表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
VRゲームでも運と愛し合おう!  作者: 藤島白兎
第四章 縁と結びで縁結び
181/335

第一話 演目 何よりも強い力

「こりゃ酷いね~」


 縁と風月が着いたのは何かの建物。

 周りには木々と道しかなく、誰かの私有地なのだろう。

 2人の目の前には立派……だった建物が半壊していた。

 そしてチラホラと死体がある、マリナは暴れ回った証拠だろう。

 

「……可哀想だな、中途半端な権力を持ったから」

「と言うと?」

「組織に入れば末端だろうが、組織の看板ってのを背負えるだろ?」

「あ~自分が強くなってないのに、強くなった錯覚がする奴ね?」

「ああ」

「ま、その程度の考えと人生だったという事で」

「自分で言っといて何だが……この組織? どれぐらいの規模だったんだ?」

「ああルティ曰く……『一般社会から見たら厄介な組織』だってさ」

「本当に可哀想だな、どういった経緯で俺に喧嘩を売って来たかは知らんが」

「神様に喧嘩売るにはレベルが低いね~」

「そう言えばいずみが言ってたな」

「何て?」

「悪い子になってはいけないのは、もっと上の悪い奴らの餌食になる」

「あ~……ねえ、今度いずみちゃんに授業頼んでみていい?」

「説明したがりなあいつが授業なんて出来るかね」


 その時大きな音と共に、半壊した建物から勢いよく出で来た。

 マリナと司祭っぽい男が宙に浮いている。


「あらあらあら? 人間にしては凄い強いわね」

「愚かな吸血鬼め! 神の力を思い知るがいい!」

「あら縁じゃない?」


 マリナは自慢の羽を大きく広げ、縁に向かって手を優雅に振っている。


「よそ見か! 吸血鬼!」

「……よそ見出来る程、お前と私の差はあるが?」


 司祭の攻撃を難無く受け止めたマリナは笑っていた。

 そして問答無用で司祭の首を握りつぶす様に掴む。


「縁が言う通り弱すぎるわ? あなた方ってやる気あって悪い事している? 私位の悪党になると『ちゃんと頭を使う』のよ」

「ぐっ!」

「今回私が暴れていられる理由を簡単に言うと……『はた迷惑で手を付けれない一般人』が『各所で暴れて、場所によっては戦争』までに発展している、とね?」

「ぐごごご!」

「もちろん、この依頼も私より悪ーい人達が後腐れない様にしてくれてるわ」

「ぐっぎぎぎ」

「あら、長かったかしら? 一言で言うとね?」

「ぐご!」

「悪い事って底なしなのよ」


 とても良い笑顔で首を握りつぶして殺した。

 司祭の死体が落ちる、そしてマリナは縁達に近寄る。


「でもマリナって悪って感じがしないね~」

「それは私が母親だからね」

「え?」

「子供が居たら考えは少し変わるわよ?」


 マリナは左手で指を鳴らすと、周囲の血が集まり出した。

 血は集まりきると、グミの様な弾力な物になった。

 大きさは両手て持つ位のダンボールサイズになった。

 それにかぶりつくマリナ、だが少々渋い顔をした。


「おお、血がグミみたくなった」

「小悪党の血ってそんな美味くないんだけど、食べ物は粗末に出来ないわ、もぐもぐ」

「ほ~」

「食べる?」

「いやいや、流石に人の血は」

「冗談よ」

「それにしても本当に弱いわね、何で?」

「狂ってる人達の考えはわかりませんよ」

「確かにそう――」


 突然マリナの胸に風穴が空いた!

 魔法か何かだろうか、縁達は辺りを見回して敵を探す。

 だが当の本人はあっけらかんと血を食べている。


「あら、風穴開いちゃった」

「ええ……いや、マリナ痛がらないの?」

「ふふん、私が痛むのは旦那や娘に見向きされなくなったら」

「それは心が痛いんじゃ、って縁、何か治療するもん出して」

「あらあらいいのよ」

「見てくれが痛々しいの」

「風月、鞄あさって治してくれ」


 縁は風月に鞄を投げ反対側を向く。

 そこには御大層な服装に身を包んだ男が居た。


「私の名は田中国政(たなかくにまさ)

現人神(あらひとがみ)か、人の身で神とあがめられているか」

「貴方も似たようなものでしょ、人と神のハーフではありませんか」

「一緒にするな、それでお前は何がしたいんだ?」

「私は人を生贄し、私の仕えてる人に捧げています、博識いずみでも私や主の事はわかりませんよ?」

「あ~よだれ垂らして、キラキラした目でお前達を見るな……まあいいや」


 縁はウサミミカチューシャを外して、何時もの神様モードになる。


「お前達は俺と結びさんの幸せを邪魔する……と、考えていいな?」

「結果的にそうなりますね」

「……そうか、では死ね」

「私も神です、死にはしませんよ? 信仰封じ!」


 国政は魔法陣を展開した、縁の姿が元に戻ってしまう。


「貴方の信仰心は、この魔法陣にいる限り封じました」

「おお、人間にしてはやるな、いいぞ」

「随分と余裕ですね」

「この程度で驚いていたら、神の威厳が無いだろう」

「その余裕、腹が立ちますね」

「ふむ、神としての格はお前の方が上かもしれんが、こっちは血みどろの歴史だ」

「禍津封じ!」


 更に国政は魔法陣を展開させた、一瞬縁の姿が血みどろの姿になったが元に戻る。


「負の信仰心も無駄だ」

「なら俺に残されたのは結びさんとの愛……縁だけだ」


 縁の姿が再び神様モードになった。

 それを見て国政は驚きを隠せない様だ。


「何!? この信仰心は!? 馬鹿な! 何故信仰心が!」

「は? まさか理解出来ない何て言うなよ? 愛だよ愛」

「これは……一人の女の想いでだと!? 一人の人間の想いが私を超えるだと!?」

「いや、俺も結びさんを愛してるから、2人分だ」

「くっ!」

「理解出来ない事を出来て、初めて『神様』なんだよ、人間」


 今ここに説明出来ない神と、説明出来てしまうだろう神の戦いが始まった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