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にわかには信じられない話を聞かされ混乱し、
走り去る彼女を追い駆けることも出来ず、帰路についた。
祖母が付き合いに反対し作り上げた嘘なのか、
それともプロポーズを断る為の口実なのか、
突然の別れの告白が腑に落ちないまま翌日を迎え、
足取り重く隣町へ向かった。
街の門に佇む彼女の姿を見つけ、複雑ながらもほっとする。
昨日はごめんなさい、そう言ってくれるに違いないと。
彼女は昨日の出来事など無かったように、満面の笑みで手を振っていた。
そしてやはり、その顔は年下の様に幼く見えるのだ。




