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VRゲームでも運と愛し合おう!  作者: 藤島白兎
第四章 縁と結びで縁結び
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第二話 演目 手合わせの準備

 縁達は『なんちゃって秘密結社の子供の秘密基地』にやって来た。

 何もない平地、あっても道や木々。

 あからさまに怪しい長いふきや、植物の中に秘密結社の入口がある。

 子供のゆらいはここにあるらしい、あからさまに見つかりそうな秘密基地だ。


 そしてその秘密基地に、人型起動兵器が搬入されている。

 作業中の人達が何か話している、その中に傭兵っぽい人達も居た。


「到着」

「ここに来るのも久しぶりだ」

「実は私は絆に連れられて何回か来たのだよ」

「そうなのか、まあ何個か秘密基地があるらしい」

「そりゃそうだよね、こんなわかりやすい」

「ポリシーらしい」

「ってさ、あれがその傭兵部隊かね? かっこいい人型起動兵器がそろってるね~」

「……失礼します」


 風月が人型起動兵器を指差した時、女性に声をかけられた。

 全身サイボーグのメカメカしい近未来な姿をしている。

 長い黒髪、顔は小奇麗な年配女性といった感じだ。 


「貴女が風月さんですか?」

「ほいほいそうですよ」

「ふむ……貴女は強い」

「いやいや、本気で殺しあったら私が負ける」


 このやりとりだけでお互いにやる気満々なのが伝わってくる。


「何故そう思いますか?」

「貴女がお母さんがだからね、私よりも死ねない理由が強い」

「よくわかりましたね、手合わせの前に私の旦那を紹介します」

「お、どんな人か興味があるね」


 案内されると、見るからにわかりやすい科学者が居た、白髪にメガネに白衣の男性だ。


「お前さん、風月さん達が来ました」

「ほうほう、これはまた面白そうな実験材料じゃ」

「……すみません、旦那は少々狂った科学者でして」

「でも何だろう、あまり非常識を感じない」

「ええ、例えば血が欲しいと思ったら献血を募り、骨が欲しいと思ったら切断する手術をする患者さんからもらいます、ちなみに旦那は医者も少々やっております」

「なんつーか、出来る限り合法的?」

「心情に訴えるのが得意といいます」

「ああ~」

「かっかっか! 使えるもんは何でも使う、だが、子供達に見せられる背中では居たいだけだ」

「ああ、すみません、自己紹介がまだでしたね、私はクラリア・ジレシエール」

「ワシゃホスタル・ジレシエールだ、2人の事は絆から聞いておる」


 お互いに軽くお辞儀をした後に、風月はクラリアをまじまじと見た。


「これ聞いていいかな? どうしてサイボーグに?」

「事故で身体が致命傷になりました、元の身体は今は治療中でもう数十年になります、本来の身体は若いままです」

「ありゃりゃ、なるほど、クラリアさんの後悔はそれか」

「気付きましたか、夫婦共()らしができません、ただ事故の前に双子の子供を授かりました」

「おお、それは良かった」


 風月はこれまた悪い顔をした、クラリアもそれに負けない顔をする。


「んじゃ、本気のクラリアさんといつか戦えるんだ」

「ですがこの身体も捨てたものではありません、生身では出来ない戦い方もできますから」

「待て待て、やりあうのは構わないが、まだ機体の搬入中だ、もう少し待て」

「お前さん、それはつまりは存分に暴れろと」

「そうは言ってないんだがな」

「クラリアさんも血の気が多いんですね」

「ああ……わかってくれるかい? 兎さんよ」

「ええ、俺の妻となる人も少々血の気が多くて」

「へへへへへ」


 風月は『妻』という単語にニヤニヤする。

 そしてしばらく搬入作業が終わるのを待った。


「お~搬入が終わったか」

「それでは始めますか」

「待って、今の私じゃ手加減されてもいい勝負ができない、縁」

「どうした」

「力を貸して、一本槍との手合わせした時の力」

「わかった、あの時より力を貸そう、手を出して」

「ほいよ!」


 縁は風月の手を握った、頭に白いうさ耳が生えて白い色のオーラをまとった。

 

「ふーむ、全部じゃないって感じ?」

「君が元に戻ったら全部渡せるんだけどね」

「ほほう、覚えておこう」

「ま、完全に渡すには手順がいるが」

「儀式みたいな?」

「それは俺がちょちょいとするからいいんだが、俺達の相性が試される」

「もしかして最終的に縁を憑依するって事?」

「ああ」

「おお、正に『縁結び』って訳だ、今は半結びってところか」

「そんな半ライスみたいな」

「んじゃ、ちょっと離れといて」

「ああ」


 縁とホスタルは近くの丘へと避難した。

 搬入作業していた人達と傭兵達は秘密基地へと入った様だ。


「いやぁ、待たせたね」

「構わない」


 クラリアの両耳に付けていたアクセサリーがバイザーに変化。

 そのバイザーから口と鼻をおおう様にマスクが飛び出る。

 左腰に突然メカメカしい刀が現れる、最初からそこにあったかの様に。

 右手でゆっくりと刀を抜いてしっかりと両手で握り、赤色の刀身を風月に向ける。


「おおう、なんか近未来」

「余裕ですね」

「いや無いよ? 慌てて状況が変わるならそうするよ? そんな能力私はもってないけど」

「ふっ……これからやればわかる」

「だね」


 これから2人の『手合わせ』が始まるのだった。

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