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VRゲームでも運と愛し合おう!  作者: 藤島白兎
第四章 縁と結びで縁結び
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第六話 演目 想定内

 別室で談笑していた霞達が、警報音を聞いて戻って来た。


「シラルド、敵か?」

「ま、奴らは直ぐに攻撃はしてこねーだろ」

「え? 大丈夫なんですか?」

「お、そいや縁に俺達の目的を話してなかったな」

「はい、おそらく何処かへ向かっている最中ですよね?」

「おうよ、目的はグランアルスって国の牢獄だ、俺の親友が捕らえられている、ホスタル・ジレシエールって言うんだがな」

「ホルスタさん!?」


 縁は驚きの声を上げた、本当に予想外だったのだろう。

 ホスタル・ジレシエールとは縁達の時間軸で、大怪我をした自分の妻をサイボーグにした科学者。

 まさか過去でしかも彼女のお爺さんの知り合いとは思わなかった。 

 スファーリアも心なしか驚いている様に見える、ほぼ無表情だが。


「おう? 知ってるのか? まあ技術仲間って所だ」

「ええ、俺達は一度お会いしました」

「私……正確にはもう一人の私の風月と、ホルスタさんの奥様、クラリアさんと手合わせした」

「未来から来たなら知っていると思うが、アイツのカミさんは大怪我で今治療している最中で、ホルスタが連れ去られたんだ」

「それ大丈夫なんですか?」

「ああ、数週間は大丈夫だ、色々と想定しているのは恐れ入るよ」

「……連れ去られた理由は、ホルスタさんの頭脳って所ですか?」

「おう、アイツは俺と同じ独自のシステムを作ったからな……『花嫁システム』っていうんだがな……いや、そうか……手合わせしたってんなら完成するんだな」

 

 嚙み締める様に『完成するんだな』と言ったシラルド。

 縁達にはわからない苦労等があるのだろう。

 ニヤリと笑った後、乗組員達の方を見た。


「おう! サブ! 準備いいか?」

「シラルド! 準備バッチリです!」

「うし!」

「シラルドさん、質問、何で敵は攻撃してこないの? 停泊中なら的」

「おうスファーリア、この国は『ナックセン』って場所なんだがな? 簡単に言えば難癖が特徴の国なんだよ」

「む? 停泊していて大丈夫?」

「ああ、ここは国の領土だが何もないだだっ広い草原だ、それも首都からかなり離れている、難癖付けても停泊料金払えくらいか?」

「……ピンと来た、グランアルスが私達を攻撃すると、ナックセンは侵略されたと言える」

「そうだ、そして空でドンパチやって残がいが地上に落ちても大変だ」

「なら敵は一撃で跡形も残らずに消す」

「おう、その通りだ」

「どうやって戦うの?」

「無視する」


 シラルドは当然のことの様に言った。

 自分の船に絶対の自信があるのだろう。


「なるほど、敵の戦力ではこの船は落とせないと」

「当たり前よ! 無駄に喋っていた訳じゃないぜ? 船の防御力を上げる操作をしていたんだ」

「凄い自信」

「まあ見てな……出発!」


 シラルドの船、純愛丸は空へと飛び立った。

 想像しやすいマストを張った、見た目は木製の船。

 それが空で海を進む様に進んでいる。


「シラルド! 後方から最新鋭のビーム砲!」

「高熱のドラゴンのブレスもだ」

「かぁー! めんどくせぇミサイルまで来たぜ!?」

「おいおいおい、お構いなしに色々とやってきたぜ!? 報告が間に合わない!」

「ああ!? 報告はいらねぇよ」


 進行方向の反対側から、様々な攻撃が純愛丸を襲った。

 あきらかな過剰攻撃、しかし沈まなかった。

 純愛丸を包むバリアが攻撃を弾く。

 どんな攻撃も意味を持たなかった。

 弾いて終わり、それしかない。


「俺の愛は沈まないからな」

「シラルド、あのうるさい奴らをけり落していいか?」

「やる気満々だな?」

「何……孫に奥義を見せてやろうかなとな、では……界牙流」


 霞はリラックスした状態から、攻撃が加えられた方向へと走りだした。

 そして放たれたのは風月が何時も使う界牙流二代目の奥義。

 肉眼では確認出来ない敵に向かって飛び蹴りをしに行った。


「絶対完全消滅! 私の人生邪魔するなら! 死ねぇぇぇぇぇ!」


 二代目の奥義の本来の名前はこれだ、後々二代目がこの名前が恥ずかしいとの事で、ただの蹴りという名前になった。 


 純愛丸の後方で爆発や、ギリギリ人と悲鳴が空に響いた。

 相手の戦力がどの位かは意味がない。

 純愛丸を落とせなかった、界牙流二代目の奥義で全滅した。

 この事実だけでいいのだ、そして少々不満げな霞が空を走って戻ってくる。


「縁にスファーリア、何驚いているんだ、あんた達もこのくらい出来るだろ?」

「無理をしないと無理」

「骨が折れるね」

「ま、このままグランアルスに向かおうか」


 何事にも無かったかのように、純愛丸はグランアルスへと向かうのだった。

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