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VRゲームでも運と愛し合おう!  作者: 藤島白兎
第四章 縁と結びで縁結び
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第八話 幕切れ 日常生活への第一歩

 縁達は、一本槍達が戦っていた階へとやって来た。

 一本槍は縁達を見つけると挨拶をして、他の生徒達も同じ反応をする。

 斬銀が意気揚々と、頼まれた事はやり遂げたぜ、と、言いたそうな顔をしていた。


「おう縁、元気そうだな」

「ええ」

「それと安心しろ風月……じゃなかった、名前何だ?」

「風月も正しい、界牙流としての名だからね~本名は風野音結びだね~」

「んじゃ、風月って呼ばせてもらうぜ」

「まあ好きにしなよ~てか一本槍は大丈夫かい?」

「正直言って、死ぬと思ってました」

「強くなったね~」

「いえ、ツレ君達のおかげですよ、来てくれなかったら……間違いなく死んでました」

「助けに来てくれるほど、ちゃんと一本槍が絆と縁を結んでいたからだね」


 一本槍は、事前に結びと挑む事を連絡はしていなかったのだろう。

 それは先程の戦いでツレが言っていた、旅に出たお前ならしそうだと。

 未来の未来予知で、一本槍の危機を感知もしたのだろう。

 だが、来る来ない、言い換えれば、一本槍が命張れる関係かが問われる。


 誰しも、仕事以外で見ず知らずの他人を助けようとはしない。

 一本槍達の互いの関係は、クラスメイトか友達、それでも命を張る覚悟をしたのは。

 一本槍がそれに見合う関係を、結びや縁が知らない所で積み上げてきたからだろう。


 いい雰囲気が漂っているが、未来が水晶玉で遊びだした。


「そうそう一本槍? 未来予知は安くない」

「そっすねー焼肉とか」

「ツレ君、そればっかりだね」

「ファリレントも、スイーツ食べ放題を所望していた、私も食べたい」

「いいですよ、助けてもらいましたし」

「うお!? マジで! 人の金で焼肉だ!」

「人の金でスイーツだー」

「2人とも落ち着いて」


 縁は目の前の光景に涙しそうだった、彼は縁の神様、尊い縁を見ると涙腺が緩むのだ。

 色々と考えながら、鞄から何時ものウサミミカチューシャを取り出した。

 そして何時もの通りに付けたら――音を出して壊れた。

 その場の全員が縁を見た、彼自身もとても驚いて、予想外の出来事なのだろう。


「うお!? 壊れた!?」

「お兄様気付いてませんでしたの?」

「え?」

「今のお兄様、昔の様に真っ白でしてよ?」

「うお!? こ、これは負の信仰心が表に現れてないない?」

「絆ちゃん、どういう事?」

「簡単に言えば、そのウサミミカチューシャでは、お姉様の愛は封じれないって事ですね」

「うへへへ……げっへっへ」

「洗剤かよ」


 今の今まで、縁の真っ白な和服に違和感が無かった様だ、元々、負の信仰心で血に染まった様に見えた和服。

 結びの愛でそれが元の白い色になっていた、そして今、結びの愛が他者の幾千幾万負の気持ちより強くなったね証拠だった。

 元々このウサミミカチューシャは、縁の神としての力を制御するものだった。 

 それが壊れたという事は、抑えられないほど縁の力が今までよりも強いという事。


 斬銀がボソッと言った洗剤、ある意味で間違ってはいないのかもしれない。

 他人がごちゃごちゃうるせぇ、私は縁と幸せになるんだ。

 結びのそんな気持ちを表しているのかもしれない。


「はいはい、遊んでないで帰るぞ」

「は~い、斬銀先生~」

「俺は教師じゃねーぞ風月」


 とりあえず一行は斬銀を先頭に、下へ降りていくと、東洋が居た階層に椰重も待っていた、

 あの時ミノタウロスが言った、東洋が死なないと結界は解けないは本当だったようだ。

 無論、結びがぶっ壊して皆を通した、そして東洋は、縁を見て安心したのかため息をする。


「縁、私はそれにりには心配していたぞ」

「ほう、それが縁さんの神の姿か、失礼だが……服装が真っ白過ぎて死装束に見えるぞ?」


 椰重が縁に近寄って興味深そうに色々と見ている。

 血の様な模様が有った時は、それがアクセントになっていた。

 だが今は真っ白、和服で真っ白なら死装束として見られても仕方ない。


「この和服……はこれは絆を傷付けた人間共の返り血で染める為、その際、自分が死んでもいいと誓った服装だ」

「うえ!? それ初耳なんだけど!?」

「あ、言って無かったか」

「言ってないよ~」

「今更ですがお兄様? その覚悟よりも大切なものがございませんか?」

「……そうだな」

「あ、縁君、この間行った兎の神様の国ってさ、服屋さんとかもあるの?」

「ああ」

「お、じゃあ今着ているのは思い出としてとっといて、今度さ、新しい意味を持つ服を作ってもらおう」

「よし、そうしようか」


 何時も通り、縁と結びのイチャイチャな雰囲気が漂ってきた。

 しかし椰重がわざとらしく、コホンと咳をする。


「ふむ? 縁さん、いや、縁先生、最近学園に来てないようだが?」

「え? 結びさんが好きな時に来ていい、みたいな言い方していたけど?」

「む? こら結び、縁先生に伝えてないのか」

「って椰重ちゃん、それ決まったのもつい最近で、縁君の了承も必要じゃん」

「何だ何だ」

「縁君が担当する授業を、本格的に作ろうかって話」

「うお!? そりゃ急な――」

「はいはい、学校関係者さん、そういうのは職員会議でしてくださいね、帰りますよ」


 斬銀が手を叩いてその場を止めた、まるで保育士が子供の注目を集める様に手を叩いている。


「ふむ、斬銀さんは低学年の子供達に、人気がでそうなタイプだ」

「あ~椰重ちゃんわかるわ~普段はなめられてるけど、いざって時に好感度爆上がりタイプ」

「引率するから大人しく帰りましょうねー」


 一行はそれぞれの帰る場所へと向かうのだった。

 色々とあったが、縁と結びの普通の生活がこれから始まる。

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