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暇つぶしにでもなれば幸いです。
そのヒトと出会ったのはハタチを過ぎた頃だった。
いつも行商に出かける隣町の道端で、見慣れない女性が
自分をジッと見つめている事に気がついた。
目を細めて
まるで眩しそうに、微笑んでいるように、泣き出しそうに。
5日程そんな日が続き、その女性は店先へとやってきた。
アクセサリーを見たり、短剣を手に取ってみたり、ときおり自分を見つめたり。
翌日も店に来た彼女にそっと声をかけてみた
どこかでお会いした事ありますか?と。
女性はハッとした後少し戸惑い、目を細めて答えた
親しかった方と、似てらしたので、と。
とても、とても寂しげに。




