第六話 後説 じっくりと
ゲーム内ロビーへと戻ってきた縁とスファーリア、他の面々はまだロールプレイを続けるらしい。
「お疲れ様、スファーリアさん」
「縁君お疲れ様」
「ふーむ……」
「どうしたの?」
「……いや、ちゃんと相談した方がいいな、今日は俺の家で反省会をしよう」
「ほいきた」
帰宅する道中でコンビニとスーパーにより、おつまみと酒を購入して長谷川の家に向かう。
早速テーブルに勝ってきた物を並べて、対面する形で座る2人、今日の反省会が始まった。
「それでどうしたの?」
「ああ、今日のロール中に思うことがあってね」
「何?」
「将来を考えて、今のうちから準備した方がいいかなと」
「何を準備するの?」
「例えば、家はどうするのか、結婚したら子供はどうするのか、何人ほしいのか、ちゃんと夫婦としてやっていけるのか……色々とあるな」
「ふむ」
いつになく真面目な長谷川に、荒野原は笑顔で強いお酒を飲んだ。
「私は嬉しいよ、長谷川君がちゃんと考えてくれて……うひょひょ」
「それは当たり前だよ、レアスナタの様にはいかないからね」
「ま、そりゃそうだ、うーむ、今らか出来る事か~」
「そうそう」
「そうね、育児本とか妊娠時期の知識とか」
「確かに、それは今から調べたりできるね」
「よしよし、まあそれらの話はさ、酒が入ってない時にしっかりとお話しようじゃないの?」
「ああ、それもそうだね」
「が、しかしだ長谷川君」
「ん?」
ビシッを長谷川を指差した荒野原、顔は凄くヘラヘラとしていた。
「なんにせよ直近の目標はね? 私達がまず結婚出来るか、夫婦になれるか、生活出来るか、色々とある」
「確かに、まずは結婚するのかだな」
「私的にはすぐにでも構わないのだがね? 未来の旦那様」
「安易に自分の人生に関わる選択をしてはいけない」
「そういう長谷川君だからこそ、私は一緒にいるのだよ」
「俺もだ、荒野原さん」
長谷川は左手で荒野原の左手に触れた。
荒野原は物凄く嬉しそうな顔をして、酒をテーブルに置いた。
「げっへっへっへっ! これは熱い夜になりそうですな!?」
「ダメです、俺は君のお父さんと約束しました、結婚報告の前に妊娠報告は止めてくれと」
「対策すればいいじゃないか!」
「このやりとりも何回になるんだろうか」
「私はあきらめないぞ!」
「結婚するまで諦めてください」
「む~! チュッチュッさせろ!」
「まあそれならいいよ」
「うわ! ムードもくそもねぇ! とっとく! 最高のチュッチュッしようぜ!」
「今日も元気だね」
現実はゲームではない、だからこそゆっくりと時間をかけて考えなければならない。
だが2人はお互いに思っていた、遅かれ早かれこの人と人生を歩むのだろうと。