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VRゲームでも運と愛し合おう!  作者: 藤島白兎
第三章 桜野学園編
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第五話 前説 凄い売上のお知らせ

 長谷川と荒野原は職場で今日も店番だ。 


「今日もお客さんは来ないね」

「ああ……平和だ」

「この間もラッシュあったからね」


 この棚のここからここまで、こう言ってくるお客が来るので店は潰れないのだ。

 そして、2人がしたゲーム内での熱い告白、これのおかげかそのラッシュも気持ち増えた。


「商品というより名物みたいな感じだな」

「お客様あっての仕事だから」

「そうだな、大量購入はしていくけど、みんなマナーいいんだよ」

「最初見た時は転売かと思った」

「ああわかる、でも購入した人達ってゲームコレクターガチ勢の方々で、SNSに画像投稿してたな」

「専用の倉庫持っている人も居た」

「でもなんでうちなんだ? ネットで買えばよくないか?」

「うちのは中古でも保存状態がいいかららしいよ? よくわからないけど」

「うーむ、奥が深い世界だ」


 そんな話をしていると、スーツ姿のご老人が杖を突いて入店してきた。

 長谷川と荒野原は軽く頭を下げる。


「いらっしゃいませ」

「いらっしゃいませ」

「やあ長谷川君、こんに……今はまだおはようかな、ハハハ」

「会長、お久しぶりです」

「長谷川君、この方は何処の会長さんなの?」

「森山ボックスの前社長さんだよ」

「ファ!?」

「多分ファの音なんだろうな」

森山松之助(もりやままつのすけ)と言います」

「こ、荒野原終といいます!」


 本気で驚いている顔の荒野原はすぐに深々と頭を下げた。


「今日はあなた達にお礼をとね、勝手だが」

「お礼? 長谷川君、私達何かしたっけ?」

「思い当たらないよな?」

「ふふふ……長谷川君、あのショーケースの携帯機を売って下さい」


 松之助はショーケースを指差した。

 その先には古そうな携帯ゲーム機の箱、だが値段が凄かった。


「ファ!? し、失礼! 会長、あれは二百万の品物ですよ!?」

「うむ、我社が初めて出した携帯機だからね、といっても私は生まれてもいなかったけど」


 荒野原はショーケースの前に移動して、真面目な顔をしてゲーム機を見ている。


「なるほど、未開封で新品ならこれくらいするかもね」

「荒野原さん、冷静だね」

「約百年前ならこんなもんかなーと」

「とりあえず店長呼んでくる、ショーケースの商品は店長の仕事だからね」


 長谷川は急いで店の奥に行き、店長を連れて来た。


「会長、お久しぶりです」

京五郎(けいごろう)君、お久しぶりだね」

「2人共、俺がレジ打ちするから」


 ショーケースを開けて商品を取り出し、レジ打ちを始めた京五郎。

 荒野原が松之助に話しかけた。


「そう言えば会長さん、私達にお礼って言いましたけど……」

「君たちにいい発破をかけてもらえてね」

「あ~もしかしてゲーム内の告白見たんですか?」

「うむ、話題になっていたからね」

「おおう……会長さんにも見られた」

「2人の告白を見た後に、妻ともう一度男女の仲になりたいと思ってデートに誘ったよ、昔の様な時間を過ごしたよ……まあ、出来ない事もあったけどね、ハッハッハ」


 松之助は本当に楽しそうに話していて、長谷川と荒野原も笑顔になった。


「デートの時は結婚する前の妻の顔をしていたよ……本当にありがとう」


 深々と頭ほ下げる松之助に2人も頭を下げた。


「……会長さんが長年奥様を、大事にしていたからこそだと思います」

「日々の積み重ねだね、羨ましい」

「だな、俺達も会長さん達を見習おうか」

「おお、京五郎君、支払いがまだだったね」


 ふとレジを見た松之助は、財布からカードを取り出して支払いをする。

 商品とレシートを受け取った松之助はまた頭を下げた。


「長谷川君、荒野原さん、ありがとう」

「いえ、ありがとうございました」

「ありがとうございました」


 3人で松之助が見えなくなるまで頭を下げる。


「びっくりした」

「会長さんが来るとは」

「これはお前さん達にボーナスを渡さないとな」

「え?」

「お前達の行動が店の売上に繋がったんだ、金一封出す」

「ありがとうございます」

「ありがとうございます」

「まあついでだ、今日は俺が店番するからもうあがっていいぞ」

「え? はいわかりました」

「お疲れ様です」


 早上がりした2人は近くのファミレスへ、簡単に今日のロールの事を話す。


「今日の予定はあゆさちゃんから聞いたけど、イベントの仕込みをしたいとか」

「ああ、その後に通常授業ロールをしたい」

「仕込みってどんなの?」

「縁や絆に恨みを持つ者達との決着? かな」


 それを聞いた荒野原の顔は、みるみると悪役の様になる。


「お、何それ、私にも絶滅させろ」

「うむ相変わらず物騒だ」

「当たり前です、他人の幸せ壊すならね」

「ふむ、今回の縁は容赦無しにいこうかなと、一定のラインはあるけどな」

「あら珍しい」

「縁からしてみれば、平穏な日常をぶっ壊されるもんだからな」

「なるほど、でもそれはそれは結びも同じ事、今日の仕込みを楽しみにしているわ」

「ああ」


 ファミレスで昼食を済ませた2人はゲートへ向かい、受付をしてプレイルームへ。

 シートベルトとゴーグルを装着して、ログインボタンを目の前にして動きを止めた。


「たまには気分を変えて……ログインボタンをポチっとな」


 ギャグ漫画に有りそうなボタンの押し方でログインしたのだった。

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