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VRゲームでも運と愛し合おう!  作者: 藤島白兎
第六章 歩みを始めた2人を
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第三話 演目 賞賛と称賛に値しない

 縁とシンフォルトはキャンプ場へと帰って来た。

 色鳥達は茶菓子を食べながら飲み物を飲んでいる。

 グリオードは居るが陣英は居なかった。

 

「おうお帰り、そっちはどうだった縁?」

「なんて事は無い色鳥、シンフォルトが全て終わらせてた」

「そりゃそうか手を出すなんてアホがする事だ」

「あれ? 陣英は? グリオード?」

「アイツなら訓練と称してスニーキングミッションをしているよ」

「は?」

「武器も防具も無い状態から制圧するとさ、その心意気には称賛するが……」

「グリオードは大丈夫だったのか?」

「山の幸を私に押し付けたよ」


 グリオードはビニール袋に入ったキノコ等の収集物を縁に見せた。


「皆好き勝手してるなぁ……」

「では私も好き勝手しようか」

「え?」

「親友を巻き込まれたら黙ってられん」

「どうしたグリオード?」

「縁さんご説明しましょう! 言うならば国民への攻撃は国としての対処が必要です、ですが今回は私達への攻撃……つまりは個人的な恨みで動けるんですよ」

「いや……王様としてどうなんだ?」

「私とて人間だぞ? 怒りに任せる時もある」


 グリオードは当たり前だと言わんばかりの顔をしている。


「待ってくださいグリオードさん? 白眩身(しろくらみ)さんが黙ってないのでは?」

「博識、麗華(れいか)は悪魔だぞ?」

「氷系の技に関してはピカイチな方ですね? 私はあまりお話した事はありませんが」

「悪魔は契約を守る、私も麗華と契約をした」

「あらあら? 内容を話してもいいのですか?」

「隠す事でもない、契約の一つに『友人が何かされたら王様としては動かない』とね」

「なるほどです」

「と言う訳で縁、手伝ってくれ」

「え?」


 縁は豆鉄砲をくらったような顔をした。


「手伝うって何をさ」

「ボウリューンへ殴り込みに行く」

「はぁ? いやいや、何で俺なんだよ、てか国家間での戦争だろうに」

「そうだ、国に対してならくにで返した、だが今はプライベートだ、だったら私もプライベートで返す」

「……何で俺なんだ?」

「この中で一番まともだと思うからだ」

「そう……か?」

「ふふん、では私が説明いたしましょう! 色鳥さんは間違いなく普段遊べてない分、間違いなく敵で遊びます、シンフォルトさんは説法しそうですし、私は解説と説明をした結果、相手を煽り散らかすでしょう」

