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VRゲームでも運と愛し合おう!  作者: 藤島白兎
第四章 縁と結びで縁結び
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第三話 演目 最初の国民

 縁達は街と街にある中継地点、旅人の休憩の場。

 縁が言うには、そこにある宿屋にグリオードはいるらしい。

 宿屋の受付に話を通して、縁はグリオードの居る部屋へと向かった。


「やあ縁、心配かけたね」

「過去に飛ばされたのに、元気そうだなグリオードさん」

「無論だ、この程度で慌てていたら賞賛に値しない」

「そこで寝ている青年は?」


 青年は紺色の様な肌の色てせ、短い黒髪に牛の様な角。

 包帯がほぼ全身に巻かれていて、重症の様だ。


「とある町で酷使され、父も殺され、その町に復讐を誓った青年……しかし、返り討ちにあった、私の国の最初の国民、ゾーク・トルゴメク君だよ」

「グリオード君、その子の復讐を手伝うの?」

「いえ今はまだ」

「何で? 怪我する前に手助けしてあげればよかったのに」

「今の彼は国民ではありませんので」

「スファーリア様、馬鹿は直ぐに死にます、痛い目を見るべきです、自分が何と戦っているか、勝算はあるのか、誰を標的にするのか、準備をしてきたのでしょうが、足らなかった証拠です」

「あんた……随分言ってくれるじゃねーか」


 ゾークはゆっくりと身体を起こして、麗華を睨む。

 麗華は冷たい目でゾークを見下ろしていた。


「助けてくれと言ったら助けてくれるのかよ」

「はい」

「……馬鹿はどっちだ、あんたの言う通り、一人で町一つどうこうできねーよ」

「貴方と一緒にしないでください、私には力がありますから」

「俺を助けるメリットが無いだろ」

「あります、個人的にですが」

「ハッ! どんなのだよ!」

「貴方の依頼の形をとり、人を殺せます、私は悪魔ですので少々血に飢えています、冷静に私の実力を感じてみなさい」

「……なっ!?」


 ゾークは麗華を見て驚き、続いて縁達を見る。

 自分より段違いで無茶苦茶な力がこの場に居たのだ。


「何事も考える事です、おそらくグリオード様は貴方に話はしているでしょう」

「ああ、彼には言える事はもう話している」

「ではゾーク、貴方が現状どうするべきか考えるのです」

「……どうするって言われても、復讐は失敗したし、もう準備する力も俺には――」


 ゾークは何かに気付いて、期待の眼差しでグリオードを見た。


「……いや待てよ、なあグリオード、あんたの国民になりゃ俺を無償で……いや、俺が王国に何が出来るかわからないが、俺が王国民になれば助けてくれるのか?」

「ふっ、何も出来ない、何の技術も無い貴方が王国へ?」

「麗華、笑うんじゃない」

「ま、そんな美味い話があるわけ無いか、俺はこのまま腐って死んでいくんだよ」

「……ですが、貴方は運がいいですよ?」

「え?」

「この時間軸の王国に人は居ません、私とグリオード様です」

「ふふふ、その後位だったかの? わしが王国へ行ったのは」

「そうですね、天女様」

「……ちょっと待ってくれ、整理する」

「どうぞ」


 ぶつぶつとゾークは、独り言を言いながらしばらく考えた。


「……グリオードから聞いているけど、本当に未来から来たってんなら、俺が王国に行くのは確定しているのか? ……いや、今しか行けるタイミングが無いのか!」

「何故でしょうか?」

「今王国は人手不足なんだろ? この時間軸ではあんたと王様しか居ないんだ、もし仮に人手が増えていき、国が豊かになれば俺みたいなのは、見向きもされないだろうさ」

「このタイミングを逃せば、貴方は腐った心を持って惨めに生きていくしかありません」

「……なあグリオード、お前の参謀酷くないか? いや、事実なんだけどさ」

「すみません、私が甘い分厳しいのですよ」

「……俺もグリオード様と呼んだ方がいいですか?」

「それは好きにしてください……王国へようこそ」


 グリオードとゾークは握手をした。


「あ、国の名前は?」

「名前はありません、砂漠にポツンとある国ですよ」

「……ええ?」

「グリオード様、私はこの時間軸の私達に話を付けてまいります」

「ああ、私は看病を続けるよ、彼はまだ万全じゃないからね」

「はい」

「さてと、ではわしらも一旦部屋を出るか」


 麗華と共に縁達は部屋を出た。

 外に出て、過去の自国へと向かう麗華を見送る。


「俺達はどうするか」

「ふむ、ちと彼が復讐の対象にしている町に行ってみたいの」

「相変わらずだな、天女様は」

「貧しき心は私の力なのでな、さぞ美味かろう」

「やる事も無いし付き合うよ、天女様」

「暇つぶし」

「して縁、場所はどこかの?」

「縁を辿ってわかっている」

「流石じゃの、では歩いて行こうか」

「まあ歩ける距離ですけど」


 縁達は歩いて目的地の町まで歩く事にした。

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