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高校生による小説の書き方 対話講座  作者: 未設定
描写テクニック編
5/9

・絶対描写と比較描写

男「絶対描写と比較描写、ねぇ」

女「そう、それがまさしく大切だ。片方は抽象的に、もう片方は具体的に表現している」

男「ふむふむ、なるほど」


 まずはここに美しい女の人がいます。


男「ストップ。自画自賛はやめたまえ」

女「そんなんちゃうわ!」



 それを絶対描写と比較描写で書きます。

 絶対描写では単に「美しい女性」と書くわけだね。

 比較描写では「街行く人の10人に1人は振り返って確認してしまうほど美しい女性」「クラスの女子の平均よりも美しい女性」と書きます。



男「街行く人の9人は俺かー」

女「振り向こうぜ」

男「過去は振り返らない主義でね」

女「ふりかけ野郎め!」

男「ふりか、しか合ってないっす」



 絶対描写の利点は、「その属性が付与している」ということのみを純粋に伝えられる点で、詳細はぼやかせます。

 また、文章のテンポ上、人物を描写するのにいきなり詳しく書きすぎると、読み手が読みづらくなるので、ゆっくりゆっくりと長期的に描写する手法で役に立ちます。



女「最近ゆっくり描写する小説が少ないんだけど!」

男「キレる若者」

女「いきなり何なのさ! 『委員長である彼女は、青い髪のポニーテールを腰まで下げていた。目は釣り目、薄い化粧を施しただけの素顔。

  めがねが利発的で、まさに委員長のようだった。スリーサイズはむにゃむにゃむにゃ。服装はきっちりしていて、寸分の隙もない。ひざ下までスカートのすそが伸びている。

  赤い髪留めが彼女のチャームポイント。性格はツンデレ』とかいきなり言われてさ、

  次から『青髪の委員長は』とか『青髪の彼女は』しか説明しないのはなんでさ!一回こっきりで覚えろってか! 暗記か!」

男「委員長と言えば黒髪の三つ編みおさげだろ!」

女「知らんわ!」



男「なんかその例じゃ、作者は青髪しか重要だと思ってないみたいだね」

女「こんな描写もできるのにね。『委員長である彼女は、腰まで下ろしたポニーテールの青い髪が印象的だった。それでいて、利発的なめがねが映えていた。』としておいて、

  後から『委員長は、赤い髪留めを弄りながら、』『委員長は、その隙のない服装をはたいて、』『委員長は、ひざの下まで降りたスカートをめくりながら、』とか」

男「最後待て」

女「『委員長は、そのツンデレな性格を存分に発揮して、』『委員長は、そのスリーサイズでむにゃむにゃむにゃ』」

男「まぁ、あれだね。最初は視覚的な要素の強い、『色』と『顔』を描写したわけか。それで後の細かい部分は、後からじっくり描写すると」

女「『委員長は、最後にはその釣り目を潤ませて、』」

男「俺のスルーをスルーした!?」

女「『委員長は、いつも彼女がしている薄い化粧を軽く整えて、』」



男「えーと、つまりアレです。文をいくつも跨いで描写することで、一部にだけ力を入れるという、力のむら、をなくす方法ですね。

  利発そうなめがね、がまさにそれですね」

女「委員長、可愛かったぜ」

男「めがねを詳しく書いてもつまらない。彼女がなんとなく利発そうにみえるだけでいいから、絶対描写にしたわけだ」

女「逆に比較描写は、盛り上がる部分に使うべきだね。作者は青髪を大切にしたいわけだから、こう書くべきだ。

  『彼女の髪は、薄くつやがかっていて、それでいて深夜よりも深い闇の青色が、その一本一本に宿っていた。ゆれる度に、その色が生きていることをひしひしと感じるぐらいに、ずっと深かった』」

男「つやってポマードですか」

女「ひどい」

男「つまりあれだね」

女「うん、つまりはね」



 視覚描写で重要視されるのは、色と顔、形です。

 そういうものを詳しく描写するときは比較描写=相対的描写をしますね。

 逆に、心情的な描写を視覚描写で表現するのは、特別な意図がない限りは絶対描写が多いかと思うんだ。

 比較描写を使うと、力が入るので、連続して力が入っているような力んだ小説にならないように、なるべく心がけましょうね。



女「以上、顔形良しの色女より」

男「まあ、比較と言う概念が日本にはないのかもしれない。なんせ今まで『描写を詳しく書け!』の一言で済まされた問題だからね」

女「ぶっちゃけ一言で言えばそうなんだけどね」

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