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夏の痛いくらい強い日差しが、秋風に攫われる頃から、
彼女の顔が翳る事が多くなった。
会話はよく途切れ、気づくと眉根を寄せて宙を見ている。
何か心配事でもあるのかと尋ねても、何でもないのと笑うばかり。
その年の最後の行商の日、深刻な様子で現れ、こう告げた。
もう来ないつもりだったのに、また来てしまった、と。
何がどうしたのか、困惑する僕に悲しげに微笑む。
おばあ様が亡くなったの・・・次に会う時、全て話せるから、と。
心配させて、ごめんなさい、と。
そう残して、彼女は森へ去っていく。
後を追ったが、その姿を見失ってしまった。




