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VRゲームでも運と愛し合おう!  作者: 藤島白兎
第一章 いざゆかん!レアスナタの世界へ!
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第二話 演目 贄

 リステイナが全力でふざけているのを見向きもしない縁達。


「老いか……この程度の呪いを浄化しただけで疲労感が有るとは」

「お父さん、お下がりくださいな、後は私と縁さんが」

「うむ」


 東洋は一人で遊んでいるリステイナに歩み寄り、繰り広げられる一人遊びをじっと見ている。


「縁さん、そろそろ私の幻術の効果がきれます」

「ああ、準備はいいぜ」


 縁はウサミミカチューシャを外した。

 するとゆっくりと縁の頭に白い兎の耳が生え、白く長いロングヘアーに。

 足元からは白い霧のような物が出て縁の身体にまとわりついている。

 白い霧が足元から濃くまとわりついていて、そこから上半身に向かってその濃い霧は上がっていく。

 ジャージだったのが神様が着るような白く神々しい着物へと変わる。

 だが直ぐに返り血でも浴びたように髪や耳、着物が赤く染まっていく。


「む!? 奴の死体が消えた!?」

「団長! あそこに居ます!」

「何?」

 

 アースカリアの言葉と共に団員達は辺りを見回してセイザを見つけ、団員が指さした方向に居た彼女は手を優雅に振っていた。

 東洋が放った浄化の一本締めにより、セイザの幻術が解除されて辺りの景色は平原で少し離れた場所に街らしきものがある。


「殺すと言っておきながら私の幻術にかかり、お遊戯会は楽しかったかしら?」

「貴様……街も幻術か」

「もちろんですとも、貴方達の様な快楽で人殺しする荒くれ者を街に居れるとでも?」

「快楽だと!? 我々は被害者の無念を晴らし、気高き目標と高い志を持って行動している!」

「え? やってるのは結局独りよがりの殺しで所詮は自警団でしょう? どんな権力があるんです?」

「キサマァ! 言わせておけば!」

「うるさいですか? だったら殺せばいいのでは? 今までそうやって子供みたいな持論をかまして優越感に浸っていたのでしょう?」

「黙れ魔女! 貴様に我々の考えが貴様には理解できまい!」

「じゃあその考えを理解出来るように説明してくださいませ? 仮にも団長、人の上に立つ人間なら出来ますよね?」

「もういい! このシュクダンを愚弄した事を後悔させてやる!」

「あら? 貴方がシュクダン?」

「この姿は仮の姿だ! いいだろう! 私の本当の姿を見せてくれるわ!」


 アースカリア改めシュクダンは自前の剣を掲げると頭上に赤黒い雲が大きくなっていく。

 そしてバケツでもひっくり返したかのような赤い雨に打たれ、姿が見えなくなるシュクダン。

 

「団長!?」

「団長がシュクダン様だったのか?」

「こ、これならあの魔女にも勝てるぞ!」

「むはははは! この美しい姿を!」


 ざわつく団員達をよそに雨が止み姿を現すシュクダン。

 その姿は白い素材で造られた天使の彫刻の様な姿で目や耳からからどろりとした赤黒いモノがあふれ出でいた。


「美しい? そこに居る縁さんの方が美しいと思いますが?」

「んん? 人に恨まれた神が美しいとは笑わせる!」

「それってブーメラ」

「セイザさん、さがってて」

「ではお任せします」

「ああ」


 セイザはキレッキレなダンスをしているリステイナの側に移動した。


「ふん! 先程から棒立ちで見てるだけしかしなかった神が私に勝てるとでも?」

「お前が世間知らずで絶句していただけだ、粛清と断罪の神よ」

「我は神だ! 何をしてもいい! 人が望んだ粛清と断罪を決行するだけ!」

「……人の望み? お前が好き勝手してるだけだろ」

「羨ましいか?」

「そういう独りよがりは思春期に終わらせた」

「ではお前の命も終わらせてくれる!」


 シュクダンは手をかざし赤黒い球体を形成し、それを縁に飛ばした。 

 縁はそれをハエでも叩き落とす様にいとも簡単に空へと弾く。


「俺と『殺し合い』をするって事でいいんだな?」

「ハッハッハ! 出来るものならやっ! グエ!」

「黙れよ、世間知らず」


 縁は一瞬でシュクダンに近寄り右手でぶん殴り、地面にめり込んだ自身満々だった神を踏みつける。

 それを見た団員達はざわざわし始めた。


「神には神のルールが有るって知らないのか?」

「お、おのれ!」

「さっきの言葉は聞かなかった事にする、神の常識を勉強してこいよ」

「黙れ! 神は絶対で人間を左右していい存在なのだ!」


 シュクダンは縁に向かって再び赤黒い球体を右手から放った。

 縁は軽くジャンプをしてシュクダンから距離をとる。


「お前達! 我の贄となれ!」

「うぇー!」


 シュクダンは立ち上がり手を団員の方へとかざすと体が赤黒い霧になり、それを吸収する。


「な、なななな!」

「だ、団長! 何を!?」

「た、助け!」


 その場に居る団員達は全員赤黒い霧になりシュクダンに吸収されてしまった。

 白い彫刻の様な肌が赤黒く染まり始め、どろりと流れていた赤黒いモノは止まる。

 縁は無表情でその光景を見ている。

 

「ふははは! 力がみなぎる! やはり人間の贄はいい!」

「……」

「どうだ! これで貴様も終わりだ!」


 シュクダンは濃い色の赤黒い球体を生成して縁に向かって放った!

 縁は右手の手の平でそれを弾く。


「……」


 縁は右手に違和感を感じ、見てみると血だらけだった。


「流石に今までの様にはいかないな!?」

「お前は俺の目の前でやってはならない事をした」

「何?」

「俺は縁、縁結びの神だ、人々の縁を何だと思ってるんだ?」


 鋭い目つきでシュクダンを睨んだ。

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