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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
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惑星アサーテ

王家の呪い

作者: 山田裕子
掲載日:2026/07/24

我が王家には、ちょっとした秘密がある。

先祖が獣人の血を引くため、条件が満たされると、動物に変身するのだ。

例えば私は、びっくりすると犬になってしまう。

いとこのイザベラは、公爵令嬢だが、母が王女だったので、同じ血を引いている。

彼女の場合は、しゃっくりをすると、猫になる。


極めつけは、国王である父上だ。

勤勉で、いつも執務に追われている父上は、疲れがたまるとナマケモノになる。

怠け者ではなく、動物のナマケモノだ。

なんでナマケモノ?

この呪いともいえる変身の意味が分からない。


父上がナマケモノに変身したときは、母上が執務を代行する。

ナマケモノは、攻撃力も防御力も低いので、母上が護衛もする。

母上は、尚武のお国柄の隣国の王女だったので、剣の腕は近衛騎士にも引けを取らない。

滅多な人物には、ナマケモノになった父上は任せられない。

王家の秘密も守らなければならない。


私やイザベラは、変身したときは隠れている。

秘密を王族以外には知られないように。

猫になったイザベラは木の上に、犬になった私は茂みの中に。

万が一誰かに見つかっても、迷い猫、迷い犬と見なされるから。


母上一人では、執務も護衛も大変だ。

父上が変身すると、王弟である叔父上や、今は公爵夫人の伯母上も助けに来てくださる。

叔父上は、怒りが頂点に達すると熊に変身する。

伯母上は、あくびをすると虎になるらしい。

以前の王宮では、カモフラージュが大変だったそうだ。

王宮の庭に熊と虎を飼って、お二人が変身してしまったときは、熊や虎が逃げたことにして誤魔化したと聞いている。


父上の不在は、本当のことは隠されて、疲労により静養中と発表される。

母上は心配する貴族たちの対応に忙しい。

父上の部屋は、叔父上、伯母上、母上や私、イザベラだけが出入りを許されている。

私やイザベラが食事や身の回りの世話をし、叔父上、伯母上は護衛をする。


父上の静養中という発表を信じて、いつもより護衛の少ない機会を狙ったのだろう。

暗殺者が父上の寝室に侵入した。

怒りを暗殺者に向けた叔父上が熊に変身する。

鋭い爪と強力な打撃で、暗殺者の一人をなぎ倒す。

寝ずの番で眠くて仕方ない伯母上が、あくびをして虎になる。

もう一人の暗殺者を鋭い牙でかみ砕く。


熊と虎に襲われた最後の暗殺者は、


「ここは動物園か?」


叔父上、伯母上に倒されながら、つぶやいた。


この後、母上が駆けつけて後始末をした。

王家の秘密は無事守られている。

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