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VRゲームでも運と愛し合おう!  作者: 藤島白兎
第二章 ジャスティスジャッジメントの正義
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第八話 前説・幕開き 気合と界牙流の里のお知らせ

 長谷川と荒野原はバイトをしていた。

 ただ、今日は閑古鳥が鳴いている。

 

「今日は暇でよかった」

「うん、午後から予定あるからね、無理言ってごめん」

「え?」

「父方のおばあちゃんが、孫の婿に会いたいって駄々こねて」

「いやいや、界牙流二代目、そして『森山劇場オンライン』のプレイヤーと遊べる機会はそうそうない」


 森山劇場オンラインとは、レアスナタの前作といっていい。

 その内容は、サービス開始直後はテキスト、チャットで楽しむTRPGの様なものだった。

 それからイラストが付き、簡易的にキャラクターを実装したりと、徐々にレアスナタに近づいていく。

 この頃から運営は、ネットマナーとプレイヤーの居心地の良さを徹底していたらしい。


「そう言ってくれると助かる、私の小学校の入学式とか、そういうのより気合いが入ってる」

「なんで?」

「私が落ち着いてって言ったら、いいか終、こちとらババアだ数年は生きてても数十年は無理だろう、私の余生をバラ色にしておくれ! ってさ」

「ダメとは言いにくい問答だ」

「普段はそんな喋り方しないのに気合い入り過ぎ、落ち着いてほしい」

「まあまあ、楽しみがあるのはいいじゃないか」

「そうなんだけどね~」


 荒野原はため息を一つした、その顔は嬉しそな困った様な顔をしている。


「ふと思ったんだが、母方のじいちゃんばあちゃんもレアスナタをしているのか?」

「2人共亡くなったけど、していたよ」

「そうなのか」

「それで言えば、この間の過去に行った時、初代絶滅演奏術奏者の話をしたじゃん?」

「確か頑張っても世間に認められなかった、だったか」

「そうそう、あれおばあちゃんの人生まんまらしいのよ」

「なんだって?」

「認められ無さすぎて、ブチギレたおばあちゃんは聞くもの全てを魅了する、絶滅的な曲のアレンジをするようになったとか」

「いやいやいや、ど、どんなのなんだよ」


 長谷川は想像が付かずに、少し動揺していた。


「あらゆる曲を中二病アレンジにしたとか」

「ああ~そっち方面で爆発的に人気になったとか?」

「そうそう」

「いやすげーな」

「あ、長谷川君のおじいちゃんとおばあちゃんは? プレイヤー?」


 荒野原はハッとした顔をしてそう言う。。


「母さんの方のおじいちゃんがやってるな、他はしていない」

「現役?」

「ばあちゃんが亡くなった時に辞めたんだが」

「だが?」

「あゆさが言ったのかは知らんが、孫に恋人だと!? 妻の土産話に持っていかねば! と気合いがはいったらしい」

「……どこも同じなのかしら? って、それなら時間を合わせた方がいいよね」

「いや、うちのおじいちゃんは変わっててね、神がおいそれと人前に現れるもんじゃねぇ、いる時でもいらねぇ時でもふらっと現れるもんだ、って昔から言ってて」

「おお、何か説得力が有る様に感じる」

「何処かのタイミングでひょっこりと現れて、何するんだろうな」

「神出鬼没な神様なのね、ちなみに何の神様?」

「運を司る神様だったんだが、年取ってから全知全能設定に変えたらしい」

「なんで?」

「若い時から全知全能設定にしたかったんだけど、やっぱり年老いた方が説得力が有るだろうと」

「なるほど、なんとなくわかるかも」


 そんな話をしていると、奥からあけみがエプロンをしてやって来た。


「長谷川君、荒野原さーん、そろそろあがってもいいわよ」

「わかりました、あけみさん」

「今日は私がお昼を用意したから食べていきなさい?」

「え? いいんですか?」

「長谷川君、今日は荒野原さんのおばあちゃんとロールするんでしょ? 気合い入れて気に入られてきなさい」

「……あけみさんも気合い入ってますね」

「わかる? お子様ランチ作ったのよ」

「え? お子様ランチ?」

「大丈夫よ荒野原さん、量は大人向けだから」

「つまり、色々な食べ物がちょっとずつあると」

「今持ってくるから、テーブル開いてて」


 長谷川はテーブルを広げて待つと、あけみはお手製のお子様ランチを持ってきた。

 内容は野菜にお魚、肉にエビフライと様々な少量のおかずと共に、メインのオムライスには旗が立っている。

 絵が描かれていて一つは兎、もう一つはトライアングル、ちなみにデザートのミニプリンも付いている。


「おお、これは凄い」

「じゃあ早速いただけます」

「あ、そうそう食べながらでいいんだけど」

「どうしました?」

「私も久しぶりにレアスナタにログインしようかと思って」

「お? 『傷の魔女』がレアスナタに再来しますか」

「そろそろ公式イベントも終わりそうだしね、その時は2人共よろしくね」

「わかりました」

「よろしくお願いいたします」


 2人はお子様ランチを美味しく頂いて、ゲートに向かう。

 受付を済ませていざプレイルームへ。


「行くぜ! レアスナタの世界へ!」


 長谷川は気合を入れていつも通りのポーズをして、ログインボタンを押す。

 縁となり、ロビーで風月と合流する。


「っしゃ、気合い入れておばあちゃんに会いに行こうか」

「もうログインしてるの?」

「気合い入りすぎて朝の6時に起きて、ゲートに向かったとか」

「いやいやいや、早すぎるだろ」

「それだけ楽しみって事、がっかりさせないようにしないとね」

「だな」

「ロールは界牙流の里でするから、んじゃパーティー組んで向かいましょうかね」

「ああ」


 パーティーを組みその場から消えた。

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