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VRゲームでも運と愛し合おう!  作者: 藤島白兎
第四章 縁と結びで縁結び
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第七話 演目 言い方を変えれば戯れ

 明らかに可笑しい状況である、誰から見ても相思相愛な2人。

 相手の言った通りに、風月と縁が殺し合いを始めてしまったのだ。

 だがその疑問を投げかける者は居ない。

 そもそも本気で殺し合うなら、全力で絆が止めるはずだ。


「界牙流! ただのけり!」


 風月が何時も通りの先制攻撃、縁はいとも簡単に吹き飛んだ。

 いつだったか、風月がクラリアと手合わせした時と同じ様に。

 木々をなぎ倒し、山に新しいトンネルを掘り、海を割った。

 だがしばらくして、縁は風月の目の前に立っていた。

 見るからに大怪我だが、縁は不敵な笑みを浮かべている。

 そして、風が周りの木々や大地を使って、音を奏でていた。


「やるな」

「ん? 演奏術の移動方法? いつの間に」

「君とずっと一緒に居たんだ、これくらい出来る」

「あらあら、素敵な告白ね~」


 風月が縁に向けて、殺意をむき出しにした顔をした。

 絶対に愛する人にはしない。

 しかし、よく見れば楽しそうに笑ってもみえる。

 まるで『子供同士のごっこ遊び』をしているかの様に。


「縁、ここからはお喋り無しだ、本気で殺してやる」

「面白いな人間、いや仙人か? 神に勝てると本気で思っているのか?」


 もうここからは、神話で語り継がれるような戦いだった。

 お互いの技で、木々は吹き飛び大地は割れる。

 縁も風月も周りは気にせずに、強力な技をガンガン使う。

 焼け野原、いや、荒野になろうとも2人の戦いは終わらない。

 それを呆れた目で見ている絆。


「……お兄様もお姉様も随分と楽しそうですね、というか気付いてますよわね? アレは」


 そしてずっと苦しんでいる娯楽を再び見る絆。

 その瞳は全てを見透かしているようだった。


「さて、娯楽さんに『憑依している』貴方も楽しんでいますか?」

「てめぇ……小賢しい……マネを!」

 

 娯楽は先程とは違う声を発した、だが状況は何も変わらない。

 憑依している何者かが苦しがっている、これだけだ。

 その者は正体がバレたからか、怨み辛みを好き勝手言う。

 絆はため息をして、首を横に振ったのだった。


「あら? 私は何もしていませんわよ? この状況自体が色鳥の手のひら、遊びの加護を甘く見すぎましたわね」


 この状況自体が遊びの加護が引き起こしている。

 おそらく憑依している何者か以外は、この状況を理解しているのだろう。

 だからこそ、縁も風月も好き勝手殺し合い……いや、遊んでいるのだ。

 ある意味でイチャイチャしている2人に、ついに絆が怒った。


「お兄様! お姉様! とっくの昔に気付いているなら『ごっこ遊び』は止めてくださいまし!」

「ありゃ、怒られちゃった」

「そろそろ止めるか」

「だね~未来の妹には嫌われたくないし」


 縁と風月が手を止めた瞬間、辺りの景色が元に戻った。

 まるで最初から何もなかったかのように。

 この状況を見て、完全に理解い出来る人間は居ないだろう。

 神の力は人間の人知を超えているからだ。

 仮に人間に出来るとしても、解説と説明大好きないずみだけか。  


「あ、縁、本気で殺すって言ってごめんよ」

「言葉遊びだろ? 俺もすまなかった」

「はいよ~」

「お帰りなさいませ、お兄様お姉様」

「いや~遊びの加護は凄いね、くぅ~いずみが居れば説明してくれるんだろうけども」

「説明……あ、まさか」

「ん?」


 縁は病院で絆から渡されたメモを取り出した。

 そして、振ったり息を吹きかけたり、太陽にかざしたりした。

 すると、メモに魔法陣が浮かび上がり、半透明の小さいいずみが現れた。

 ドヤ顔でメガネをクイクイしている、どうやら想定内らしい。

 いや、全てを知っている彼女には朝飯前だ。


『流石は縁さん、私の隠したメッセージを見つけるとは! あ、リアルタイムで通信とかではありませんよ? 一方的なメッセージですよ? 今の私はベッドの上でおねんねですからね、ぴえん』

「……」

『もちろんわかってますとも! 縁さんが呆れているのも、絆さんが少々不機嫌なのも、風月さんが知りたがっているのも!』

「……」

『はいはい縁さん、お前随分と余裕だなって? そりゃそうですよ、何回死んだり蘇生したり、気絶したり重体したりしたと思ってるんです?』

「ふ~む、いずみも大変なんだね」

『そうなんですよ風月さん! 慣れって怖いですね、昔みたく痛い思いはしたくないって、大泣きしたいですよ』

「って、それよりもって言い方はいずみに悪いけど、解説してよ~」

『ふっふっふ……そうですね、ではこれから色々と解説しますよ』


 風月以外解説をのぞんでいなくとも、おそらくは必要な事なのだろう。

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