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VRゲームでも運と愛し合おう!  作者: 藤島白兎
第六章 歩みを始めた2人を
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第二話 後説 三丁目のお知らせ

 一区切りついた所で縁達はロビーへと帰ってきた。


「お疲れ様縁君」

「お疲れ様結びさん」

「いや~何か知らないけど色々と進んだね」

「うむ、昔考えた縁の最強形態を出すとは思わなかった」

「おお、蔵出しさせた」

「正直言ってホコリ被ってたけどな」

「最強形態考えた時はいつ?」

「うーん……高校の時だったかな」

「その時の製作想いは?」

「絶対に愛している人を守る」

「げっへっへっへっへ!」


 何時も通りのイチャイチャをしていると――


「おーい縁」

「色鳥……久しぶりに会ったな」


 縁が振り返ると数ヶ月ぶりに親友の姿を見た。

 リアルでも色鳥は会っていない縁、何時も大切な彼女と一緒だ。


「うむ、正直言って声をかけづらいだろ」

「え?」

「初めて出来た彼女、しかも結婚を考えている相手との時間をさけんよ」

「いや、今しかないだろ」

「む?」

「結婚したら俺達は子供が欲しい、そしたらゲームやってる時間は絶対に少なくなる」

「……お前からそんな言葉が出て来るとは」


 色鳥はゲーム内エフェクトを使って泣き始めた。

 縁はそこまでして驚くのか、と内心少しだけショックだった。

 まあ今までゲームだけの奴が、愛だの恋だのと言えばそうかと考える。

 だが――


「お前は俺を何だと思っているんだ」

「人生レアスナタだけの奴」

「失礼な、最愛の人の為に少々自重する気持ちはある」

「自重なのか」

「ああ、ハッキリとレアスナタしてない君の価値は? と言われた事がある」

「……それはそれでどうなんだ?」

「お、待てい縁君! そこだけ切り取るな! 感情論ではなく何故選んだか弁論大会ひらいてやろうか!?」

「すまない結びさん俺の言い方が悪かった、いくら親友でも俺達の仲良しは全部は理解出来ないよな、これは俺も感情ではなく――」

「わかったわかった、勘違いしないから落ち着け」


 色鳥はため息をしながら縁の肩に手を置いた。

 親友だからそこ、友と彼女の相性はなんとなく理解は出来る。

 類は友を呼ぶという事だろう、それに親友とは言え2人の間に入るのは間違いだろう。


「で、何の用だ?」

「加護持ちで久しぶりに集まろうと話があってな」

「ほう」

「なんと今度の土曜日は全員空いているらしい」

「マジかよ!」

「ほっほっほ、話はわかった」


 結びはメニューを開いて、誰かと連絡をとっているようだ。


「楽しんで来なさいな」

「結びさんは?」

「今椰重ちゃんから連絡が来た、加護持ちで集まるようだから、こちらはこちらで集まろうと」

「おお」

「てな訳で今日は椰重ちゃんと飲みに行く」

「わかった、行ってらっしゃい」

「ログアウトじゃ~!」


 結びはゲームからログアウトした。


「行動力が高いお嫁さんだ事」

「いや、お前の奥さんもだろ」

「あれ? お前に籍だけ入れたと伝えたっけ?」

「……どうだったっけ?」


 2人の間に沈黙が流れた、たったの数ヶ月……たった数ヶ月交流が無いだけでお互いの事を忘れている。

 無論、家族となる人とは最優先、だが親友や友達との関わり合いも大切だ。 


「縁……俺は今悲しい、いや彼女さん第1なのはいいんだ」

「いやわかる、すまん……こうして友達は自然消滅していくんだなと……実感してしまった、いや俺が連絡すればよかったのか」

「それは俺も同じだな、いや……初めての彼女と連絡しなかった友達周りもか……」

「待て! 気付いたなら今から盛り返すぞ! 結婚したらもっと時間が無くなる、だが俺は結びさんを一番に考えたい……が、皆との時間も大切だ!」

