はい」

「大切な人を守れるかい?」

「俺1じゃ無理です、だから色んな人に頭下げます」


 天空原は今の自分の実力を考慮して答えを出した。

 見ていない所でも生徒は成長するんだなと感じる縁。

 覚悟を決めた男に言葉を送った。


「良き縁だ」

「はい」

「地獄谷さん」

「にゃ?」

「いい縁を選んだな」

「ふふん、これでも招き猫にゃ」


 左手を招く様に動かした、左は人を招くと言われている。

 つまりは良き縁を招いたという事なのだろう。


「任せたぞ? 天空原君」

「はい」


 縁は桜野学園を後にした、移動したのは神が飲み食いする場所。

 言わば神が通う繫華街の様な場所だ、とあるボロボロの店へと入っていった。

 その店は内装もボロボロだった、これは意図的にそうしている感じだ。


 カウンターに居たのは、心闇天女(こころやみてんにょ)だった。

 心の貧乏神で、貧しい心を持つ者に制裁を加える神だ。

 少し昔、面白いからと縁と一緒に過去に行った神だ。


「……おや? 縁じゃないかい? アンタがここに来るなんて珍しいじゃないか?」

「久しぶりです、心闇様」


 店内には様々な神様が談笑と酒と料理を楽しんでいた。


「なんじゃなんじゃ? 天女と呼んでくれて構わないよ?」

「少々皆様にお願いがありまして」

「ふーむ? 聞こうじゃないか?」


 縁は簡単に今起きている事を話した。

 地獄に落とされた猫の一族が学校に通っている事。

 その猫が一部の神から殺されかけている事。

 そして、今更ながら全力で力を振るう事を話した。


「はーん……十二支のクソ犬がまた悪さしているのかい?」

「アレだろ? 猫がネズミに騙されたってやつ」

「そうそう、一般ではそうなってるけどさ、真実は違うんだよ」

「真実? 姉さん、どういう事だ?」

「悪いはその時のクソ犬さ、当時の事情とかもあったんだけどさ」


 いつの間にか縁の話を他の神達も聞いている。

 興味深々に聞いている神が多かった。


「あの時地獄に落とされた猫ってのは元妖怪でさ、猫の恨みを力にする一族だったのさ」

「へー」

「力があるから神に選ばれるあのレースに出たのさ」

「え? 天女さん、あのレースって神様になる選別だったんですか?」

「そうだ縁、ここまで言えばわかるだろ? 大小あれど猫を気に食わない奴らが居たのさ、時代だね」

「時代ですか」

「ああね他の奴らもいい顔はしなかった、だけどねその中で犬が一番クソだったて話だ」

「姉さんハッキリと言ってくださいよ、何をしたんすか? その当時のゴミ野郎」


 近くに居た若い神が本気で怒って天女に対して質問をする。


「ネズミ脅して罪なすりつけた、で、他の奴らは見て見ぬふりをした」

「はぁー!? いや、待ってよ姉さん!」

「落ち着きな、昔の価値観に今の価値観ぶつけるんじゃないよ」

「いや、そーすけども!」

「過去の話は置いといて、ここは縁の話を聞こうじゃないか? 何がしたいのかさ?」


 天女の一言で縁に注目が集まる、縁周辺の神々は言葉を待った。


「……では遠慮なく言いますが」

「おうよ、お前は何がしたいんだい?」

「俺の妻が多分……いや、今確実に犬の所に殴り込みに行ってます」

「ほう」

「皆様に根回しと手伝いをお願いしたいと」

「縁」


 天女はお酒を一杯縁に差し出した。


「金だけ出してお願いなんて寒い心はすんなよ? 私は心の貧乏神やぞ?」

「もちろんです、おだいじんお願いします、もちろん話を聞く聞かないは置いといてです」

「昔のアンタなら金置いて去ってただうね、ま、あたしゃアンタの話に乗るよ?」


 天女は店内に響き渡る大声でこう言った!


「おいお前ら! 縁の神様が皆と縁結びをしたいとよ! つまりはおだいじんだ! ここは一つ仲良くしてやってくれ!」


 それを聞いた神々は天女の方を見る。

 その後でざわざわと店内が一段と騒ぎ声が大きくなった。


「この店でおだいじん?」

「何だが景気がいい話だな?」

「あれ縁のボウズじゃねーか?」


 神々が縁の話を聞く大義名分は出来た。

 後は乗る乗らないはそれぞれの神頼みだ。

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