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VRゲームでも運と愛し合おう!  作者: 藤島白兎
第三章 桜野学園編
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第四話 幕切れ 真相は何時も単純

 タベリアの地下を縁達は細い廊下を歩いていた、一番奥に木のドアがあり一度止まる。


「ここにペリジーンさんが居ます、彼から聞いて下さい」

「やはり裏で糸を引いていたか」


 正蔵は扉を開いたが簡素な机と椅子。

 そして白衣を着たキツネの亜人が立っていた。 


「やあ正蔵、久しぶりだね」

「ジン……そんな予想はしていた、今回もお前の手のひらなんだろう?」

「怒らないのかい?」

「悪の科学者をしている親友に、何を言ってもダメだろう」

「その通りだ、座りたまえよ」

 

 各々テキトーに椅子に座った。

 ペリジーンはニコニコしながら正蔵に話しかける。


「うんうん、昔の正蔵はめんどくさかったから、落ち着いていて助かるよ」

「お前をぶん殴る気持ちは有るが、俺の感情など後回しだろう?」

「ああ」

「説明してくれ、地底帝国に何があった」

「プレーリー達が言っていた通り、地上侵略を再開させた派閥がネオ地底帝国を名乗った、それまではバラバラのグループだったんだがな」

「一つにまとまったと、指揮しているのは誰だ」

「クマネが大王名乗って調子に乗ってるのさ」

「……あいつか! 考え方が過激とは思っていたが! 地底帝国の民を巻き込むとは! ……いや待て! ならプレーリーがネオ地底帝国に身を置いたのは!?」

「無論、ネオ地底帝国が地底帝国にちょっかいを減らすためさ」

「良かった……プレーリーが……俺が尊敬した男で良かった」


 目頭を抑えて安堵の表情をする、涙を流すほどの間柄なのだろう。


「自分の仕えてたお姫様の結婚式で馬鹿泣きした奴だぞ? それにお前と決闘したじゃないか」

「……一瞬でも疑った自分が恥ずかしい」

「それだけ今回の事に本気って事だ」

「プレーリーの目的は? 地底帝国に守るのもそうだろうが」

「簡単に説明しよう」


 ペリジーンはコホンと咳をした。


「まずはクマネがバカな思想でネオ地底帝国を宣言した、理由を聞くだけ無駄だ、奴らは地底帝国の敵」

「プレーリー達は抑止力になるために居るんだよな?」

「ああ、さっきも言ったが、クマネ達の行動をある程度阻止出来るようにな……それにまだある」

「それは?」

「お前の息子を鍛える事だ」

「正吾を? ……む! な、なるほど! 違和感の1つは息子が死ななかった事だ! あのプレーリーを相手に毎回五体満足で帰って来れる訳がない! それに幹部を何人か倒したとも言ってた!」