「付け加えるが……結びさんが過激だから俺が落ち着いて見えるだけでは?」

「まあまあたまにはいいじゃないですか? 暴れても? 私達はティータイムをしつつディナー下ごしらえをしていますから」

「……」


 いずみの言葉を合図に各々何かしらの作業をしだした。


「無理にとは言わないよ縁」

「わかったわかった、久しぶりお前の『能力』を見たくなった」

「ああ、存分に使おうじゃないか」


 そんなこんなで縁は、グリオードの案内でボウリューンへとやって来た。

 転移魔法で難無く目の前へとやってきたのだが、やはり武力国家なだけあって堅牢な外壁の作りである。


「ふむ……武力国家って感じだなぁ、グリオードどうするのさ」

「正面突破だ」

「脳筋だなぁ」

「シンプルと言ってくれ」


 グリオードを先頭にしてボウリューンの検問へと歩いていく。


「む? 貴様……グリオード・グリエタチ・グリンダスルトか!」

「ここが何処かわかっているのか!」

「わかっているからここに居る」


 警備兵は当たり前の反応で銃器をグリオードへと向けた。


「死ねぇ!」

「くらぇ!」


 だが彼らの銃器は暴発した、手から血を流していて見るからに重症だ。

 そしてあまりの痛さからか、のたうち回っている。


「ぐぁ!」

「いってぇぇぇええぇぇぇぇ!」

「称賛に値しないな、武器の手入れを怠るとは……行くぞ縁」

「相変わらず怖い加護だな、称賛や賞賛に値しない者を拒否する力、博識さんが喜んで解説してくれそうだ」


 グリオードの称賛と賞賛の加護、この加護の最大値の使い方。

 それは相手の行為が賞賛と称賛に値するかの判別だ。

 つまり先程の警備兵は『グリオードの命を狙ったから称賛されない行為』という事。

 称賛と賞賛の加護は言わば、褒められない行動を拒否出来る。

 これも力の一部でしかない、神の加護は完全には説明できないからだ。


「私も一度この加護で痛い目にあっているから、使い方は間違いたくないが……間違う理由をこの国の者達は作った」

「一般市民はどうするんだ?」

「ここの国は子供の時から戦争を叩きこまれている」

「おいおいマジかよ、このご時世に」

「だが子供は殺さん、子供だからだ」

「つまり?」

「成人してなお私に武器を突き付けるなら死ぬだけだ、残念だが」

「……大丈夫か? 王様なのに」

「自国や友好国の民は気にする」


 グリオード達は真っ直ぐ城へと歩く、その道中子供達と遭遇した。


「あ! アイツ凶悪犯のグリオードってやつじゃないか!?」

「本当だ!」

「倒せ! 倒せ!」


 子供達は素早くグリオード達を囲み行く手をふさいだ。


「可哀そうだ、子供を戦争に使うとはな」

「それには同意だ、どうするんだ?」

「手を出さない」

「だな、子供は純粋だからこそ善悪が無いしな」

「親の役目だがな」

「で、どうするんだグリオード」

「ん? このままこの国を崩壊させる」

「いいのかよ、そんな脳筋で」

「いいんだ、相手が武力ならこちらも武力、相手が経済ならこちらも経済だ」

「なるほどね」

「称賛に値するだろ?」

「うーんまあうーん」


 2人は子供達の事など気にも留めずに話をしていた。


「お前も仲間だな! 死ね!」


 縁は子供の殺意に反応して神様モードになった。

 白い着物をベースとし、黒色の模様がある姿。

 この間虎毘沙好天(とらびしゃこうてん)に対してキレた時の姿だ。

 襲い掛かろうとした子供は突然戦意を無くした。

 絶対に勝てない化け物を見ている様な目で縁を見ている。


「つい殺意に反応してしまった」

「縁、見ない間に神様モードが何か凄い事になってるな?」

「ああ、前までは結びさんの愛だけを表に出していたが……今は善悪全ての信仰を放っている」

「うーむなるほどね、悪い信仰心を良き縁で縛って正気を保っているのか、これは正に縁の積み上げてきた縁」

「ああ」

「それより早く終わらせようぜ」

「ふむ……それもそうだな」


 道中説明するまでもない、何物も縁達は止められなかった。

 そしてボウリューンの王様の所へとやってきたのだが……明らかに不自然だった。

 周りに誰も居ないのだ、グリオードはそれを見てため息をしたのだった。


「私もここで終りか……私は止めたのだが配下が勝手に話を進めた、さ、私を殺して終わらせろ」

「なるほど、つまり戦争はまだまだ続くのか、貴方を殺して終わるほど戦争は簡単じゃありませんよ、わかっているでしょう」

「……ん?」


 縁のカミホンが鳴って画面を見ると、結びからの電話だった。


「お? 結びさん?」

『はろぅ、私の愛しい旦那様』

「どうした?」

『グリオードさんの所で女子会してたら、何か攻め込まれてさ』

「ふむ」

『麗華さんが物凄いニコニコして出ていったんだけど……グリオードさん居る?』

「ああ隣に居る、ちなみにその仕掛けた国のお偉いさんの目の前にも居る」

『あらら? 縁君、私も暴れたいんだけどいい?』

「やめなさい、麗華さんに任せておきなさい、お客様なんだから」

『ちぇーわかったよ、んじゃね~』


 縁は相変わらずな彼女に軽くため息をした。

 グリオードはわかっている顔をして縁に聞く。


「私の国に攻めてきたのだろう?」

「そうらしい」

「ふむ……今日は帰ろう」

「なっ!? 私を殺さないだと!?」

「影武者を殺して何になる?」


 影武者は悔しそうな顔をしていた、影武者らしく殺される事を願っていたのかもしれない。

 縁達は元来た道を戻ってボウリューンの街から出た。


「やはり単独で決着は良くない」

「えぇ……何しに来たんだよ」

「下見だ、下っ端がどれくらいの戦力かなと」

「なんだか無茶苦茶だ」

「しかしこの規模の偽物を作れるとはな、本国は何処にあるんだろうか」

「なるほど、情報が正しかったか見極めたかったと」

「ああ、だがその本国も近々大打撃だろうな」

「そうなの? 」

「麗華は悪魔だからな、俺も知らない手で情報は掴んでいるだろう」

「優秀な参謀だな」

「賞賛に値するだろう? 俺を影で支えてきた功労者だ、ジンもな」

「俺必要無かったじゃん」


 縁はため息をしながら空を見た、何だかんだと夕方になっている。


「縁、親友達とこの先二人っきりはそうそう無いぞ?」

「まあ……そうかもな」

「付き合ってくれてありがとう」

「付き合いなら殺伐してない事で誘ってくれて」

「王様のお忍びって難しいんだ」

「苦労しているな」

「その点縁は羨ましいよ」

「そう?」


 縁とグリオードはせっかくだからお喋りをして帰る事にした。

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