表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
VRゲームでも運と愛し合おう!  作者: 藤島白兎
第四章 縁と結びで縁結び
216/334

第六話 幕開き 助けを求めた結果

 ただただ、だだっ広い草原に縁は一人でいた。

 縁は、七星了司(ななほしりょうじ)の部下の策略により、過去へ飛ばされてしまった。

 経緯を考えても仕方ない、何故ならその過去は縁の力に必要な信仰心が無かった。

 つまり縁を知る者は居ない、対策を考えているとスファーリアがひょいと現れた。


 スファーリアは単独で縁を迎えに来たらしい。

 曰く、縁と強い結びつきがあるからこその芸当。

 だがこれも結構な力技らしく、何回も出来るものではないらしい。 

 

「すまないスファーリアさん、無理をさせてしまった」

「大丈夫、夫婦は助け合い」

「ありがとう、元の時間軸に何としても2人で戻らないとな」

「大丈夫、アテは有る」

「え?」

「この時代は私のおばあちゃんが、若かりし頃の音を感じる」

「かなり飛ばされたな」

「敵は本当はもっと飛ばしたかったのだろうけど、失敗したのかしら?」

「それは後で考えよう、てか助けてくれるのか?」

「ふふん、界牙流は全て想定している」

「あーそれ言われると納得」


 縁の疑問ももっともだった。

 未来から来た子孫が、子孫と名乗り助力を求める。

 普通なら信じないだろう、だがそれは普通の場合の話だ。


「界牙流は世界と戦う流派、過去や未来の刺客と戦う事も想定している」

「なるほど、色々と想定しているんだな」

「世界を敵にまわしても、伴侶と共に五体満足で絶対生きる、それが界牙流……とりあえず助けを呼ぼう」

「おいそれと呼んでいいのかな、何て説明すればいいんだ?」

「ありのまま」


 スファーリアがトライアングルをビーダーで叩いた。

 すると縁の背後に音も無く突然人が現れた!


「ほう? これはまた珍しい客人だ」

「……この音、子孫ね? 私を呼ばない様に音を出したようだけど、まだまだね」

「うお!? ビックリした!」


 縁が振り返ると女性が2人居た。

 一人は風月に似ている女性、おそらくは霞の若かりし頃。

 もう一人は、元の時間軸で縁は面識は無いが、もう一人の叔母だろう。

 トライアングルビーダーを肩に担いで勇ましく立っていた。

 顔や衣服もスファーリアに似ていて、スカートの絶滅り刺繡が目立っていた。


「こんにちは、おばあちゃん達」

「ああん? あ、お前娘とかじゃなくて孫か! 子供も居ないのに孫が来ちまったよ!」

「……孫」

「ってお前さんは絶滅演奏の開祖じゃねーか!」

「こんにちは界牙流二代目、噂は聞いているわ、私はフィーネ・フェルマータ、貴女は?」

(かすみ)、二代目界牙流としての名は冥林(めいりん)だ」


 霞とフィーネはお互いに握手をした。


「んで孫、お前からは半分しか感じないが」

「界牙流の修業に嫌気がさして、半分に別れた」

「ほう? 何故?」

「子供の時から伴侶も居ないのに世界と戦う力を得ろ、意味わからないから」

「んでお前は何か変わったか?」

「結果的に何も変わらない、もう一人の私は成人するまでずっと修業、私は私で絶滅演奏を極める為に母親と旅に出た」


 スファーリアは何かを恨む様にビーダーを強く握りしめた、私はこれだけ苦労するんだと今言っても仕方ない。

 祖母達から見てこれから起こる事で、若かりし頃の考えと祖母になってからの考え方は違うからだ。 


「私の想いは今言っても仕方ない、助けて下さい、未来に帰られなくて困っています」

「お前の名前は?」

「私の本当の名前は風野音かぜのおと(むす)び、界牙流の名前は風月、この姿の名前スファーリア」

「ほほう、風の祝福を強く受けているのか……今の姿に合わせてスファーリアと呼ばせてもらうよ」

「……貴女のトライアングルを叩いていいかしら?」

「ええ」


 フィーネはスフーリアのトライアングルを、自前のビーダーで叩いた。

 高い音と共に、フィーネの表示が動いた。

 音からスファーリアの人生を感じ取ったのだろう。


「なるほど……スファーリア、私から送れる(ことば)は演奏術しかない」

「ハッ! そうか……私の怨み辛みを述べてる場合じゃない、おばあちゃん達の現役は貴重」


 スファーリアはキラキラと輝かしい目で自分の叔母達を見た。


「おいおい、睨まれたと思ったら今度は目を輝かせたよ」

「ぴちぴち現役のおばあちゃん達、これは技のキレを見るチャンス」

「ああ……やっぱりババアになると劣ってくるのか」

「あ、ごめんなさい」

「まあいいや、んで元の時代に戻りたいんだったか?」

「うん」

「なら手伝ってくれ、ちょっと世話になった奴が殺されそうでね」

「どこに行くの?」

「ん? 結果的に国滅ぼしかな?」

「面白そうですね霞さん、言葉からその国の上層部はゲロカスと感じましたが?」

「おおう、言葉から……そうか音だからか」

「失礼、良ければお手伝いします、この先親族になるのですから」

「ああ、正直ありがたい、私は手加減が苦手でね」

「なるほど、死ななくていい人達は私にお任せください」

「よし、もうそろそろ旦那の飛空艇が――」


 その時大きな音と共に空から船が降りてきた。

 海に浮かんでそうな、木造作りの大きな船が空から現れる。

 すぐさま男性の声が辺りに響いた。


「霞! 移動中に好き勝手動かないでくれ! あぶねぇだろ!」

「シラルド! 面白い客人が来たよ!」

「ああん!? またか!? ああもうめんどくせぇ! さっさと乗れ!」

「行こうか、案内するよ」


 縁達は突然空から現れた船に乗船するのだった。 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