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VRゲームでも運と愛し合おう!  作者: 藤島白兎
第四章 縁と結びで縁結び
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第五話 演目 敵の正体

 縁達はグリオードと神社の話をする為に、名前が変わる砂漠の国にやって来た。

 宮殿に行くと執事のジンが縁達を出迎えた、今グリオード達は居ないらしい。

 応接室へと案内されその後、ジンは手際よく茶菓子をキッチンワゴンで運んできた。


 ジンは2段のケーキスタンドをテーブルに置き、ティーポットからカップへ紅茶を注ぐ。

 それを縁達の目の前に置いた、紅茶の香りと共に色とりどりのケーキが目の前にある。


「申し訳ございません縁様、グリオード様と麗華は野暮用がございまして」

「いえ、いきなり押しかけてすみません」

「こちらで少々お待ちください」

「ありがとうございます」


 ジンは一礼して応接室を出ていった、早速茶菓子を楽しむ縁達。

 よく見るとキッチンワゴンにティーカップが一つ多かったが、気にするほどの事では無い。

 早速茶菓子にありつく二人だった。


「グリオードって王様なんだから、そりゃ忙しいよね~」

「だな」

「あれ? ふと思ったんだけど、この宮殿の防衛って誰がしてるの? ジンさん?」

「いや、そもそもこの国の立地条件は最悪なんだよ」

「どゆこと?」

「それは私が説明するよ?」


 いつの間にか小奇麗な黒いローブに全身を包み、素顔も黒い布で隠している女性が風月の隣に座っていた。

 以前暗黒街信用で出会った、縁と面識のある情報屋のルティ・スティツァだ。

 何時の間にか、キッチンワゴンのティーカップがルティの前へにる。

 自分で淹れたのだろう、風月はビックリして縁は静かに紅茶を楽しんでいた。


「うお!? ルティじゃん!? いやはや私が気付かないって凄いね」

「隠れ蓑が得意なだけだよ、ついでにあんた達とお喋りしたくなった」

「ああ、前に会った時お茶するって言ったね~」

「覚えてくれてありがとうよ……んでこの国の立地条件が最悪ってのは自然の要塞なのさ」

「ほう?」

「一晩中砂嵐が吹く、砂漠だから寒暖差も激しい」

「何でこんな所に国を作ったの?」

「過酷な場所に安定した国を作れば賞賛されるだろ?」

「んな馬鹿な……いや、グリオードらしいのか? てか賞賛と違う様な……まあいいか」

「この国の周りが砂嵐も無く、気候も安定しているのは国民の力だ」

「ほうほう」

「オーパーツだ数千年後の超技術だ、過去の遺産だの……色々とな」

「ルティ……疲れてる?」

「……ああ、理解を超える情報はゆっくりと出してほしいね」


 顔は見えずともその声はとても疲れていた。

 縁は小難しい顔をしながら、真剣な声でルティに問いをする。


「ルティ、俺達に話があったんだろ?」

「ああ、七星了司(ななほしりょうじ)についてだ」


 その名前に風月も真剣な表情になった。


「縁にちょっかいかけてるけど何者さ」

「うむ、そいつは昔縁に幸運にされた女だ」

「あら女なんだ、そいつの居場所は?」

「すまない、トカゲのしっぽが続いている」

「おおう、ルティでもつかめないとは」

「話を続けると、そいつは縁の幸運で破滅しなかったのさ」

「つまり欲におぼれなかったのね?」

「うむ、七星は縁の幸運で縁と戦う準備をした」

「縁から更なる幸運を手に入れる為に?」

「そうだ」

「他にも幸運の神なんて居るのに何で縁」

「単純明快でいいじゃないか風月、そして敵の理由なんて考えても無駄だ」

「だね縁、まあ敵の目的は『縁の幸運』が欲しいって事でいい? ルティ」

「ああ」


 風月は今にも世界を破壊しかねない顔をしながらルティを見た。


「ルティ? そいつは『この私と戦える力を持っている』と思っていいんだね?」

「いや持ってない、私の調べだと『縁に憑依してなり替わろう』としているらしい」

「界牙流相手に『憑依』とは笑わせるね」

「風げ――結びさん、もしもの時は俺の身体を殺してくれ」

「ええ、そうしましょ」

「いやいやおいおい、界牙流には初代が残した奥義があるんだろ?」

「ルティ、そういう敵は必ずやってくると思うんだよ」

「何を?」

「『私を攻撃出来るか』とか『貴様の最愛の人は痛がってるぞ』とかね」

「まあやってくるじゃろうな」

「だが私の愛で縁は復活出来る」

「随分な自信だね、」

「神の力が信仰心、つまりは想いや気持ちならば私が一番だよ」

「……ふーむ」

「どうした?」

「余計なお世話だろうがあんた達さ、心のリフレッシュはしているかい?」


 風月と縁は図星だった、頼まれ事や過去精算だったりしても戦い続きだった。

 そして今も敵の情報を聞いて直ぐに殺気立った、何時もの二人ならば軽く流していただろう。

 二人は気持ちを吐き出すように深いため息をした。


「……最近心が疲れる事ばかりだ」

「だね~」

「あんた達の言葉からも感情は分かるよ? 『縁とハネムーンしたいのに』とか『俺は結びさんとイチャイチャしたいだけなのに』とかな?」

「待て風月、俺達はまだ結婚していない」

「ツッコミそこ? ルティの分析力じゃなくて?」

「そのくらいで驚いてたら情報屋と会話出来ない」

「なるほど? そりゃそうかもね~」

「ツッコミついでだけど、あんた達が自分から心を疲弊させてるんじゃないのいか?」

「ああ~頼み事だったり色々ね~」

「俺の過去を突っつかれると弱い」

「自分から楽しい事をしないと楽しい事はやってこないよ?」

「それ言われると、ぐうの音も出ないね~」

「ルティの言う通りだな、ならグリオードが来るまで国を見せてもらおうか」

「風月、ここは広い国ではないがいい場所だよ」

「じゃあ見学にレッツゴ~んじゃルティまたね~」

「ああまたな」


 風月達は沈んだ気持ちを切り替える為に、応接室を出ていった。

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