「わかった! 後悔するより今だな!」

「よし、善は急げだ、お前この後は?」

「なんもないぞ? 飲みに行くか!」

「よし! お前の行きつけに行くか」

「ああ、それは良いんだが隣町だぞ?」

「構わないよ、結びさんには連絡する」

「っしゃ、駅で待ってるぜ」

「おけ」


 ゲームをログアウトした長谷川は、電車で隣町へと向かった。

 電車を降りて改札口へ向かうと――


「長谷川!」

「山野!」


 色鳥のプレイヤー山野が待っていた。

 黒髪でハンサムな雰囲気を漂わせている。


「お、お前……私服ジャージかよ」

「悪いか? オーダーメイドだ」

「あぁ……だから大人が着ても大人っぽいというか……」


 長谷川は何時でもジャージ姿、だがどことなく大人っぽさもある。

 基本的に長谷川はジャージをこよなく愛する、例え冬でも。

 オーダーメイドで春夏秋冬に対応してジャージを持っている。


「なんつーか、荒野原さんはお前の服装をどうこう言わないのか?」

「ああ、冠婚葬祭はしっかりとしてもらえればいいとさ、んで冗談だとは思うのだが……」

「ん?」

「長谷川君を笑う奴は全力でぶっ潰すと言っていた」

「多分……それは本当だ」

「ふむ?」

「俺の妻が終ちゃんは合法的に、そしてやり過ぎない程度にボコボコしてきた過去がある……と話していたな」

「……逆に気にならないか?」

「ん? 何が?」

「いやこの場合……例えばジャージ姿を小馬鹿にされたらどう復讐するんだ?」

「うーむ……」

「いやいや待て待て、今俺達は友情を確かめに来たんだ」

「確かに」


 久しぶりに親友と会った2人は男子高校生の様に熱い握手をかわした。


「それはさておき目的の店は?」

「ああ、貸切にしてもらった」

「え? 大丈夫なん?」

「俺の友達の店だからな」

「おお、遠いのか?」

「ま、タクシーならすぐだな、三丁目にあるんだよ」

「ふむふむ」


 山野の案内でタクシーでついた場所は、飲食店が並ぶ観光地御用達の様な場所だった。

 目の前にはこじんまりとした個人経営のバーが有る。

 名前は『三丁目の一杯』と書いてあり、看板にはたい焼きに手足が生えたキャラクターが居た。


「ここだ、入るぞ」

「いらっしゃいませ」


 店内はカウンターとテーブル席が2組の狭い空間だった。

 だが流れる音楽や内装で高級感を感じる。


「悪いなマスター、いきなり貸切にしてもらって」の

「いいですよ、何時もお釣り受け取らないじゃないですか」

「お、塵も積もれば山となるか、マスター今日はこれで2人分よろしく、足りなかったら出すよ」


 山野は財布から2万円をカウンターに置いた。

 マスターは本当にいいのかと確認した後にお金を受け取とる。


「山野いいのか?」

「いいよ、久しぶりにあったんだしな……マスター、ミッドナイト・アンコスター頼む」

「え? アンコスター? そんなカクテルあるのか?」

「うむ、最近は生放送する人達が増えているからな、その人達のレシピだ」

「なるほど」

「そうそう、マスターに教えたら作ってくれるようになった」

「ふーん」

「ちなみにレシピはモーツアルト30ml、カルーア15ml、コアントロー5ml、牛乳15mlだ」

「ほー」

「プラスマスターの改良だ」

「ふむ、それは楽しみだ」

「お待たせしました、ミッドナイト・アンコスターです」


 カクテルグラスにはミルクチョコレート色をしたお酒。

 そしてミニたい焼きがぶっささっていた。


「……何でたい焼きをグラスにぶっ刺しているんだ?」

「そりゃアンコスターだからだ」

「意味がわからん」

「まあ今日は語ろうぜ」

「ああ」


 2人の久しぶりの会話はここから始まる。

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