 正蔵は色々と納得していくように、自部の言葉を強くしていく。

 ペリジーンはそんな親友を見てニヤリと笑った。


「将軍に感謝するんだな、でなければ我妻、九尾の力も使えなかった……まあ完璧には使えてないが」

「……ちょっと待て、よく考えたら息子の修行? このタベリアを使ってか?」

「バレたら怒られるな、ま、この街だけではないさ、他の場所でも少々な」

「怒られるではすまんぞ」

「秘密ってのは人数が少ない方がいい」

「はぁ……」


 親友の考えにため息しか出ない正蔵。


「まあそれは置いといて、正吾には強くなってもらわんと困るのだよ」

「正吾はまだ九尾の力を完全には扱えてなかった、あれではプレーリーに傷1つ無理だ」

「故にプランBに移行した」

「縁君達が届けてくれた新しい砂時計を使って、体内の砂時計を修理したのか」

「ふふん、凄いだろ?」

「いや、お前が渡せばいいのでは?」

「私は今ネオ地底帝国に居るからね、堂々と表はあるけんよ」

「どうせ新開発した砂時計が盗まれた、とかそう言う相変わらず小難しい動きをしているのか?」

「君が素直にいれるように、私は蛇足をするのさ」


 お互いに親友と認め合う2人は楽しそうに笑い合う。 

 縁はそれを見て同じ様に笑った。


「俺の砂時計を直したのは、正吾が強くなるまで俺に戦えと?」

「頑張ってくれ、砂の英雄さん」

「まったくお前に恐れ入るよ……そしておそらくだが、俺ではネオ地底帝国には対抗できないのだろう?」

「ああ、ネオ地底帝国の上層部にお前の砂時計は効かない、お前の砂時計は古い技術だから対策されている」

「今更だが……何故息子を戦いに巻き込んだ? 偶然を装って擬態砂時計を渡したのはお前だよな?」

「ではお答えしよう」


 再びペリジーンはコホンと咳をした。


「正吾は地底帝国のお姫様と、地上と和解させた勇者の間に産まれた子だ、まあこの一言でわかるんじゃないか?」

「……改めて言われると……そうだな、都合のよく使われる可能性がある」

「お前も警戒してない訳じゃないだろうが、事態は想像以上って事だ」

「ああ」

「解決策は簡単だ、何度も言っているが正吾には強くなってもらう」

「この事は正吾には言わない方がいいな?」

「お前の息子だぞ? 言ったら面倒くさい事になる」

「俺がそうだったからか? ……わかった、俺の胸に留めておく」

「賢明な判断だな、正蔵」

「俺よりプレーリーの方が辛いだろう」

「お前より正吾の誕生を喜でいたからな」

「……ああ」


 プレーリーの事を語る正蔵はまた目頭を抑え、視線を変えるとふと縁達が目に入った。


「そういえば、縁君達は何処まで知っているんだい?」

「今回の事は俺達は何も知らないし、聞きませんでした」

「そんな音知らない、楽譜に無い」


 縁そっぽを向いて、スファーリアは軽くトライアングルをビーダーで叩いた。 


「とは言え彼の力は便利だ、困ったらまた助けてもせおうか」

「ジン、迷惑を考えろ」

「ハハッ、悪の科学者にそれを言うか?」

「親友に言ってるんだ」

「まあ、談笑はこれくらいにして、私はそろそろ失礼しよう、正蔵、新しい擬態砂時計は持っていくぞ? 持ち帰って今の正吾に合わせて調整をする」

「ジン、次はいつ会える?」

「君の息子が私に挨拶を死に来る時さ」

「遠い未来だな」


 正蔵は擬態砂時計を渡すと、ペリジーンは赤紫色の炎に包まれてその場から消えた。


「今日はありがとう縁君……あ、失礼、今更だがそちらの女性は?」

「私は結び、訳有って2つに別れています、この姿の名前はスファーリア、そして縁君の妻です」

「まだ結婚してないよね? 捏造は良くないよ?」

「時間の問題です、覚悟」

「ふふ、あの縁君が結婚か……俺も歳を取るわけだ」

 

 少々しわしわな自分の手を見る正蔵は、ふと何かに気付いた顔をした。


「縁君、ちょっと聞いていいか?」

「ええ、何でしょう?」

「ジンと何時知り合ったんだい?」

「呼び出されて今回の事をお願いされただけですよ

「なるほど」

「……まあ言ってもいいか」

「ん?」

「親友と未来の義理の息子を助けてくれと言われまして」

「ジンが君にそんなお願いを!? つまりあのジンが他人に頭を下げた!? いや神様にか」


 信じられないといった顔をしている正蔵だったが、すぐにハッとして縁を見た。


「ありがとう縁君、今度神社に何か奉納するよ」

「ありがたく頂戴します」

「縁君、私も聞きたい事がある」

「え? 何?」

「正蔵さんとはどんな知り合い?」

「昔俺が妹関連で暴れ回ってる時に知り合った、当時の地底帝国が地上の神を標的にした時があってね」

「んん? あ、地底帝国には神様が居たって事?」

「ああ、信仰は何処でもあるからな」

「なるほどなるほど、正吾君とは?」

「何回か正吾君が地底帝国……いや、ネオ地底帝国と戦っている所に出くわしてね」

「なるほどなるほど、不思議な縁ってやつね」


 その時部屋の扉がノックされ、タベリアの警備員が入ってい来た。


「失礼します、正吾君の治療が終わりました」

「ありがとうございます」

「様子を見に行こう」


 3人は正吾の病室へと向かうのだった。

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