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VRゲームでも運と愛し合おう!  作者: 藤島白兎
第三章 桜野学園編
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第四話 演目 友情の必殺! ペリジーンファイナルブレイク!

 縁は左の擬態砂時計から、黒い砂時計と緑色の砂時計を交換する。

 入れ替えると再び擬態砂時計から音声が流れた。


『界牙流』

「擬態」


 左右の擬態砂時計を半回転させた。


『適合者、界牙流……世界を破壊する者!』


 緑色の砂に少々普通の色の砂が混ざっている、砂塵に包まれて今度は風月の服装になる縁。


「これはどうかな?」


 左の擬態砂時計を右足に付けた。

 砂時計は自動で半回転して、一拍置いてまた半回転する。 


『界牙流・ただの蹴り』


 縁はニヤリと笑い将軍達の目の前から消えた。

 界牙流の素早さを生かして、背後から奇襲をかける! 


「そこじゃ!」


 ジムグは振り返りって障壁を張り、轟音と共に障壁にひびが入る。

 縁は蹴り続けるのを止めて、元の場所に戻った。


「やるな、参謀さん」

「いくら砂時計の力を使っても、貴様の力も混ざっているのは事実、対策済みだ」

「なるほど、あんた達を倒すには俺には無理と……時間だな」


 元のジャージ姿に戻った縁、それを見ていたタベリア防衛隊は悲痛な声を上げる。

 

「くそ、縁さんでもダメなのか!?」

「正吾君はあの怪我では戦えないし、正蔵さんも擬態できないし!」

「落ち着け! 縁さんが落ち着いてるという事は……まだ何かしらある」

「何だよそれ!」

「俺のただの予想だよ!」


 タベリア防衛隊は一触即発の状態だ。

 スファーリアは涼しい顔をしている縁に鞄を返す、正吾の応急手当は終わったようだ。

 相手に打つ手なしと思ったジムグは笑い出した。 


「くっくっく、少々驚きましたがどうしますかな?」

「簡単だ、正蔵さん頼みます」


 擬態砂時計を外して、正蔵に投げ渡した。

 受け取る正蔵だが困惑している。


「え、縁君! 私の体内の砂時計と息子の砂時計とは相性――」

「貴方の親友は全て計算してますよ」

「ペリジーンが? ど、どういう事だい?」


 縁の言葉にジムグが何か感付いて大声を上げた。


「そうかそういう事か! あの気分屋裏切り狐め!」

「どうしたジムグ、説明しろ」

「あの神はもう一つの擬態砂時計を正吾に持って来たのは明白、何かしらの理由で使用できなくなった時に、保険として正蔵に使わせる事を考えていたのです! テスターとしてあの神を選んだ! 何故なら奴は神! 擬態砂時計のエラー程度では人体に影響は無い、そして想定外の奴が擬態出来るという事は! 正蔵は問題なく擬態出来るという事!」


 ジムグの説明でタベリア防衛隊は歓喜の声を上げた!


「つ、つまりこの状況をどうにか出来るんだな!?」

「正蔵さん! 頑張ってくれ!」

「砂の英雄! 俺達を助けてくれ!」


 盛り上がるタベリア防衛隊、将軍は呆れた声を出した。


「ジムグよ説明が長い、お前の悪いクセだ」

「ハッ! 申し訳ございません」

「察するに物事は単純だ、正蔵よ! それを使って擬態するがいい!」

「何!?」

「戦わなければタベリアは我々が貰うだけだ!」

「……確かにそうだな! タベリアは俺が守る!」


 右に擬態砂時計を付け、その後に左側を装着した。

 縁はタイミングを見計らって、鞄から空の砂時計ときつね色の砂時計を正蔵に投げた。


「縁君、これは?」

「空のは体内の砂をそれに一時的に移します、もう一つは貴方の親友の力です」

「使い方は?」

「空の砂時計を右に、きつね色の砂時計を左に」

「もう一つ、左右で何か違うのかい?」

「簡単に言いますと、左は身体強化右は武器防具です」

「なるほど」


 右側を開けて空の砂時計を入れる。

 すると正蔵の胸からこげ茶色の砂が溢れ出し、左の擬態砂時計に吸い込まれていく。


『……砂の英雄』


 全て吸い込み、少しして擬態砂時計は喋る。

 それを確認した正蔵は左側の蓋を開けてきつね色の砂時計を入れる。


『悪の科学者』


 正蔵はゆっくりと深呼吸をした後に腕組をする、左右の擬態砂時計は自動で半回転した。

  

