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VRゲームでも運と愛し合おう!  作者: 藤島白兎
第四章 縁と結びで縁結び
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第五話 後説 縁という名前

 帰る時間になったので縁と風月はロビーへと帰ってきた。

 グリオードの国を色々と見て回ったのだろう。

 お祭り帰りの子供の様に、お面やお土産を持っている。

 もちろんこれらはロールプレイの小道具だ。

 2人はそれらを非表示にした。


「お疲れ様、風月」

「お疲れ様~縁」

「縁、今日は宅飲みしない?」

「お、いいね」

「スーパーとかコンビニで済ませよう、たまに食べたくなる物を買おう」

「ああーそういうのあるよな」

「んじゃログアウト」

「あいよ」


 2人はコンビニとスーパーに行って、つまみとお酒を購入。

 今夜は長谷川の家で反省会、さっさく買ってきたものを皿に並べる。

 荒野原はお酒を豪快に飲む、それがスタートの合図である。

 たわいもない話をして、酔いが回った頃に荒野原は長谷川に聞く。


「そうそう、長谷川君に聞きたい事があったのじゃよ」

「お? なんだい?」

「縁って名前はどうつけたのかな~と」

「ああ、昔実家で兎を飼っていてね」

「おお~その兎が縁?」

「そうだ……んで、俺は縁に酷い事をしてな」

「どんな?」


 長谷川はため息をつき表情が曇った。

 荒野原は、その表情にだだならぬ事情があるものと覚悟する。

 お酒を置いて長谷川の目を見た。


「小学校3、4年の時だったか、縁が死んだんだ、実家の庭に縁を埋めて一晩中泣いた」

「ふむ」

「毎日拝んでいたんだがな? 徐々にそれが無くなっていったんだ、当時人気だったオンラインゲームにハマってね」

「なるほど」

「中学に入る位に母さんから言われたんだ『アンタ、最近拝まなくなったね』と」

「おおう……」

「俺は泣きながら一日中拝んだ、忘れ去っていた自分にも腹が立った」

「ふむ」

「その時に次のゲームのキャラクターに縁と付けようとね」

「なるほど、あ、縁の写真はあるの?」

「もちろんだ」


 長谷川は立ち上がり、一枚の額に入った写真を持ってきた。

 それには白い兎が写っていた、長谷川は荒野原に写真を見せる。

 写真を見た荒野原は自然と笑顔になった。


「おお、可愛い~性別は?」

「男の子だ」

「今度私も手を合わせよう」

「手を合わせるのは今でもいいぞ?」

「ほう?」

「俺もふと思った時に手を合わせてるからな」

「よっしゃ! 長谷川君とめぐり合わせてくれてありがとう」


 荒野原はノリノリで手を合わせて祈り始めた。

 長谷川は苦笑いしながら手を合わせている彼女を見る。


「現実の縁は神様ではないぞ?」

「それはどうかな」

「何!?」

氏神(うじがみ)って事で~」

「いやいや、社も無いしただの兎だぞ? てかそれなら産土神(うぶすながみ)だな」

「違いは?」

「一言で言うと、氏神が自分が住む土地を守る神様、産土神はその者が生まれた土地の神で一生守護する神だな」

「むむむ~ややこしい~でもこの縁が、私達を会わせてくれたとちょっと信じたい~」


 長谷川は、写真に写った縁を見た後に荒野原を見た。

 目が合った荒野原はわざとらしく縁の写真を拝んでいる。


「グイグイくるね」

「ふむむ、ゲーム内ではもう縁にお願いしたじゃん? だったら、現実でもお願いしようかな~と」

「なるほど……祈って守ってもらえるだろうか?」

「ふふん、守りたく様な恋愛をすればいいのさ~」

「酔ってるねー」

「未来の旦那様にな! げへへへへ!」

「お、おう」


 荒野原は立ち上がり、両手を広げて長谷川を抱きしめた。

 長谷川も愛しい人を抱き返す、2人のイチャイチャタイムが始まろうとしていた。


「てな訳で、現実の兎の縁には私達を見守ってもら為に~イチャイチャチュッチュッだ!」

「ダメです、そしてそろそろ寝ましょう」

「んだと!? 私に飲ませないきか!? いや、それよりもチュッチュッさせないきか!?」

「いや明日は朝早いだろ? 店の大掃除なんだし」

「……そうだった、しょうがねぇ~」


 その後飲み足りないとか、イチャイチャしたいと文句を言う荒野原を説得してお片付け。

 そしてその日2人は白い兎と遊ぶ夢を見る、兎が2人に甘えてくる夢だった。

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