表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
VRゲームでも運と愛し合おう!  作者: 藤島白兎
第四章 縁と結びで縁結び
201/335

第四話 演目 これが間に合うという事

 縁達は最初の目的地の村を目指す。

 他の町へと続く道の途中に、巧みに隠された目印を進む。

 それを辿ると迷いそうな森に到着した。

 だが縁や風月には無意味な自然の迷宮だった。 


「さてはて縁、そろそろ最初の村に着くね」

「ああ」

「気に入らない奴をぶっ殺す~」

「だな、人間がそうしてきたように好き勝手しよう」

「珍しく本気で怒ってるね~」

「昔の自分と、人にな」


 昔の自分が甘く、敵対する者達を情けで逃した結果、自分以外の者が苦しんでいる。

 その事実に縁は苛立ちを覚えていたようだ、そして二度目は無い、そう顔に書いてあった。


「人は……好き勝手に他人を笑い、勝手に他人を自分の物差しではかり、好き勝手言う、愚かしい」

「んじゃ、私達はそうならない様にしないとね~」

「……好き勝手しているお前らが言うな、と言われそうだな?」

「他人の発言気にしてたら――」


 風月はへらへらとした雰囲気が消え、険しい顔になる。


「村から界牙流を知っている者の危機を感じる、一族ではないようだ」

「……助けるぞ、良き縁を感じた」

「ほいさ、お先!」


 風月は突風の如き速さで走り出して、縁もそれには負けるが走り出しす。

 

 2人が目指していた村、縁と絆に復讐を誓った名も無き村。

 村の広場、異質な光景が広がっていた。

 手枷足枷首枷で拘束された赤髪の少女、それを囲むのは村の大人達。

 手には大きい斧を持っていて、その斧は血で錆びていた。

 そして少女の身内なのか、おばあさんが村人達に取り押さえられ、暴れている。


 その光景を当たり前の様に見下ろしている、返り血を浴び微笑んでいる女神の銅像が建っていた。


「はっはっはっはっは! わざわざ神の生贄になりに来るとはな!」

「娘は……娘はやらせん!」

「喜べ! 貴様の娘は我が神の生贄に! 血肉となって生きるのだ」

「お、お母さん!」


 少女は動こうにも拘束されて動けず、泣き叫ぶだけしかできない。

 おばあさんを村人は更に強い力で抑えて動けない。


「ハッハッハ! かつて暗殺で名を残した女も老いればこれか!」

「罪滅ぼしに孤児院とは笑わせる」

「お前の人殺しの罪は消えないぞ?」


 大きな斧を持った男がおばあさんに近寄り、ゆっくりと斧を振り上げた。

 少女の声にもならない叫び、おばあさんの震え。

 今この場に2人を助ける者は居ない、ただ……風が吹いただけ。


「……そんなに神に許しを得たいなら、我々の神に直接会ってくると良い!」

「お、お母さん! 誰か! 誰か助けて!」

「むははは! 我々の神が救って――」


 斧を振り上げた男は突然消えた、否、正しくは光を超える速さで蹴り飛ばされた。

 普通の人間ならばまず生きてはいない、何故ならそれは風月の蹴りだからだ。

 有無を言わさず風月は、少女とおばあさんの周りに居る村人達も空の星にする。


「あ! あれは界牙流!」


 おばあさんが顔をあげて、風月を見て声を上げた!

 風月は少女の拘束を解いた、少女はすぐさまおばあさんに駆け寄る。

 おばあさんと少女は泣きながら抱き合った。


「間に合った、貴方は『内絶(うぜつ)』の伝承者ですね? 初代様がお世話になりました」

「……やはりそうか界牙流……お主は何代目じゃ?」

「四代目です」

「そうか、そりゃワシもババアになるか」

「お、おか、お母さん、この人は?」


 少女は怯えた目で風月を見た瞬間、優しい風が吹き抜けた。

 その目は段々と閉じていき、少女は寝息を立て始める。


「失礼、娘さんには少し眠ってもらいました」

「配慮感謝するよ……ああ、四代目の名前を聞いていいかね?」

「風月です」


 風月が自己紹介をするとほぼ同時に、血だらけの女神様は粉々に崩れ落ちた。

 そこから現れる様に、神様モードの縁が立っている。


「邪魔な像だ……私に復讐したいと聞いてな、直々に来てやったぞ?」

「ま、まさか貴様は縁! 我が一族の敵!」

「ハッハッハ! わざわざ殺されに来るとは!」


 風月の登場と行動で理解が追い付かなかった村人達。

 だが縁を目の前にした時、目に怒りと生気が満ちる。


「無駄話はしない、死ね」


 村全体が一瞬強い風に覆われた、その村で命と呼べる者は縁、風月、おばあさんと少女だになった。

 何故なら風が駆け抜けると同時に、村達が死んだからである。

 理由はとても簡単だ、縁が界牙流を使ったからだ。


 そして縁と風月は何時も通りの雰囲気に変わった。


「これは私の技『界牙流・滅びの風』だね~何時の間に習得したのさ」

「俺は縁が強い者の力を使える」

「ああ、そうだったね~でも何で反動が無いの? この前斬銀にただの蹴り使った時さ、血を吐いてたのに」

「俺も日々鍛錬してるって事さ」

「おおう、何時の間に……っと惚気はここまでにしといて、この人達はどうしよう?」

「困った時のグリオードだ」


 縁はカミホンを取り出したその時、目の前に光に包まれて現れた男に話しかけらた。 

 それはこの間、グリオードを助けに行った時に知り合った青年ゾーク。

 昔会った時は青年のゾークだったが、10年も時間が経てば中年だ。


「その必要は無いぜ? 縁さん、ついでにお久しぶりです」

「おあ、ゾークさんじゃないですか、お久しぶりです、何でここに?」

「グリオードが先を見通して……と言えばいいですかね」

「アイツらしい、賞賛に値するな」

「まだやる事があるでしょ? ここは任せて下さい」

「恩に着る、行こうか風月」

「あいあいさ~」


 ゾークに後始末を任せて、縁達は次の村へと向かうのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