『崩れない砂の友情』


 足元で爆発が起こり、こげ茶色ときつね色の爆発で砂や土が舞い上がる。

 それが砂塵の様に渦き徐々に速さがあがる。


「ふん!」


 右手で砂塵を払うと、姿はキツネをモチーフにしたヒーロー様な姿になっていた。

 まずはキツネをカッコよくしたヒーローフェイス、身体は軽装備の戦士を思わせるメタリックなボディ。

 そして最後にマントではなく白衣を着ていた、この姿こそ砂の英雄と悪の科学者の友情の擬態だ!


「正々堂々一騎打ちだ正蔵!」

「来い! ペリジーンソード!」


 将軍は剣と盾を構えてゆっくりと歩く。

 正蔵は右手を真っ直ぐに上げると、地面から砂が巻きあがりシンプルな剣が出来上がる、それを握りしめて勢いよく走り出す。

 近くで見ていた縁達と参謀達は2人から離れた。


「ふん!」

「せい!」


 鍔迫り合いから始まった戦い、実力が同じなのか2人の美しい攻防が続く。 

 だが徐々に正蔵の剣技が圧倒していき、将軍は防戦一方になる。


「くっ! 小賢しい!」

「何故お前が地上侵略を!? 信じられん!」

「ふん! 姫をたぶらかした貴様にかける言葉はなどない! 我が奥義、受けてみろ!」

「うわぁ!」


 優勢だったが将軍の渾身の一撃で吹き飛び転がる正蔵。

 剣を掲げて将軍は力をためると、足元に黒オーラが溢れ出し大地が震える! 

 それは剣にまとわりつき、一気に振り下ろした!


「地底暗黒斬!」


 黒い衝撃波が真っ直ぐに飛び、正蔵はとっさに白衣を身を守る様に広げた!

 爆発が起こり、その中心の地面は空へと舞い上がる。


「何!?」


 正蔵は無事だった、白衣が少々砂ぼこりで汚れた程度。

 

「プレーリー……覚悟しろ!」


 迷いを振り切った声を出し、左の擬態砂時計を剣に取り付ける、砂時計は自動で素早く一回転した。


『ペリジーンファイナルブレイク』


 正蔵は剣を両手で構えると、砂が剣を中心に砂塵が起きて徐々に回転速度があがる。

 それとほぼ同時に将軍の後元が砂でおおわれていく。

 足元の砂が瞬時に固まり、身動きが取れなくなってしまう。 


「将軍!」

「チテテー!」

「チテ!」

「手を出すな! 私の誇りを汚すか!?」


 手助けしようとするジムグや戦闘員達は将軍の言葉で動きを止めた。

 将軍は剣を盾に納めて、両手でしっかりと持ち攻撃に備える。

   

「覚悟!」


 今度は正蔵が剣を振り下ろした、砂塵が将軍に襲い掛かる。

 盾では防ぎきれずに吹き飛び、ジムグ達はすぐに将軍に駆け寄った。

 剣と盾は粉々になり、鎧も所々破損してそこから血の様な砂が流れている。


「将軍、ここは撤退を!」

「……ゴフ! 世話を掛けるな」

「正蔵よ! 貴様の力が次も通じるとは思わない事だ!」


 参謀が右手を上げて振り下ろす、砂が舞い上がり地底帝国はその場から消えた。


「……この違和感は何だ? まさか」


 正蔵は擬態を解いた、左の擬態砂時計を取り外して何かを考えいると、縁が近寄って来た。


「正蔵さん、まずは正吾君をタベリアに運んで治療しましょう」

「縁君……君は知っているのだろう? 教えてくれないか」

「ええ、もちろんです」


 縁達はタベリアへと向かった。

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